ニコレックスオート35のカメラ修理

今日は二十四節気でいうところの「雨水」ですね。
空から降るものが雪から雨に変わり
雪が溶け始めるころ、ということですが
まだまだ今月終わりくらいまでは寒いそうです。
そろそろ本格的に暖かくなってほしいですね。

さてさて

本日は「ニコレックスオート35」のカメラ修理を行っております。
あまり聞きなれないモデルかもしれませんが
このモデル名は輸出モデルの名前で
当初は輸出専用モデルでしたが
小変更を行って「ニコンオート35」として
国内販売もされています。(1964年発売)

いわゆるレンズシャッターの一眼レフです。
話が少々逸れますが
レンズシャッターの一眼レフはレンズシャッターを
巻上に連動してチャージさせるための
クランクが構造的に弱く
ここが破損、変形しているものが多く存在します。
今回はこの部分に心配がない様子だったので
お預かりいたしましたが
基本的にはレンズシャッターの35mm一眼レフは
当店では修理不可能なものが多いです。

レンズシャッターで一眼レフ、(マミヤRB67等もそうですね)
それでいてクイックリターンミラーを装備。。。ということで
なかなか凝ったメカニズムになっています。
通常の一眼レフ同様にペンタプリズムを装備しますが
屋根が飛び出したデザインではなく
ここもかなり目を引くポイントだと思います。

お弁当箱みたいなデザインが何とも不思議なカメラです。
個人的にはなかなか面白いカメラだと思います。
レンズはニッコール50mmF2の固定式です。
シャッターユニットはセイコーシャSLVで最高速は1/500
露出計指針挟み込み式のシャッタースピード優先AEを搭載します。
ニコン機としては初のAE搭載カメラではないかと思われます。
特にシャッタースピード優先AE搭載機は
次に発売されるのは1983年発売のFAまで存在しないと思われます。
(絞り優先AEはニコマートEL1972年発売が存在します)

一通り動作してますがファインダー内に
モルト屑がたくさん見えています。
露出計は2段ほどオーバーでオートもそれに伴ってオーバーです。
今回は各部点検整備一式を行います。

ニコン機としてはめずらしく
内部モルトが多用されているカメラです。
特にミラーボックス周辺にはモルトが多く使われており
これが劣化すると次々とファインダー内に進入してきます。
レンズシャッター式の一眼レフということで
普段はファインダーを覗くためにシャッターは開きっぱなしです。
フィルムに感光させないためにミラーとその下の遮光板が
フィルム室の蓋の役割をします。
シャッターを切るとまずはシャッター羽根が一旦閉じ
ミラーが跳ね上がります。
その後、絞りが作動しつつ指定のシャッター速度で
シャッター羽根が開閉し、ミラーダウン、再びシャッターが開くという
少々複雑な動きをします。

これからシャッター周り、ミラー駆動部、レンズ清掃、等々
各部点検整備一式に取り掛かります。

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