月別アーカイブ: 2023年1月

オリンパスOM-1のカメラ修理

今日は「ウィキペディアの日」だそうですよ。
2001(平成13)年のこの日に
インターネットの百科事典サイト
「ウィキペディア」(英語版)が公開されたことに由来しています。
要は「ウィキペディア」の誕生日なのですね。
このブログを書くにしても
「ウィキペディア」には随分と毎日お世話になっています。
誰もが参加し編集できる百科事典サイトなので
そこに書いてあるものすべてが正しいとも限りませんし
100%信頼できるわけでもないですが
やはり多くの方の編集を経ているだけあって
私の調べたいことに関しては大抵が
正しい情報を得ることができます。
カバーしているジャンルは途方もなく広範囲で
仕事から趣味のものや、ちょっと気にかかっただけのものまで
何でもまずはウィキで調べる…というのがパターンになってますねぇ
非営利団体でそれがゆえの長所短所や問題点も
いろいろあるのは見聞きしていますが
それでもやはり便利ですし
助かることや役に立つことが多いのですよね。

さてさて

本日は(も?)「オリンパスOM-1」のカメラ修理を行っています。
一昨日もOM-1でしたねぇ…
まだ今月あと2台予定されています。やはり圧倒的に多いですねぇ
毎度書いているような気もしますが
「OM-1」は当時他のメーカーができなかった…あるいは
いろいろな諸事情でやらなかった
小型化・軽量化・静粛性を推し進めたカメラです。
そのた同時代のいわゆる標準的な一眼レフに比べると
その構造にも独創的な工夫や構造をしている部分も多く
「OM以外ではこんなことすることないのにな…」なんて思いながら
作業するような部分も多く存在します。
ただ、これだけ毎月OM-1を弄っているとそれも慣れますが…(笑
小型化を優先するために多少華奢部分も正直に言ってあります。
ただ、それも現行で販売していた頃には
何の問題もないレベルだったと思われます。
しかしながら既に登場から50年以上経過するカメラです。
OMに限りませんが各部品の劣化もやはり進んでおり
新品部品が手に入らない以上
大きな破損がある場合、修理不可能な場合もあります。
本来なら部品交換がベストである場合でも
現状の部品をメンテして使い続けるしかない部分も存在します。
それでも大きな破損がない個体で一通りの整備を行えば
まだまだ十分に使い続けられる個体も多く存在します。
言い方を変えればメンテをある程度行えば
これからの寿命も変わってくる場合が多いので
特に動きの悪かったり不安定な個体、長らく未整備な個体は
ある程度の整備を必要とする場合が大半だと思います。

お預かりしているOM-1はシャッター・巻上は
一通り動作していいます。
しかしながらやはりシャッター幕軸、例の底部三連ギアあたりの
動きは今一つで高速シャッターの精度が不安定で
切るたびに…というほどではございませんが
何回か間隔をあけて切っていると
とんでもない数値が測定される場合もございます。
今はそれほど大きな問題ではなくても
大きな問題になる前にまた他のトラブルを引き起こす前に
動きをスムーズにする整備を行いたい状態です。
今回は心配の多いプリズムに関しては問題がなく
随分昔の話だと思われますが
腐食対策が行われているようです。
問題の多い露出計はやはりまともには動作しておらず
底板を開けてみるとマイナス側端子のハンダ部に
びっしり緑青が噴いていて配線をピンセットで軽くつまんだだけで
完全に断線してしまいました。
今回のOM-1はいわゆるMD対応モデルで
この時期のOM-1の多くがこのマイナス端子の固定に
絶縁樹脂ネジが使われており
その劣化と破損が問題になる場合が多いのですが
この個体の樹脂ネジはまだまだ強度的にも大丈夫そうです。
念のため補強を入れて対策をしておきます。
電池室からの配線は緑青付近は腐食も進んでおり
上部SW部までを丸ごと交換しておきます。
無理に再利用すると近い将来にかなり高い確率で
接触不良が起きると予想されます。

いろいろ変わった部分や微妙な調整の多いカメラではありますが
整備性自体は良好です。ミラーボックスの脱着も
コツさえつかんでしまえば簡単に行えます。
底部にレイアウトされた調速機構やスローガバナ等々
OMでしか見られない構造が多く確認できますね。
これから本格的に清掃整備に取り掛かっていきます。
組立の際にはいろいろ調整箇所も多くありますので
慎重に作業を進めて仕上げていきたいと思います。

