月別アーカイブ: 2023年3月

リコーフレックスⅦのカメラ修理

今日は「国立公園指定記念日」なのだそうですよ。
1934(昭和9)年のこの日に
内務省が、瀬戸内海・雲仙・霧島の3ヵ所を国立公園に指定し
日本初の「国立公園」(national park)が誕生したことが由来となっています。
現在の日本の国立公園は34か所ですね。
日本の国立公園の面積の約60%が国有地なのだそうです。
個人的に身近に感じるのはやはり生まれ育った地域周辺を含む
「瀬戸内海国立公園」ですねぇ
子供の頃(小学校低学年くらいかな)家の壁に貼ってあった
中国地方の大きな地図を見ながら
「瀬戸内海国立公園」っていう文字を見ながら
どこかに遊園地みたいなでっかい公園があるんだと思っていました(笑)
いや子供だから「公園=遊具がある楽しい広場」なんですよねぇ
そういう施設的なものがなういものを知った時には
軽くショックだったようなかすかな記憶が…(苦笑)
過去の記憶はさておき私がいまだに写真をたまに取りに行ったりする
倉橋島の鹿老渡も指定地ですし
呉市内の休山や野呂山も指定地です。
休山や野呂山の桜はそろそろシーズンですねぇ…
「休山せんべい」食べたくなってきたな…(笑

さてさて

本日は「リコーフレックスⅦ」のカメラ修理を行っています。
1940年あたり(諸説あり)から始まる
この時代のリコーを代表するカメラですが
いわゆる前玉回転ギアを備えるおなじみのリコーフレックスの形になったのは
1950年発売の「Ⅲ」からです。
そして爆発的なヒットとなりこの時代の「二眼レフブーム」を
牽引するカメラとなりました。
一時は日本全体のカメラ生産量の50%以上を
リコーフレックスが占めるほどのベストセラーとなったそうです。
いわゆるプレスボディーのリコーフレックスは
他メーカーの120フィルム二眼レフに比べても軽量コンパクトで
機能も非常にシンプルです。
現在でも人気なのはこのコンパクトさとシンプルさにあると思われますが
当時ヒットした要因は何といっても
性能と価格のバランスに優れていたからでしょうね。

今回お預かりしているのは1952年発売の「Ⅶ」です。
初期モデルといえる「Ⅲ」に比べると
ルーペも装備され裏ブタロックもあり
かなり使いやすい仕様に進化しています。
この「Ⅶ」からアイレベルで使える
コンツールファインダーがファインダーフードに組み込まれています。
シャッターはリケンシャッター搭載で
Bに1/25・1/50・1/100、3速のシンプルなシャッターユニットです。
レンズは「Ⅲ」以来、引き継がれている
3群3枚リコーアナスチグマット80mmF3.5をテイクレンズに搭載します。
これもシンプルな構成ですが写りの評価の高いレンズです。

リコーフレックスは非常に数多く売れたカメラということで
現存台数も非常に多いのですが
さすがに70年前のカメラで比較的お求めやすい価格ということもあり
保管環境もよくないものが多く
まともに動かないものが多い印象です。
ただ、レンズのガラス劣化によるクモリ等は
どうにもならない部分がありますが
機械的な部分がシンプルな構造のため
しっかり整備を行えばまだまだ使えるものも多いことも事実です。

今回お預かりしている「リコフレⅦ」もお預かり時には
ピントギアはおなじみの固着で全く動かず
シャッターも全く切れず
ファインダースクリーンは割れがあり
ミラーの劣化も酷く
ファインダーフードや赤窓も一部破損と
なかなか大変な状態でした。
破損部品に関しては中古部品と交換を行って対処するしかありませんが
機械的な部分に関してはとにかく
正常な動きを取り戻せるように
ひたすら清掃して積年の汚れを除去し
最小限の注油を行っていきます。

画像は一通りの整備が終わって外装の清掃等も完了した状態です。
受付時の画像がないのが残念ですが
見違えるほどキレイになっていると思います。
もちろんシャッターは精度も含めて快調に動作し
ピントギアも指1本で軽快に回ります。
レンズもできる限りの清掃で実用上問題のないレベルです。
ファインダーフードやスクリーン、ファインダーミラーは
中古部品との交換で対処いたしましたが
こちらも非常に良い仕上がりになっております。
これでご依頼者様にも存分に気持ちよく楽しんでいただけると思います。
当時としてはお求めやすいカメラではありますが
メッキ部分の仕上げとかを見ていると
高級感に溢れていて眺めているだけでも楽しいカメラです。

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ニコンFEのカメラ修理

今日、朝ご飯を食べながら
「3月15日か。。。最後(3・15)の日だなぁ。。。」なんて
考えていましたが
さすがにそんな縁起の悪そうな語呂合わせの記念日はなく(笑
今日は「靴の記念日」だそうです。
足元って意外と目立ちますし
街中でも意外と人の靴って見てしまいますよねぇ
サラリーマン時代はかなり気を使っていましたが
革靴をほとんど履かなくなってからは
割と無頓着になってしまいました(苦笑)
普段は家と仕事場の往復だと
スニーカーかサンダル履きが主ですし…
それでも昨年、高校生の頃にめっちゃ流行っていた
リーガルのサドルシューズを買ったのですが
あまりにピカピカでもったいなくって
あまり履いていないのですよねぇ…
慣らして馴染ませないといけないのですが…
でも今は履くことも少ないですが
登山靴やらライディングシューズやら
それなりにこだわったいい靴はいろいろ保管してあるのですよねぇ
幼児なくてもたまには履かないと痛んじゃいますね…
でも靴は機能的にも見た目的にも大事なアイテムです。
お気に入りのいいものを数足は持っておきたいですね!

