ニコンFのカメラ修理

都内では朝からポツポツ小雨が降っていますが
今日は四十八節気でいうところの「芒種」ですね。
稲や麦の種まきをする頃、という意味ですが
現在はもっと早い時期に田植えを行っていると思います。
梅雨の始まりの時期でもあり
ホタルも舞い始める時期ですね。
植物や生命の息吹を身近に感じられる時期だと思います。

さてさて

本日は「ニコンF」のカメラ修理を行っています。
言わずと知れた伝説のカメラですが
キチンと整備されたものは
現在でも何の遜色もなく撮影に使用できるカメラです。
現在の価格に換算すると100万円を超えるほどのカメラです。
当時のニコンが社運を賭け全身全霊で作り上げた最高級機で
スペックとしては今や特筆するものはないかもしれませんが
何と言ってもその部品の頑丈さ、作りの良さは
今でも目を見張る部分が多いと思います。

そんなニコンFなので
ショック品や水没品、分解品でない限り
致命的なダメージを抱えている個体は少ないと思います。
今回、お預かりしている「F」もプリズムに多少のダメージが
見られますが普通に撮影するには問題のないレベルです。
ただし各部に動きの悪いところはどうしても出てきています。
やはり中心はシャッター周りで
1/1000は実際には1/400程度しか出ておらず
スローシャッターも不安定な上に大きくズレているようです。
「F」ではたまに見受けられる症状ですが
1秒、1/2秒、1/4秒は細かい精度はさておき
普通に変化していくのですが1/8で1秒ほど開いてしまいます。
いくつか原因が考えられるのですが
今回はスローガバナーを制御している2本の制御棒のうちの
1本が非常に動きが悪いことが原因でした。

シャッター周り、ミラー駆動部、巻上機構部
動作する部分は全て清掃・注油を行った上で
再調整を行いました。
現在は非常に調子よく動作しています。
後は最終チェックを残すのみの状態です。
毎度、書きますが、Fの部品は「これでもか」と言わんばかりに
オーバークオリティな部品が使われています。
そのため販売開始から60年が経過する現在でも
スムーズに動作するように整備を行った上で
再調整してやれば大抵の場合、使用に問題のないレベルに復活します。
まだまだどこかで眠っている「F」はたくさん存在するとは思いますが
機械があれば是非、整備を行った上で使っていただければと思います。

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