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ニコマートFTNのカメラ修理

今日・明日は「左義長」で
「どんと焼き(どんどん焼き)」を行うところも多いでしょうね。
「小正月」に行われる火祭りの行事で
路傍の神「道祖神」の祭りとされる地域が多いそうです。
刈り取り跡の残る田などに長い竹を3、4本組んで立て
そこにその年飾った門松や注連飾り(しめかざり)
書き初めで書いた物を持ち寄って焼きます。
その火でお餅や団子を焼いて食べるのですよねぇ
私の生まれ育った地域では畑と言っても
斜面に狭い段々畑ばかりで
「どんと焼き」を行えるほどの広い畑はなかったので
この風習はなかったのですよねぇ
でも少し市内を外れて山間の町になると
やっているところが多かったですね
親戚の家の地域が「どんと焼き」を行っている地域で
一度だけ参加させてもらったことがあります。
焼いたお団子美味しかったですねぇ…いい思い出です。
田舎では子供や担い手が少なくなったことにより
こういう年中行事もやっているところは少なくなっているのでしょうね…
ちょっと寂しいですねぇ…

さてさて

本日は「ニコマートFTN」のカメラ修理を行っています。
ニコマートFT系も修理依頼の多いカメラですね。
少し大柄で重いカメラですが
その分、非常にがっしり丈夫に造られていて
この時代のフラッグシップ「F」ほどではないにしろ
堅牢性が高く頼りがいのあるカメラです。
ニコマートシリーズは機械制御シャッターの「FT系」と
電子制御シャッターの「EL系」に大別されますが
まだ出始めで信頼性の面で手探りだった「EL系」に比べ
信頼性の高い「FT系」は特によく売れたと思われます。
その中でも「FTN」は「FT系」の中でも
最もたくさんの台数が販売され現存する数も非常に多いカメラです。
「FTN」は最初の「FT」をベースに
「開放F値補正操作」を採用し
絞り環を往復させるだけで開放F値の設定が完了する機構が搭載されています。
いわゆる「ニコンのガチャガチャ」ですね。
さらにファインダー内にSS表示設定が追加され
測光方式も平均測光から中央重点測光に変更されています。

お預かりしている「ニコマートFTN」は少しだけ少数派の
ブラックボディです。
それもなかなかキレイなコンディションで非常に精悍な印象です。
一通り動作はできている状態ですが
細かくチェックしていくといくつか問題を抱えています。
まずファインダー内がモルト屑等で随分汚れています。
ニコマートはファインダー枠周りに結構な内部モルトを使っていて
当然ながらモルトは劣化するのでモルト屑が
スクリーン上に溜まりやすいのです。
分解してなくてもマウント側から見えるミラー受部のモルトも
ボロボロなので内部はもっと劣化が進んでいると思われます。
加えて露出計が少々不安定な挙動を見せています。
ニコマートというとマウント部で絞りやSSと連動する
マイラー抵抗と呼ばれる摺動抵抗の劣化で
露出計のトラブルが起こる場合も多く
摺動抵抗の抵抗体が剥がれ落ちている場合だと
修理不可能になる場合も多いのですが
今回は抵抗は汚れ程度で清掃で何とか安定しそうな気配です。
もちろん電池室やその周りの配線等のチェックも行い
必要があれば再ハンダや配線交換を行っていきます。
シャッタースピードも少々不安定な部分があり
これは金属羽根ならではの羽根の汚れが原因かと思われます。
シャッターユニットの整備で対処していきます。

まだ分解整備に取り掛かり始めたばかりの段階です。
これから前板・ミラーボックスを分離して
本格的に整備を行っていきます。
ところで今回の「ニコマートFTN」は
「A型スクリーン(スプリット)」が装着されています。
「マートFTN」のスクリーンは元々は
マイクロプリズムですが
1971(昭和46)年にA型スクリーンを装備したモデルが追加されています。
このA型スクリーン装着モデルには
本来巻上レバー化粧蓋に部のところに「A」のステッカーが貼られているのですが
剥がれてしまったかあるいはこのスクリーン自体が
後から装着されたのかもしれません。
いずれにせよ「A型スクリーン」のモデルは少しだけレアです。
ニコマートFT系の場合は後のモデルとは異なり
分解してプリズムを降ろさないとスクリーン交換は通常できません。
それではこれから本格的に分解整備に取り掛かっていきます。