さてさて

本日は「ニコンFE」のカメラ修理を行っています。
ニコマートEL系を源流とする
電子制御の中級機です。
前身のニコマートELと比べると
ボディサイズもコンパクトになり非常に洗練されたイメージです。
発売開始は1978年です。
電子制御シャッター機の場合、
電池がないとシャッターが全く動作しないカメラも多い中、
FEはここもニコンらしく1/90とBに関しては機械動作で
電源のない状態でシャッターを切ることが可能です。
個人的に昔、夜景撮影等にはまったことがあって
そういう場合に「B」が機械制御で電池を消耗しないのは
大きいのですよね。
夜間撮影で季節によってはかなり気温が低い場合もあるので
電池を消費するものだとあっという間に電池がなくなってしまうのです。
FEはそうしうエマージェンシー的な部分だけではなく
非常に使いやすい露出計表示もあって
絞り優先オート時に使いやすいのはもちろん
マニュアル露出時にも非常に露出のコントロールがしやすいカメラです。
加えて電子制御器とはいえ電子部品のトラブルは
かなり少ないほうです。
機械制御だからといって部品の手に入らない現代では
修理不可能になる場合も多いので
耐久性を含めてもFEはかなり優れていると思います。

お預かりしているFEも一通りは動作しており
電気関係のトラブルの心配はなさそうです。
ただ長い間未整備であることは間違いなく
各部のモルトは劣化していて
内部モルトも含めて早めの交換が必要と思われます。
シャッター羽根にも汚れの付着等で
少々動きが悪く高速シャッターの精度は少々不安定です。
加えてオート制御が全体的にかなりアンダー目です。
巻上にも油切れの兆候が見られます。
撮影に致命的なトラブルが発生しているわけではなく
このままでも全く使えないわけではないのですが
快適に間違いなく使うためには整備の必要な状況です。

FEの整備依頼は一時期ほど多くはないのですが
それでもかなり頻繁に依頼のあるカメラです。
さすがに様々なトラブルに直面したことと
それに伴い資料やデータも貯めこんでいるので
比較的対処の行いやすいカメラではあります。
それでもやはり電子制御機なので
修理不可能な場合は起こります。
もちろん今回はそんな心配はありませんが…
まだ取り掛かったばかりですが
抑えるべきポイントはわかっているので
そのあたりを中心に入念に分解整備を行っていきます。

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ニコマートFT2のカメラ修理

今日は「ペヤングソース焼きそばの日」だそうですよ。
1975(昭和50)年3月13日に発売されたことが由来となっているそうです。
手軽に食べられて美味しいですよねぇ~
さすがに最近は普通のカップ麺でも
味が濃すぎて(しょっぱすぎて)敬遠気味なのですが
ペヤングはたまに無性に食べたくなりますよねぇ
(1個は食べられないかもしれませんが…)
昔は給料日前とかに「超大盛り」に
めちゃくちゃお世話になったのですが…(苦笑)
でも私が「ペヤング」を知ったのは約20年前…
関東に来てからなのですね…
それまでは名前すら知りませんでした…
西日本在住の方はわかると思うのですが
私の出身地・広島では「ペヤング」って売ってないのですよ
(今はあるらしい…)
西日本は「カップ焼きそば」と言えば
「日清・UFO」1強状態でほかの銘柄が入り込む余地がないほどなのです。
だからこっちきて「ペヤング」を初めて知って
その知名度の高さにかなりびっくりした覚えがあります。
UFOも美味いのですよねぇ…馴染んだ味だから忘れないですよねぇ
なんだかカップ焼きそば食べたくなってきました…
でも細かいこと言えば全く「焼きそば」じゃないのですよねぇ(笑

さてさて

本日は「ニコマートFT2」のカメラ修理を行っています。
1975年発売のカメラです。
大ヒットした「ニコマートFTn」のマイナーチェンジ版です。
初代「FT」登場が1965年、「FTn」の登場が1967年なので
ニコマートFT系は本当にロングセラー機ですね。
「FT2」登場から2年後の1977年には次期モデル「FM」が登場するので
生産台数自体はそれほど多くなく
「FTn」に比べると見かけることも少ないのですが
着実に進化・改良されており非常に使いやすいモデルです。
「FTn」と機能上の違いは、まず使用電池が水銀電池から
酸化銀電池へ変更されています。
電圧維持の問題から酸化銀電池(SR44)がベターですが
アルカリ電池(LR44)でも大きな問題はありません。
ただ電圧降下による精度の変化には注意が必要です。
そしてアクセサルーシューにX接点が装備されホットシューとなっています。
そしてフラッシュ接点もX接点のみに統一されています。
そして細かいことですがASA感度設定レバーが
SSリングレバー先端を押して回すような設定に変更されています。
「FTn」では感度設定部を爪で引っかけて力づくで回すような
使いにくい設定だったのでこれは地味に助かります。
変更部分はどれも小さなことなのですが
どれも実用的で明らかに使いやすく現代的に進化しています。
より熟成されたモデルと言ってよいと思います。

