ニコンFEのカメラ修理

今日は「冥王星の日」だそうですよ。
1930年にクライド・トンボーが
1月23日と29日に撮影した写真を見比べていて
冥王星を発見した日です。
冥王星は地球から見ると15等星の暗さです。
15等星クラスの恒星なんてそれこそ星の数ほど
あるはずなのによく見つかりましたよね。。。
冥王星は9番目の惑星として発見されましたが
現在は準惑星の扱いになってしまっています。
冥王星の公転軌道は他の惑星と比べても大きく傾いている上に
かなりの楕円形です。近日点近くでは海王星より太陽に近くなります。
大きさも月よりずっと小さいのです。
でも子供の頃に教わったから、やはり未だに「9番目の惑星」のイメージですね。
「すいきんちかもくどってんかいめい」ですよね(笑)

さてさて

本日は「ニコンFE」のカメラ修理を行っています。
今回のご依頼品ではないのですが
昨日、来店されたお客様が
「FEの修理」って言っただけで「電子制御カメラはダメ」だと
断られてしまうことが多い。。。とおっしゃっていました。
「FE」は電子制御カメラとはいえ
比較的その構造はシンプルです。
確かに電子基板内のトラブルだと修理不能のものもありますが
大抵のトラブルは機械的要因のものがほとんどです。
FEの電子基盤は非常に安定していて
そう簡単には壊れないイメージがあります。

今回、お預かりしたFEは
一通り動作しているのですが
シャッター速度が大きく狂ってしまっているようです。
縦走りシャッターでこういう場合は一番に
シャッター羽根の汚れによる動作不良を疑いますが
今回はどうもそれが原因ではないようです。
(シャッター羽根清掃しても改善しなかったため)
上カバーには明らかに開けられた様子があります。
どうやら電子基板上の設定がおかしくなってしまっているようです。
シャッタースピードは全体的にかなり早めで
1/1000は1/2000以上で切れてしまっています。
何かのきっかけで閉じてしまいそうなほどです。
わかりやすいのは1秒以下のシャッター時で
例えば1秒のSSで実際は0.6秒くらいで切れてしまいます。
それとは別の問題でオートも全体的にアンダー気味です。
これでは何とか撮ることはできても
厳密に露出決定したいときにはかなり不安ですよね。

写真は一通り整備完了後に撮ったものです。
現在、動きが安定するまで少し様子見をしています。
FEの紹介をするときにはいつも書いているような気がしますが
FEの追針式の露出計は
正しいSSと現在のSSがどのくらい離れているか
直感的にわかり、非常に使いやすい露出計です。
F3やFMもこの露出計だったらもっと良かったのに。。。と
いつも思ってしまいます。
もちろんファインダー内でも絞り値は読むことができ
(Aiレンズ使用時のみ)
適度にコンパクトなボディで非常に使いやすいカメラです。

ところで、FEを今回の修理で初めて使う。。。という方には
漏れなく説明するようにしているのですが
絞り優先AEで使う時は必ず露出計の針が
1/1000以下のところを指している状態で撮影してください。
(ISO400で屋外だと絞り込まないと
1/1000以上に振り切っていることは多いと思います)

生産時期にもよるのですが
1/1000を振り切っている状態でシャッターを切ると
FEの場合、シャッターは切れますが実際には羽根は開きません。
要は何も写らないということです。

後期のものだと振り切っている場合には無条件に
1/1000で切れるものも存在するのですが
今、出回っているFEの大半が羽根が開かないタイプだと思われます。
他の絞り優先AE機でも同様の仕様のものもあるので
AEだからといって何も気にせずシャッターを押すのではなくて
露出計がどこを指しているかは気にしていただければと思います。

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