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オリンパスOM-1のカメラ修理

今日は「ピース記念日」だそうですよ。
ここでいう「ピース」はタバコの「ピース」ですね。
1946(昭和21)年のこの日に
「ピース」が売り出されたことを記念してが制定された記念日だそうです。
当時の値段は10本入り7円で日曜・祝日に1人1箱で限定して販売されたが
東京・有楽町駅売店では
販売と同時に1時間で1000箱が売り切れたといわれています。
私の記憶がある頃にはじいさんが吸っていたのは「ロングホープ」だったのだけど
元々は「ピース」吸っていたのですよねぇ…
家の中にピースの缶がいたるところにあって
将棋の駒が入っていたりとか小物入れに再利用されていました。
しかしじいさんも両切フィルターナシの缶ピーって
なかなか強烈なタバコ吸ってたのですよねぇ
…と思いながら何となく調べていたら…
今でもピースって現行販売されているし
両切の50本入り「缶ピース」も売っているのですねぇ…
一缶1500円か…今や普通の20本入りタバコが600円ですものねぇ
私が吸い始めた頃は国産の標準的なモノで200円だったなぁ
もう私は禁煙してから随分経つので
現在のタバコ事情には疎いのですが
「ピース」のあの独特の甘い重厚な香りはいいですよねぇ
ファンが多いのも頷けます…
もう禁煙して何年も経つのにいまだにたまにですが
「あ~!こういうときは一服して落ち着きたいなぁ」と
思うことがまだあります(苦笑)
まぁさすがに思うだけで吸いはしませんが…
タバコ吸っていた頃に朝一で火をつけて思い切り吸い込むと
血管が収縮して頭が軽くクラっとなるのですよ
今の私の身体で同じことが起こると命に関わる気がします…(汗)
まぁ、でも吸いたくなる気持ちはわかりますけどね…

さてさて

ピースが当時のタバコの定番だとするならば
現在の当店のカメラ修理の定番中の定番は
やはり「オリンパスOM-1」ですね!
今年に入ってから1台目のOM-1の順番が回ってきました。
なんだかんだで毎月、2~3台は修理しているような気がします。
他に修理依頼の多いのは当店の場合、
ペンタックスSP系やミノルタSRT系ですが
それらに比べてもOM-1の依頼台数は圧倒的に多いです。
修理依頼が多いってことは単純に「壊れやすい」ということではなく
それだけ使っている方、今からでも使ってみたい方
新たにOM-1を手に入れた方…が多いということだと思います。
それほど圧倒的な人気のあるカメラだと思います。
ベテランの方々は長年の経験でいろいろ考えもあるので
また異なる場合も多いのですが
何と言ってもOM-1の人気の要因はその軽さと小ささですよね。
特にフィルムカメラを始めたばかりとか
これから始めるという方にとっては
この大きさと重さは結構重要な問題で
機材が重いとそれだけで持ち出す気力が削がれてしまいますものねぇ
気軽に持ち歩けて気軽に撮れるカメラが人気なのはやはりわかります。
それを言い始めると新しめの全自動電子カメラがベストかもしれませんが
そこはせっかくデジタルでなくフィルムカメラを使うのなら
できる限りマニュアルで昔ながらの操作も楽しみたいと思う方も多く
そういったバランスをとっていくと
ベストはOM-1あたりになるのかと思われます。
もちろん当時から人気の非常に高いカメラなので
家から出てきたカメラが「OM-1」ということも
非常に多いということもあると思います。

お預かりしている「OM-1」は
まずシャッターが全く切れません。
シャッターが切れないということで当然巻上もできません。
よくあるのが底部3連ギアがジャムっているパターンですが…
今回はそうではないようです。
無理に動かすことはせず慎重にいろいろ見ていくと…
どうやらチャージは正常に完了しているようで
レリーズするとまずミラーチャージを解除して
ミラーアップを行うはずなのですが…
チャージが解除されてもミラーが動かないようです。
チャージ解除の状態で少しミラーの動きを補助してやると
何とかミラーアップされシャッターも正常にきれました。
その後の巻上も正常に行えます。
ミラー駆動部が強烈に固着してしまっているようです。
加えて幕軸にもかなるい粘りがありシャッター精度も全く出ていません。
さらにこのOM-1、クランクを引き上げても
裏蓋が全く開く気配すらありません。
劣化したモルトか何かが接着剤のような役割になって
裏蓋を固着させてしまっているようです。
おそらく何十年も使われずに眠ったままなのだと思われますが
これを気持ちよく目覚めさせるには
ちょっと手がかかりそうです。