基本的なシャッターや巻上等の構造は従来モデルと変わりません。
露出計回路も巻き戻しクランク下に基盤が追加されていますが
実は回路上は大きく変わりません。
結線を基板上で行うようになった…というレベルです。
ということはSSリング、絞りリングからの情報は
相変わらずのマイラー抵抗使用で伝達するのですが
今回お預かりしている「FT2」もそのマイラー抵抗周りのトラブルです。
電源は入って動作はするのですが
露出計指針がほとんどの場面で振り切れてしまい
露出計として全く使えない状態です。
マイラー抵抗(要は摺動抵抗+ブラシ)の抵抗体に問題があると思われますが
抵抗体が剥離しているようなら残念ながら交換しか手段がなく
既に交換用抵抗は入手不可な状態なので修理不能となります。
ただ、剥離ではなく単に抵抗体表面が汚れている場合も多いので
実際に分解清掃してみないと判断ができないのです。
結果からいうと今回は抵抗体清掃でほぼ問題ない状態になりました。
調整も行い精度的に問題がなく普通に使える状態に改善できました。
さすがに多少の抵抗体の劣化はあるので
リング側の設定によっては過敏に反応する部分もわずかになるのですが
ほぼ気にならない状態になっていると思います。
やってみないとわからない部分が多いのでいつも不安にはなりますが
今回もなんとかなりそうで一安心です。

画像はまだ分解に取り掛かり始めのものです。
露出計周りは上記の通りですが
シャッター周りも一部動きの悪い部分が見られ
高速シャッターでの精度が今一つなので
巻上部やミラー駆動部と一緒に一通りの整備を行っていきます。

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マミヤ35スーパーデラックスのカメラ修理

今日は3月12日…
語呂合わせで「サ(3)イ(1)フ(2)」
「サイフの日」だそうです。
毎日触れて持ち歩くものですからいいものを使いたいですよね!
そういえば私も昨年、財布を買い換えました。
それまで使っていた財布も
思い入れもあり相当気に入っていて
手に入れてからかれこれ20年近く使っていたのですが
お札入れもあちこちほつれてきて
小銭入れに至っては一部破損したままここ数年使っていたので
「さすがにみっともないし残念だけど買い換えなきゃ…」と思っていたところに
中学生の頃、憧れていた国内ブランドがまだ健在であることを知り
その頃欲しがっていた、いかにもガキっぽいものでなく
今持ってても「あーこれはいい!」と思えるものもあったので
長財布を新調したのです!
(まぁいわゆる海外ハイブランドに比べれば
全くもってたいした価格ではないですが…)
10代の頃にあこがれたものを手に入れるのはやはり満足度高いですねぇ
使い始めて半年たちますが毎日触るだけで
少し嬉しくなってきます。
これも20年くらい持つかなぁ…じゃぁもうこれが最後の財布だな…(笑

さてさて

本日は「マミヤ35スーパーデラックス」のカメラ修理を行っています。
様々なモデルがって非常に複雑でわかりにくい
「マミヤ35シリーズ」の一員ですが
今回の「スーパーデラックス」は見た目からしてわかりやすいカメラです。
モデル名の刻印も前面にありますが
なんといっても目立つのは「セコール48mmF1.5」の大口径レンズ…
F1.7搭載モデルと2種類存在するようですが
今回はF1.5搭載モデルです。
もはや当時の最高級一眼レフに組み合わされるスペックといえますね。
見た目にも大迫力で
まさにその名の通り「スーパーデラックス」ですね
レンズ一体式のレンジファインダー機なので
ジャンルとしては「コンパクトカメラ」に分類される形式ですが
全くコンパクトではありません。
それでもボディだけを見比べれば当時の
(スーパーデラックスは1964年発売)
「ミノルタハイマチック」や「ヤシカエレクトロ35」あたりと
ボディサイズはさほど変わらないので
現在の感覚ではいえば「コンパクト」ではありませんが
びっくりするほど大きいわけでもありません。
でもレンズを含めるとやはりかなり大きいです。
そしてレンズが大きいということは重いです
(ガラスは重いですからね)
ほぼ1kg近くあるのですね。
それでもこの大口径レンズと直線的なデザインのボディは
非常に魅力的なカメラだと思います。

お預かりしている「スーパーデラックス」は
もともと調子が悪く使われなった上にそこから
かなり長い間仕舞い込まれていた個体化と思われます。
電池室及びその周辺にはかなり緑青が見られ
配線は当然断線してしまっています。
もともと距離計二重像は薄めですが
さらにファインダー内の曇りも酷く
ほぼ二重像が見えない状態になってしまっています。
落下歴も過去にあるようで外装も一部破損しています。
外装破損部は交換部品がないので
できる限りの修復してかできませんが
全体的にかなり汚れて動きも悪い状態なので
一通りの整備清掃で何とか使える状態にしていきます。

