日別アーカイブ: 2020年7月12日

ニッカ5型のカメラ修理

今日は「人間ドックの日」だそうですよ。
本当にこの年齢になると
普段の調子が悪くなくとも
定期的にしっかり身体の検査しなくてはダメですね。
古いカメラの修理は症状が出てきてからでも
部品さえ何とかなれば大抵直りますが
人間の身体は症状が出てからでは遅いことが多々あります。
私も今年は大病を患ってしまい
今も後遺症に苦しんでいますが
これはさすがに事前に見つけるのは難しくて
それ以前に長年の不摂生が原因だとは思いますが。。。(苦笑)
いや、それが最近、私自身ではなくて
私の近親者で(高齢者ではありますが)
比較的、定期的にかかりつけ医に通院していたのに
体重が激減して食欲も全くなくなって
「これはおかしい」と大きな病院にかかったら
末期(ステージⅣ)の癌だった。。。ってこともあったのです。
どこまで早期発見できて予防ができるのがわかりませんが
私も秋には一度フルコースで人間ドック受けてみようと思います。
そんなに長生きする必要はないとは思っていますが
なるべく五体満足でちゃんと仕事して
好きなことしていたいですしね。
(既にあまり五体満足とも言えない状態ですが(汗))

さてさて

本日は「ニッカ5型」のカメラ修理を行っています。
「ニッカ」と聞くとついつい「ニッカウヰスキー」を
連想してしまいますが
カメラの「ニッカ」の名前の由来は
「ニッポンカメラ」です。
前身の光学精機時代にその名もずばり「ニッポン」という
コピーライカを製造していました。
(当時は戦争のためライカの輸入が困難になり
軍の命令により製造されたカメラでもあります)
戦後、社名を「ニッポンカメラ」とし
カメラ名を「ニッカ」とし主にバルナックライカコピーを生産します。
その後、社名も「ニッカカメラ」と変更になりますが
レンジファインダー機全盛の頃はかなり人気のメーカーで
同様に人気だったレオタックスが
東京光学の「トプコールレンズ」を標準で装着し
ニッカは日本光学の「ニッコールレンズ」を装着するということで
ここでも「海のニッコー、陸のトーコー」の
ライバル関係があったようです。
「5型」は1955年の発売ですが
これ以前のニッカはいわゆるプレスボディです。
この「5型」からダイキャストボディとなっています。
(ちなみに5型と並んで人気のⅢf型は
発売も5型の翌年で5型の簡易モデルという位置づけです。
ベースが5型のためもちろんダイキャストボディです)
5型の特徴といえばやはり底板を外すと
一部が開けることのできる裏蓋ですね。
これがあるおかげでフィルム装填が格段に楽ですし
何といっても装填の失敗がかなり減ると思います。
(おかしな装填になっていれば目に見えて気づくはず)
修理する立場からしてもこの裏蓋のおかげで
分解することなくシャッタスピードの測定ができるのは助かります。

お預かりしている「ニッカ5型」は
シャッター幕を引っ張るリボンが切れてしまっていて
まともにシャッターが動作できない状態になっています。
この年代のバルナックタイプのカメラは
過去にシャッター幕交換がされいない場合だと
間違いなく幕の劣化や硬化が酷く
幕交換が前提となります。
今回は過去に幕交換が行われている個体なのですが
その幕の接着の状態が悪く接着剤が劣化して
幕やリボンにもかなりダメージが出ている状態でした。
どちらにしても改めて幕やリボンの交換を行います。

写真は一通り整備が完了した後のものです。
いつものことですが外装も磨き上げ非常に美しい状態になりました。
もちろんシャッターの動きもスムーズで
問題ない精度が出ています。
組み合わされるレンズはニッコールH.C 5cmF2 です。
このレンズこの時代のレンズとしては珍しく
1.5フィート(約45cm)まで寄れます。
ただしレンジファインダーがそこまで連動しないため
(1mくらいまで)目測となってしまいます。
久しぶりに触ったのでそういう仕様を忘れていて
「あれ途中から二重像動かないし!」とトラブルなのかと思いました(汗)
目測な上にパララックスの問題もあるので
これで近接撮影(といってもマクロレンズほどではありませんが)は
なかなか難しいものがあるかもしれません。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。