まだ現状確認を行ったのみの状態ですが
永い眠りからしっかり覚めてもらって
以前と同じように仕事していただくためにも
入念に整備を行っていきます。
いきなり起こして「さぁ動け!」なんて言っても
動けるわけがないですものねぇ
そんなことしたら壊れていない部分まで壊れてしまいます。
まずはストレスなく動ける状態になるように
ゆっくりリハビリしながら目覚めていただきます。
少し華奢な部分もあるOM-1ですから
各部の整備は慎重に行っていきます。

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キヤノンFTbのカメラ修理

今日は「いいねの日(エールを送る日)」だそうですよ。
「い(1)い(1)ね(2)」と読む語呂合わせからだそうです。
SNSでお馴染みの「いいね」ですねぇ
私も特にツイッターではフォロワーさんの投稿に
毎日のように「いいね」をクリックします。
逆に私の投稿にもいつも「いいね」を付けてもらっています
ちょっとしたことですし
それほど「いいね」の数を気にして
チェックしたりはしていませんが
やはり投稿する励みにはなりますよねぇ
「いいね」というよりは「見たよーおつかれさま!」って感覚のモノが
多いとは思いますがそれで十分です(笑
お店のアカウントの投稿は
「ちゃんと営業してますよー」「作業もやってますよー」という
アピールの部分もあるので見ていただけるだけで嬉しいですよねぇ
私のお店のようなひとりでやっているところは
こういうSNSの投稿やこのブログのようなものがないと
「このお店は開店休業ではなくて
実態のある営業を本当にしているのか?」と言う部分が
見えにくくなってしまいますものね
SNS自体にもそれを見ていただいているフォロワー様にも
感謝ばかりですねぇ

さてさて

本日は「キヤノンFTb」のカメラ修理を行っています。
最近「FT」の修理がやたらと多くて
本来多いはずの「FTb」が少ない…なんて少し前に書きましたが
しばらくぶりの「FTb」の整備ですね。
キヤノンFシリーズの中心機種「FT」をベースに
FDレンズ使用時の「開放測光」に対応したカメラです。
同じタイミングでキヤノン初のフラッグシップF-1も登場しており
一部の構造に共通する部分もあったりします。
F-1自体もシャッター構造とかはFT系の発展形なので
共通部分が多いのは当たり前ではありますが…
ただ「F-1」はフラッグシップらしい他のカメラとは
一線を画するデザインで差別が図られていますが
FTbは正当なFtの後継機らしい
キヤノンFシリーズらしいオーソドックスなスタイリングです。
これはこれは端正でキレイな立ち姿だと思います。
FT以降、F-1も含めてキャノンの得意技にもなった
コンデンサレンズへのハーフミラー組込み+コンデンサレンズ背後への
CdSの設置、それに伴う中央部部分測光はFTbにも引き継がれています。
外部の光の影響も受けにくく
ファインダー内で輝度差の大きい露出の難しい場面でも
比較的コントロールの行いやすいよくできた露出計です。
そしてこれもキヤノンのお家芸の「QL」装備で
フィルム装填も素早く楽ちんです!

お預かりしている「FTb」シャッター全速で
シャッターを切るたびにミラー上がったままになってしまいます。
そして再び巻き上げると降りてきます。
巻き上げると降りてくるのは構造上正しいのですが
全速ミラーアップはちょっと困りますね。
シャッター動作後の幕位置を見てみると
シャッター幕先端の竿部分が少しフィルム室側に覗いたような
位置で毎回止まっていて
明らかに正しく走行完了していないことがわかります。
そのためミラーダウンができていないという状態のようです。
そんな状態なのでシャッターが切れているとはいえ
シャッタースピードの精度も全体的に全く出ていません。
後幕の動きが明らかに悪い状態です。
シャッター幕軸の動きを良くする処置が必要な状態です。

加えて露出計が全く動作していない状態です。
電池室は比較的キレイな状態だったので
よくあるパターンとしてはSW部の接触不良かと思い
本格的にシャッター周りの整備をする前に
SW部の確認だけ行っておこうと調べてみると…
露出計不動の原因はSW部の不良ではなく
露出計本体内の断線が原因のようです。
FTbってなぜか比較的、露出計本体がトラブルを起こす
パターンが多いような気がします。
部品取りから頻繁に露出計を移植しているような記憶が…(苦笑)
今回も露出計本体の中古良品を用意して移植空いて対処します。
その前にシャッター周り、巻上周り等の機械的動作部分の
整備から本格的に取り掛かっていきます。