肝心のシャッター周りとレンズは
清掃整備で問題ない状態に復帰できそうです。
露出計本体は生きていますが
このカメラの露出計は絞り・SSリングに
電気的抵抗で連動するタイプで
この形式の露出計にありがちな摺動抵抗の剥離よる
動きの不安定さは全て改善とはいかないと思われます。
できる限りの整備調整で
何とかある程度は使える状態にはできそうです。
巻上機構にもトラブルを抱えていましたが
そちらは問題なく改善できそうですね…
なんといってもレンズに大きなダメージがなく
一通りのカビ取りと清掃で問題なく本来の性能を発揮できそうです。
どんな写真が撮れるのか楽しみなカメラですね

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コニカC35E&Lのカメラ修理

今日は3月10日…
イメージしやすい語呂合わせの記念日がたくさん制定されています。
「砂糖の日」「佐渡の日」「水戸の日」
「サボテンの日」「ミントの日」
「見合いの日」「ミートソースの日」…等々…
それとは関係なく今日は「東海道・山陽新幹線全線開通の日」なんですね。
山陽新幹線・岡山駅~博多駅間が延伸開業して
1975(昭和50)年のこの日山陽新幹線が全線開業した日…
ということで、私の生まれ故郷広島に
新幹線が通るようになった日でもあるのですねぇ
でもこのニュースはかすかに覚えていて
じいさんに「広島駅に新幹線見に行こうよー」と
ねだった記憶がありますねぇ
この年の秋には我が広島東洋カープがリーグ初優勝して
そっちの記憶のほうがお祭り騒ぎで鮮明に覚えていたりしますが…(笑
何にせよもう半世紀近く昔の話なのですよね
なんだか時の流れを痛切に感じます…

さてさて

本日は「コニカC35E&L」のカメラ修理を行っています。
1971年発売のカメラです。
「じゃーに~コニカ」の派生モデルです。
この2年前に発売された初代C35から
距離計とセルフタイマーを省略したカメラです。
ピントは目測式となり
ファインダー右下隅にピントリングの目測マークが
直読できるようになっています。
コンパクトで手軽に使えるカメラなので
このカメラには目測式も合っているような気がします。
距離計搭載でもアバウトに合わせて素早く撮れば同じことなのですが
ファインダー内に二重像が見えていると
やはりきっちり距離計を合わせたくなってしまうので
それであれば潔く目測でアバウトにしか合わせられないほうが
使いやすいのではないかとも思います。
露出計や露出制御は通常のC35と一緒で
CdS露出計の指針抑え式のプログラムオートです。
露出計を振り切ってしまうあるいは露出計が全く動かないような
極端な光の過不足があっても
いわゆるシャッターロックの類は搭載されていないので
とりあえずシャッターは切ることができます。
気を付けないと露出過不足の写真を量産する可能性もありますが
現在の性能の良いフィルムであれば
そうとわかっていても
とりあえずシャッターを切りたい場面は多いと思いますので
個人的には余計なシャッターロックがないほうが好みです。
でもレンズキャップをしていても切れるということなので
(一眼レフ機ではないので当然ファインダーも見えています)
キャップはあえて付けないほうが良いような気もします。
(保護フィルターはあったほうがいいでしょうね)

前置きが長くなりました。
お預かりしている「E&L」はまずはC35の定番で
シャッター羽根がゆっくりとしか動きません。
他のレンズシャッター機だとシャッター羽根の汚れや油滲みが
原因で同じ症状になることが多いのですが
C35の場合は構造上、羽根には油滲みは回りにくく
羽根の汚れではなく羽根を駆動している
バネで動く駆動部の円盤の動きが粘ることが原因のことが多いのです。
今回のやはりそこが原因のようです。
レンズ・ファインダーの状態は比較的良く
電池室周りの腐食も少なく調整は必要なものの
露出計・オートも動作しています。
ただしフィルム室にふんだんに使用されているモルトは全滅です。
この価格帯のコンパクトカメラはコストも関係もあり
裏蓋周りの遮光を大量のモルトに頼るパターンが多く
劣化した際の周りに及ぶ腐食ダメージは
一眼レフ等よりも甚大です。
粘着質と化したモルトは入念に取り除き周りも清掃を行い
新しいモルトに交換していきます。

シャッター駆動部の円盤がボディ下から少し見えていますね。
ここからさらに分解を進めて駆動部の清掃整備を行っていきます。
もちろんシャッター羽根自体の清掃も並行して行います。
小さなカメラですが余計な機能がないシンプルな構造ということもあり
非常に整備性は良いカメラです。
ビハインドシャッターなのでレンズ清掃やヘリコイド周りの
整備清掃も行いやすいカメラです。
ただ、今回は大丈夫でしたが電池室周りの腐食が広がって
CdSや露出計本体に影響が出ている場合も多く
そうなってくると非常に手間がかかることも多くあるカメラです。
きちんと整備されたC35は気軽に持ち歩ける非常に使いやすいカメラです。
ご依頼者様にもぜひ本来の状態で
存分に持ち歩いていただきたいと思います。