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ミノルタオートコードのカメラ修理

今日は「平成」改元の日ですね。
前日の昭和天皇の崩御から平成改元の
この2日間のことはよく覚えています。
日本中がいろいろと混乱しましたものねぇ…
このとき私は19歳9ヶ月、ここから平成は30年ちょっと続くこととなり
私の人生で一番多くの時間を占めるのは「平成」なのですが
やはり多感な10代を過ごした昭和末期の方が
記憶や感覚に残っているものがおおいのですよねぇ
昭和が終わって平成が始まったことで
「あ~、なんだか時代が変わったなぁ」とリアルに感じたことを
よく覚えています。
平成から令和に改元したときや
20世紀から21世紀になったときには「ふぅん」くらいで
あまり何も感じなかったのですが…(苦笑)
社会人になったと近いタイミングで平成が始まり
サラリーマン時代は全て「平成」だったので
思い返してみるとやはりいろいろありましたねぇ
令和がいつまで続くかわかりませんが
次の改元までは私がもたないでしょうし
やはり私の人生で一番多くの時間を占めるのは「平成」で
変わりないでしょうねぇ
そう思うと何だか「平成時代」も愛おしいですねぇ(笑

さてさて

本日は「ミノルタオートコード」のカメラ修理を行っています。
1955年発売のカメラで1937年の「ミノルタフレックス」の発売から続く
ミノルタ二眼レフの集大成・完成形ともいえるカメラです。
国内の二眼レフブームの真っただ中に発売となったオートコードですが
国産二眼レフ最高峰とも言えるカメラだと思います。
操作性の良いクランク式巻上にセルフコッキング
素早いピント合わせを可能にするハラキリ式のピントレバー
ピントの山の掴みやすいファインダー
フィルム平面性を重視して通常とは逆の「上から下」に巻くフィルム送り
安定した動作で堅牢性も高いシチズンMXVシャッター
SS・絞りの設定が撮影時ポジションのまま一目で確認できる
ビューレンズ上部の集中表示
そして何と言っても写りの評価の高いロッコールレンズ
どこをとっても良いとこばかり目立ちます。
うちのじいさんも一眼レフに移行する前はこのカメラがメインでした。
そのオートコードもありがたく引き継いで
私が使わせていただいています。
自分で使ってみるとよりわかりますが
写りが良いのは当然として操作性に本当に優れたカメラです。

お預かりしているのはいわゆる前期型のオートコードですが
フィルムマスクを使用した上でカウンター部の部品交換により
4×4・4×5も巻き止め対応で撮影可能とした「RA」かと思われます。
ただしメーカーでRA型への改造も当時行っていたことから
純粋たるRA型なのかどうかは私には判別できません。
お預かりしている状態ではマスクもなく
カウンター部も通常の6×6用なので
機能的には通常の前期型オートコードと変わりありません。
シャッターもシチズンMXVです。
ご依頼者からのご指摘で
ピントが少しずれているような気がする…とのことだったのですが
調べてみるとフィルム面でのピントは問題ないのですが
ファインダー上でのピントが少しズレてしまっているようです。
ピントレバー上の値で10mの位置で
ファインダー上では既に無限遠が出てしまい
無限遠の位置までレバーを持っていくと完全にオーバーインフです。
ただしその状態で実際にはフィルム面上ではピタリと無限遠です。
ファインダー上とフィルム面のピントがちゃんと合致していないと
絞りを開けた時にはモロに影響が出てしまいますね。
ファインダー整備の際にキチンと調整を行います。
加えてスローが粘り気味であることと
若干シャッター羽根にも粘りがあるようです。
さらにピントレバーが少し重めです。
このハラキリ型のピントレバー…オートコードの弱点でもあり
経年劣化で脆くなっていることが多く
少し無理な力をかけただけで折れてしまうことが多々あります。
なのでピントレバーはなるべく軽く動くように
ヘリコイドのメンテナンスを行っていきます。
細かいことを言えばレバーに少し変形もあるのですが
これを無理に修正しようとすると折れる可能性が非常に高いので
今回はそこには手を出しません。
レバーが折れてしまうとさすがに交換部品はございません。

まだ現状チェックを行っただけの段階です。
RA型の特徴でもあるカウンター部が見えるように
画像を撮ってみました。
これから本格的に分解整備に取り掛かります。

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キヤノネットのカメラ修理

今日は「人日(じんじつ)の節句」で
「七日正月(なぬかしょうがつ)」
「七草の節句」でもあるのですが
「千円札発行の日」でもあるのですね。
1950(昭和25)年のこの日に
1946(昭和21)年の新円切替後、
初の1000円札が発行されています。
絵柄は表が聖徳太子、裏が法隆寺の夢殿。
日本初の1000円札は、1945(昭和20)年8月17日に発行されたもので
絵柄は表が日本武尊と建部神社、裏が彩紋だったそうです。
100円札がメインであった当時、
すさまじいインフレに対応するために1000円札が発行されました。
だから千円札としてはこれが二代目にあたるのですね。
1963(昭和38)年11月1日に絵柄が伊藤博文の1000円札が発行されるまで
1000円・5000円・1万円札の絵柄はすべて聖徳太子でした。
個人的には1000円札は伊藤博文のイメージです。
で、5000円、1万円札はやはり聖徳太子ですねぇ…
これまでに発行された1000円札は全5種類存在し
さらに、2024年(令和6年)には新紙幣が発行される予定です。
毎日お札見ているはずなのに
もうどのお札が誰の図柄だったか
いつからか全くわかんなくなっていますねぇ(苦笑)

さてさて

本日は「キヤノネット」のカメラ修理を行っています。
1961年発売のカメラです。
この時代なのでさほどコンパクトではありませんが
キヤノン初のレンズ一体型コンパクトカメラです。
45mmF1.9の大口径レンズを搭載し
レンジファインダーも装備
セレン光電池を使った露出計も搭載し
シャッタスピード優先オート露出が可能です。
自由に絞り・SSを設定できるマニュアル露出も可能ですが
その場合は露出計はオフとなります。
キヤノネットシリーズとしても最初のカメラですが
大口径のレンズにレンジファインダー、SS優先AEという要素は
最終の「G-Ⅲ」まで共通する特徴となっています。
レンズ交換だけはできませんが
当時の民生用カメラとしては最高級の性能を持っており
それでいて18,800円という性能に比して非常に安価なカメラでした
大ヒットしないわけがなく社会現象となるまでの
空前のヒット作になりました。
業界からはダンピングではないのかと批判の声も上がり
この低価格化・高機能化に付いていけなくなった
多くのカメラメーカーが倒産・撤退するきっかけとなったとも言われています。
キヤノンは時代の節々で弱小メーカーに引導を渡すような
ブレイクスルー的カメラを発売していますよね…
後のAE-1あたりも同じような印象ですねぇ
実際に今、見ても非常によくできたカメラです。
低価格化…と言っても造りが安っぽくなるようなコストダウンではなく
生産の効率化と構造の見直しが主な低価格化の核で
使われている部品そのものは全く安っぽくなく
精度もクオリティも非常に高いものが使われています。
シャッターユニットはコパル製で最高速は1/500です。
少し大柄なボディは整備性も非常に良好ですが
次のキヤノネットに比べると少しばかり調整が繊細な部分もあります。
まぁ少しはそういうところもないと
修理屋さんのノウハウが発揮できるところもなくなるので…(笑

お預かりしているキヤノネットは最も心配される
セレン光電池に関しては何とか起電量もしっかりあり
使用に問題ない状態でした…一安心です。
ただし、シャッター羽根は完全に固着してしまっていて
全く開かない状態です。
さらに絞り羽根もかなり粘り気味で
小さなバネ力で駆動するオート時の絞り制御は
まったくコントロールできていません。
初代の特徴でもある底部トリガー巻上も引っかかりがあり
スムーズではありません。
さらにレリーズボタン外側の「T」設定リングも固着していて
「T」の位置で固まってしまっています。
全体的にとにかくスムーズに動けるように整備清掃が必要な状態です。

巻上も巻き戻しクランクも底部に配置されているので
上カバー部は非常にシンプルです。
これも初代ならではの特徴ですね
筆記体の「Canonet」の文字が何ともいい感じですねぇ
先程も言ったように中身も非常によくできているカメラで
個人的にもかなり好きなカメラです。
まだ現状を確認しながら上カバーを外しただけの段階ですが
これから本格的に分解整備に取り掛かります。
とにかく動くところはスムーズに駆動できるように
徹底的に清掃整備していきます。