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コニカFSのカメラ修理

今日は3月8日…語呂合わせの記念日が多い日ですねぇ
「みつばちの日」、「みやげの日」
「サバの日」、「ビールサーバーの日」
「サンワの日・、「ザンパの日」、「散髪の日」…等々
そんな中に語呂合わせとは全く関係なく
「エスカレーターの日」なのですね。
1914(大正3)年のこの日に
東京・上野の大正博覧会の会場に
日本初のエスカレーターが設置され
この日運転試験が行われたことが由来となっています。
エスカレータ…駅でもデパートでも近所のスーパーでも
毎日のように乗る機会があるような気がします。
ちなみに日本で最も長いエスカレーターは
香川県丸亀市にあるニューレオマワールドのエスカレーター
「マジックストロー」が高低差42m・全長96mで日本一となっており
乗車時間は3分14秒なのだそうです。長いですね!
最も短いエスカレーターは
川崎駅前の地下街アゼリアと川崎岡田屋モアーズ地下2階を結ぶ
下りエスカレーターで、高低差83.4cm、段数はわずか5段、
乗車時間はたった5秒だそうです。
1991(平成3)年度版ギネスブックに掲載されているのだそうです。

さてさて

本日は「コニカFS」のカメラ修理を行っています。
1960年代前半のコニカFシリーズの中級機を担うカメラです。
レンズマウントは後のARマウント(かにかまウントⅡ)とは
互換性のない最初の「コニカマウント」です。
FSの「S」はスタンダードの頭文字だそうです。
発売開始は超高級機の位置づけだった「コニカF」と
同時で1960年9月です。
フラッグシップの「F」は金属羽根縦走りのコニカオリジナルシャッターを
搭載していますが
同様の金属羽根縦走りでも「FS」はユニット化されて
ニコマート等でもおなじみの「コパルスクエア」を搭載します。
後にいろいろなカメラに搭載されることとなる「コパルスクエア」ですが
その先駆者となったのが今回の「コニカFS」です。
構造としては露出計を持たないシンプルなカメラです。
コパルスクエアは後の実績でもわかるとおりに
非常に堅牢で安定した動きをするシャッターユニットです。

お預かりしている「コニカFS」は
シャッター羽根の汚れ等で若干シャッター羽根の動きに
不安定さがあるものの何とかシャッターは動作しているような状態です。
ただ、それ以外の巻上やミラー駆動部、特にミラーチャージ機構に
動作不良が見られたまに巻き上げられなくなったり
シャッターが切れなくなったりと
動作がかなり不安定な状態です。
ただ何かが破損してるわけではなく
経年劣化や汚れ・油切れで動きの悪い部分の多くなってきている状態なので
各部品が通常のバネ力でスムーズに動作できるように
整備を行えば問題なく快適に使える状態になるかと思われます。

まだ取り掛かったばかりの状態での画像ですが
これからミラーボックス等も分離し本格的に整備を行っていきます。
底板の裏にも大きなモルトが貼ってあった跡があり
当然、劣化してボロボロな状況です。
シャッターユニット下側からの光漏れを防ぐためのものですが
ここ以外にもコニカFシリーズは
シャッターユニット周り、ファインダースクリーン周りに
内部モルトを多用しています。
もちろん今回全て劣化モルトは除去し
新しいものを貼っていきますが
このモルト屑が内部のあちこちに入り込んで動作不良の原因になります。
分解時に通常以上に隅々までチェックした上で
入念に清掃を行っていきます。
コニカFSはコパルスクエアらしくシャッターの作動音は
それなりに大きいのですがその音質がちょっとしっとり目で
なかなか魅力的なのですね。
そのあたりも快適に楽しめるようにしっかり仕上げていきたいと思います。

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ニコマートFTのカメラ修理

今日は3月4日…
今日も語呂合わせの記念日が多いですねぇ
「サッシの日」、「三線(さんしん)の日」、
「ミシンの日」、「三姉妹の日」、
「差し入れの日」、「酸蝕歯の日」…等々…
そんな中に「雑誌の日」もありますね。
クルマ・バイク雑誌、写真・カメラ雑誌、
登山・アウトドア雑誌、オーディオ・音楽雑誌…
その頃に興味があったものの雑誌を
なんだかんだで毎月大量に買っていましたが
ここ近年は全く手に取ることがなくなってしまいましたね…
単に歳とって志向が変わったのもありますが
大概の情報はネットで済んでしまう世の中になってしまいましたものね。
実際に刊行される雑誌の数も20年前あたりに比べたら
圧倒的に少なくなってきていると思います。
歴史ある雑誌の休刊・廃刊のニュースもたまに聞きますものね…
これも時代の流れなんでしょうね。
ちょっと寂しいような気もしますが
自分自身も全く雑誌を買わなくなったので致し方ないような気もします。
お店や自宅の古い資料を調べ物でひっくり返していると
昔のカメラ雑誌等が出てきて
それを読み始めると
止まらなくなってしまったりはしますが
それは懐かしさありきのものなので
また異なるものですね。

さてさて

本日は「ニコマートFT」のカメラ修理を行っています。
FT系のニコマートだと「FTn」の登場回数が
圧倒的に多いのですが
今回は最初のニコマートでもある「FT」です。
1965年発売のカメラです。
既にニコンはフラッグシップ機では「F」で大成功を収めていて
それに続く中級機をコストを抑えるために社外に
生産を託した「ニコレックスシリーズ」を展開しましたが
これが商業的には決して成功とはいえず
機能的にも信頼性的にもニコンクオリティとは言い難いレベルでした。
そのあたりを考慮して改めてスタートした中級機シリーズが
「ニコマート」ブランドなわけです。
汎用的なコパル製の金属製縦走りシャッターユニットを採用し
コストダウンをしつつも
ニコン基準の品質を維持するために開発製造はニコン社内で行われ
信頼性も格段に向上しました。
実際にニコマート特にFT系は非常に丈夫なカメラです。
この時代、コパルシャッターもいろいろなカメラで採用されていますが
どのカメラでも非常に安定した動作を見せてくれます。
製造から50年以上経過しているカメラなのに
致命的に動かない個体が非常に少ないのです。

今回のニコマートFTもまずはシャッターは動作しています。
たださすがに何十年も放置されていた個体とみられ
精度までは出ていません。
それでもとりあえず動くだけでもすごいのですが…
まずシャッター羽根の汚れ等で微妙に動きが悪いと思われ
高速シャッターの精度は全く出ていません。
単に精度が出てないだけではなく不安定なので
きちんとした露出を出そうとすると
とても使えないレベルです。
さらに低速シャッターでは
頻繁にシャッターが開いたまま固着していしまいます。
1秒、1/2秒ではほぼ100%開いたままで固着していしまいます。
シャッターユニット内組み込みのスローガバナの動作不良のようです。
加えて巻上にも油切れでスムーズさはなく
ファインダーや装着されているレンズにもカビが発生しています。
ただ電池はしっかり抜いてあったようで
電池室周りの腐食等はなく露出計も調整は必要ですが
動作している状態です。
全体的に致命的な破損等はないものの
やはり動きをよくするための清掃やメンテナンスが必要な状況です。

露出計回路もシンプルで整備性もよいカメラです。
ここから前板及びミラーボックスを分離して
シャッターユニット周りの整備から行っていきます。
FTnに比べるといわゆる「ガチャガチャ」に対応していないので
レンズ交換を頻繁に行う場合は少し手間なのと
ファインダー内にSS表示がないのが少し寂しいですが
操作的に異なるのはそのくらいで
基本的な構造は後のモデルと大きな違いはありません。
基本的には非常に丈夫なカメラなので
ここでしっかり手を入れておけば
また当分の間、快適に使っていけると思います。

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ニコンFフォトミックのカメラ修理

今日は普通にイメージすれば
もちろん「桃の節句」で「ひな祭り」なのですが
子供の頃から全く縁がなくてイメージわかないのですよねぇ(笑
3月3日で語呂もよいので他にもいろいろな記念日が
制定されていますが
そんな中に「三の日」なんてのがありますね。
日本三大協会というところが1993(平成5)年に制定した記念日です。
日本人は古くから数字の「3」を好み
「三種の神器」「日本三景」「三霊山」「三大祭」「三名園」「三大珍味」など
3つでくくることによって物事が安定すると考えられ
同協会では、その「3」についての収集、研究を行っているのだそうです。
「三大ほにゃらら」は確かに多いですよね!
(怒り新党を思い出しますね(笑))
そういえば「三種の神器」って
本来の秘宝の意味ではなく家電製品で例えて
1950年代は白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫
1960年代にはカラーテレビ・クーラー・自動車の3種類が
「新・三種の神器」とされていましたが
現在だと何になるでしょうね?
間違いなく「スマホ」は入りますよね?
…ん?…調べてみたら
やはりそういうのもいろいろ考えられているようで
「ロボット掃除機」「ドラム式洗濯機」「食器洗い乾燥機」とかが
あげられることが多いようです…
…いや…これ…何一つ持っていませんが?(笑)

さてさて

本日は「ニコンFフォトミック」のカメラ修理を行っています。
1959年にベーシックなアイレベルファインダーを搭載した
「ニコンF」が発売され
その3年後、1962年に発売された
最初のフォトミックファインダーを搭載したカメラです。
後に「フォトミックT」でTTL平均測光になり
「フォトミックTn」で中央部重点測光になり
フォトミックFTn」でいわゆる「ガチャガチャ」に対応するのですが
今回は一番最初の外光式露出計を搭載するフォトミックとなります。
本体側は通常の「F」と同様です。