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コニカオートS2のカメラ修理

はい!2023年は本日から通常営業いたします。
いろいろとややこしい世の中ですが
コツコツと地味に仕事をしていきますので
よろしくお願い申し上げます。

今日は「ホームセキュリティの日」だそうですよ。
昔から空き巣とかは確かにあったけど
ほら最近はバイクとかクルマとか
特に再販価値のあるものを持っていると
組織的にゴッソリやられるじゃないですか…
あーゆーのは昔はなかったですよねぇ
まぁ昔は自宅にそんな価値のあるものがなかった時代ですが…
以前にもここで書いたことがあるような気がしますが
私が子供の頃は
在宅していれば家に鍵が掛かっていないのは当たり前…
ちょっとした買い物で30分くらい家空けるっていっても
鍵を掛けずにそのままでかけちゃうというのも普通でしたねぇ…
で、例えば子供の私が友達の家に遊びに行って
家に誰もいなくて鍵が開いてたら
いちおう「あがりますよー」と声はかけて
勝手に上がり込んで待ってたりするのも普通でした。。。
まぁこれは子供だから許されていたのか…(笑
それに比べると今は在宅していても鍵かけるのは必須で
寝るときに鍵かけないなんてありえないですものねぇ…
夏なんて窓から縁側から玄関から全て網戸だけで
フルオープンでしたねぇ…(苦笑)
いや、ホントに今の世の中、戸締りだけはキッチリやりましょうね…
昔と違って怖い人多いですからねぇ

さてさて

本日は「コニカオートS2」のカメラ修理を行っています。
最近、オートS系の修理何だか多いですねぇ
レンズ固定式レンズシャッターの距離計カメラです。
CdSを利用した露出計を搭載し
指針挟み込み式でシャッタスピード優先オート露出も行えます。
ASA感度、SS設定に機械的に連動して
CdSに光を導入する窓の大きさを変化させ
露出計指針を連動させます。
オート時はもちろんのことマニュアル時にも露出計は動作し
露出計の値を参考にしながら
絞り値を設定することで意図的なマニュアル露出の設定が可能です。
シャッターユニットはコパルSVAで最高速は1/500
B・1Sまであるので三脚を使った長時間露光にも対応できます。
レンズはこの時代でも評価の非常に高いコニカヘキサノンレンズで
45mmF1.8を搭載します。
時代的にレンズ一体型カメラとは言え少し大柄ではありますが
その分しっかりホールドもでき整備性も良好です。
全ての設計に少し余裕が伺えます。

お預かりしている「オートS2」は
随分長い間使われずに忘れられた存在になっていたようで
保存環境もあまりよくなかったようです。
まずシャッターは固着で全く切れず
絞り羽根も固着して動きません。
電池は水銀電池が入ったままになっており
新しい電池を入れてもBC・露出計共に全く反応がありません。
ファインダーはカビクモリが酷く、レンズも同様です。
…一言で言えば…全てダメ…ですねぇ(苦笑)
ただ、何かがショックで破損しているとかではないので
一つずつしっかり整備していけば何とかなるかと思います。

今回は外装もだいぶくたびれています…
参考までに上カバーもお預かり時にはこんな感じでした
(画像クリックするとデカい画像になります)


まぁこの年代のカメラではありがちですが
年末に少しだけ取り掛かったので本格的整備の前に
上カバーだけ先に徹底的に清掃しました。
そうすると…


なかなか気持ちよくキレイになりましたねぇ
キズや凹みは修復不可ですが
お金かけて整備するのですから
このくらいはキレイにならないといけませんよねぇ

上カバーはともかく今日からは中身の整備に本格的に取り掛かります。

露出計不動の原因はいつもの電池室周りか配線かSWだろうと
思っていたのですが…今回は露出計本体内部断線のようです。
さすがにこれは中古良品の露出計本体と交換で対応します。
あとはひたすら本来の動きを取り戻せるように
清掃整備を入念に行います。
もともとしっかりできているカメラなので
ちゃんと整備すればまだまだバリバリに使える状態になると思います。
おそらくまともに撮影に使われるのは
数十年ぶりだと思われますが
新しい時代の景色をそのヘキサノンレンズを通して
フィルムに焼き付けていただきたいと思います。

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