お預かりしている「Fフォトミック」は
本体側も油切れ等の症状があちこちに見られ
シャッターは切れているものの
巻上はスムーズではなく
高速シャッターの精度は全く出ていない状態で
低速側は1/30以下もすべて1/60で切れる状態です。
スローガバナにリンクできていない状態です。
そのスローガバナも結構強烈に固着しています。
かなり長い間、使われずに仕舞い込まれたままだったと思われます。
それでもボディ側は分解整備清掃注油で
本来の動きを取り戻すことはそう困難ではないと思われますが
問題はフォトミックファインダー側です。
当時の水銀電池が入ったままで液漏れ腐食の原因となっていて
緑青・腐食がかなり広範囲に広がっています。
なんとプリズム内部まで緑青が見られる状態です。
プリズムの外側とか表面ではなくて
蒸着の内側です…もうこれはどうしようもありません。
ただ不幸中の幸いなのはプリズムを取り外して見ると
相当、緑青や腐食が目立つのですが
実際にファインダーに装着して接眼レンズから見ると
それほど目立たなく、緑青の酷い部分はほぼ視野外なのです。
外側部分のできる限りの清掃のみを行います。
そして露出計部分も残念ながら今回は修理不可能です。
電池室・SW部の腐食だけなら代用部品等を駆使して
何とかすることもできますが
内部の抵抗体がもう腐食と蒸着剥がれで残念ながら修理不能です。
ここは交換部品がないと残念ながらどうにもなりません。

通常はボディ側から整備を始めることがほとんどなのですが
今回はとにかくファインダー側に気がかりな部分が多かったので
フォトミックファインダー側から整備を始めています。
露出計に関しては残念ですが
通常の撮影ができるように他部分の清掃整備をしっかり行っていきます。

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ヤシカエレクトロCCNのカメラ修理

今日は3月2日…語呂合わせでわかりやすく
「ミニの日」ですね。
この記念日でいう「ミニ」は
いわゆるミニチュアのことを指しているそうです。
「ミニチュア(miniature)」は縮尺模型のことで
スケール(縮尺)に基づいて忠実に再現した模型のことを指し
「スケールモデル」とも呼ばれます。
ミニカーや鉄道模型もそうですねぇ
精密に再現されたミニチュアは見ているだけでも楽しいですし
持っているとなんだか所有欲も満たされるのですよねぇ
ハマるとちょっと怖い世界ですが…(苦笑)
プラモデルだってそうですねぇ
私はそこまでできませんが精密且つ美しく仕上げるモデラーさんの
作ったプラモデルは眺めていても息を飲む美しさですものね。
カメラだって大きな重いボディで堅牢に動くカメラもよいですが
小さくて精密に造られているカメラもまたいいものですよね。
この「小さくて精密」っていうキーワードに
弱い方は結構多いかと思います…私もですが…(笑

さてさて

今日のカメラもなかなか小さくて精密なカメラです。
(カメラは基本的にどれも精密ではありますが…)
「ヤシカエレクトロ35CCN」
コンパクトなボディに35mmF1.8の大口径広角レンズを搭載します。
この35mmというところが大きな特徴です。
エレクトロの他モデルは40mm~45mmのレンズを搭載しており
他メーカーのこのジャンルのカメラでも
40mm前後のレンズであることがほとんどです。
さらに目測ではなく距離計搭載となると
同じようなカメラはほとんどないと思われます。
ただし、このエレクトロCC(N)は
絞り羽根が2枚羽でかなり特殊な形状をしていますので
解放以外ではいわゆる「ボケ味」を楽しむカメラではありません。
でも絞り優先オート専用機なので
減光フィルター等を駆使して解放で使ってみるのは面白いかもしれませんね
このカメラだけではありませんがこの時代のカメラで
大口径レンズを搭載しているのは
光量の少ない場面で何とか速いSSを確保するためのものです。
この頃のフィルムはISO(ASA)100が標準でもありますし…
エレクトロは元来「ろうそく1本の光でも写るカメラを目指す」というのが
初代からのコンセプトなのでそこにブレはないですね!
ちなみにCCとCCNの違いは外装に「WIDE」のプレートが付いているくらいで
機能的にも変わりません。
シャッタスピードの最高速は1/250と少し遅めなので
感度400のフィルムを使う場合は少々注意が必要かもしれません。

お預かりしている「CCN」は一見電池室の腐食もなく
電池を入れるとバッテリーチェックランプも元気に点灯します。
シャッターも快調に切れているよう…です…が…いやおかしいですね(苦笑)
測定機にかけて簡単にチェックしてみると
明るさ・絞り設定に対して異様に速いシャッタスピードで切れています。
実際にフィルム面に届く光は当然ながらアンダーすぎて話になりません。
測定機でもエラーになる状態です。
無条件に最高速で切れてるいるのか???と思うとそうでもないらしく
非常に暗いところにレンズを向けると
少しだけ遅いシャッタースピードに制御されます。
ただそれも正常なら数秒シャッターが開くような状況での話です。
エレクトロシリーズなので光量不足気味でスローシャッターを
選択する場合は警告灯が光ります。
いろいろ試してみるとその警告灯が出るタイミングは正しいようです。
警告灯は出るのに実際は1/250で切れる…みたいな状態です。
うーん、マグネットの吸着の問題なのか
マグネット制御部の問題でしょうか…ちょっと珍しいパターンです。

うーん…いろいろ考えこんでしまいますが
いくつかこうなる原因に思いつくこともあるので
まずは簡単にて手を出せるマグネット周りから
いろいろ調べながら試していきます。
現時点では断言はできませんが
おそらく何とかなるのではないかとは思います。
こうなってくると電子制御カメラはやはり少々厄介ですね。
確率は低いですが
散々時間と手間をかけていろんなことを試しても
最終的には「修理不能」という可能性もあるわけなので…
まぁ今回は何とかなると思います。
考えられる問題個所を一つずつ検証しながら作業を進めていきます。

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キヤノンEFのカメラ修理

今日から3月ですねぇ…
やはり1・2・3月は一段と早く過ぎ去るような気がしますねぇ
ボーっとしてるとあっという間に4月になりそうです。
一部SNSではお知らせしていましたが
2月24日(金)の朝にPCがいきなり立ち上がりならなくなり
そのままメーカーに修理に出すことになってしまいました。
で、ここのブログもサイトも更新が止まっていたのです。
お金の動きから作業管理から納品書出力…
何もかもPCありきの業務だったのでさすがに参りました。
まぁメインの仕事であるカメラ修理整備だけは
黙々といつも通り進められるのですが…付帯業務は全滅です(苦笑)
メーカーさんが迅速に対応してくれたおかげで
週末のトラブルだったのにもかかわらず
昨日(火曜日)には修理完了で戻ってきたので
何とか被害は最小限で食い止められましたが
OS再インストールで
システムドライブはほぼ初期化されてしまったので
データドライブで保持していなかった一部データは完全に消失しました…
それほど深刻な事態にはなりませんが
ちょっといろいろとしばらくは不便になりそうです。
で、PC初期設定以外のアプリは全て再インストールです。
これが大変で昨日も休日返上で夜中までやっていましたが
まだ完全に復旧していません…
実はここのブログにログインするにも非常に苦労しました(苦笑)
バックアップ体制は再検討します。やはり大事ですね。
今日は3月1日で記念日も多いのですが
なんだか微妙なモノが多いですねぇ
そんな中、「未唯mie」の日なんてのがありますよ。
ピンク・レディーのミーさんの日ですね!
いまだにレコード聴きますよ
カルメン77が好きで好きで…(笑

さてさて

本日は「キヤノンEF」のカメラ修理を行っています。
1973年発売のカメラです。
一応、Fシリーズの仲間…という立ち位置ではあるのですが
非常に異端児的存在のカメラです。
FシリーズはEXあたりを含めても
全機種布幕横走りシャッター機なのですが
このEFだけはコパル製金属羽縦走りシャッターユニットを採用しています。
さらにFシリーズ本体では採用しなかったSS優先オートを搭載します。
(EXシリーズはSS優先オートを搭載しています)
さらに1秒以上のスローシャッターでは電子制御で
シャッターを開く時間をコントロールし
最長30秒のスローシャッターを実現しています。
逆に言うと1/2~1/1000までは機械制御なのですね。
実は電子的に制御しているのはこの1秒以上のスローシャッターだけで
SS優先オートも露出計指針連動の機械制御です。
当然、露出計が動作していないと動作できないのですが
制御自体は機械的に行います。
なんとも不思議な造りのカメラです。
構造的にも他のFシリーズと共通する部分が非常に少ないのです。
既に「QL」も省略されていますし…
次に大きなモデルチェンジを行い新しい「Aシリーズ」として
再出発する「AE-1」までの繋ぎと言われることも多いですが
ユニットシャッターを採用して短い開発期間と
比較的少ない開発コストで
オート搭載機を出しておきたかったのだと勝手に思っています。
でもスタイリングは「Fシリーズ」とも「Aシリーズ」とも異なる
非常にキヤノンらしいスタイリッシュなデザインで
文句なしにカッコいいと思います。
色もブラックのみで
ちょっと「F-1」のテイストが混じっている感じもしますね!

その特異な立ち位置とカッコよさもあり
意外とファンの多いEFは修理依頼も比較的多いカメラです。
しかしながら電子制御スローシャッター部に関しては
場合によっては修理不能の個体も存在します。
お預かりしている「EF」は電源が非常に不安定で
露出計が動作したりしなかったり…
スローシャッターも動作したりしなかったりです。
電子的制御ができない場合(電池切れも含め)は
1秒以上のスローは全て機械制御の1/2で切れるようになっています。
1秒以上のシャッターは「電子制御時間+機械制御1/2」で切れるので
例えばSSを2秒で設定すると
1.5秒を電子制御で開き、残りの1/2を機械制御(スローガバナ)で制御します。
こういうところもなかなか変わったカメラです。
ちなみに電子制御中(この場合最初の1.5秒の間)は上面の赤LEDが点滅します。
話が少しそれましたが
バッテリーチェックも同じく上面のLEDが点滅なのですが…
このEFはそこは全く点灯しません…
電池室そのものはキレイなので腐食はあまりないかと思ったのですが
底カバーをまずは開けてみると…
結構な腐食と緑青が全体に広がっています。
電源不安定やBC不点灯の原因はどうやらこれですね…

基盤周りや電子制御部にダメージはなさそうで一安心です。
とはいえ、機械的部分も汚れや古い油脂類で
動きが悪いところが多々散見されるので
やはり全体をキチンと整備する必要はあります。
高速シャッターの精度もそのせいでイマイチですし
露出計・オートの精度にも問題があります。
スローシャッターの電子制御部とLED制御部が何とか無事であれば
他は何とかなるカメラなので
電源周りの不具合を何とか修理して
問題ない状態に仕上げていきたいと思います。

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