ニコンFMのカメラ修理

今日は二十四節気でいうところの「大雪」です。
つい何日か前に「こゆき」じゃなくて「しょうせつ」ですよって
書いたような気がするのですが早いですねぇ。。。
あ、念のために書いておくと「おおゆき」ではなく「だいせつ」です。
「北風が吹いて雪が激しく降り始める頃」という意味です。
首都圏は大雪にふさわしく冷え込んでいて
根シーズンの初雪が降るのではないかと予報も出ていますが
今のところ小雨のようですねぇ。。。
でも個人的には暑苦しい夏よりは冬のほうが好きかな。。。
色んなものの暖かさとありがたさが再確認できるような気もしますし。。。
大雪を過ぎると次は「冬至」でいよいよ年末ですね。

さてさて

本日は「ニコンFM」のカメラ修理を行っています。
ニコマートFT系を祖先とする。機械制御シャッターの中級機で
後継のFM2ともども現在でも非常に人気の高いカメラです。
兄弟機でもある電子制御シャッター機のFE&FE2とともに
70年代後半から80年代の一眼レフを語る上で
外せないカメラだと思います。
FMは1977年の発売でこのカメラの発売で
ニッコールレンズのAi化が一気に進んだといわれています。
(Aiニッコールの発売は1977年3月
FMの発売開始は同年5月)
コパル縦走り金属羽根シャッターを採用し最高速1/1000というスペックは
ニコマート時代と変わりませんが
ボディサイズはニコマートに比べるとかなり軽量コンパクトとなり
デザインもギュッと凝縮感のある質感高いものとなりました。
露出計はLED表示になりましたが
この露出計が少々ウィークポイントで
LED制御部にトラブルが起きた場合は修理不能となることも多い部分です。
せっかく機械制御マニュアル機なのだから
露出計も指針式にしてくれれば良かったのに。。。と昔から思っています(笑)

お預かりしているFMはいくつかトラブルを抱えており
まずは出来上がった写真の一部が真っ黒になることがあるそうです。
一部シャッターが開かないものと思われますが
お預かりしてすぐにシャッター測定をしてみたところ
そのときはたまたま開かないことはなかったのですが
明らかに先幕の幕速が遅く、後幕が走行途中で追いついてしまいそうな
現象が確認できました。
この状況であれば途中で閉じてしまうことも十分考えられるレベルです。
シャッター羽根(幕)根元部分に汚れ等があるものと思われます。
加えてシャッターをチャージした後、レリーズしなくても
何度でも巻上げができてしまいます。
巻上ロックが効いていないものと思われますが
分解してみるとニコンらしく強固な巻上ロックの鍵型部品が
いくつもの細かいクラックができていて変形し
ロックできずに滑ってしまうことが原因と判明しました。
過去に巻上げがロックしている状態で相当強い力をかけたものと思われます。
カメラに限らず全てのモノがそうだと思いますが
動きが悪いときに力任せに動かすのはやめましょう(汗)
そのときとりあえず動いたとしても
かなりの高確率で部品にダメージを与えてしまうことになり
結果的に大きなトラブルを呼び込む原因となってしまいます。
今回のこの巻止め部品も使用不可な状態ですので
中古良品の部品と交換することで対処します。
(FMの中古部品及び部品取り個体はなかなか入手困難です)

写真のレンズは当店のテスト用レンズです。
巻止め部品の交換、シャッター羽根の洗浄・調整
他、各部点検整備一式を行い問題のない状態となりました。
お預かり時には貼り革が全て取り払われた状態だったので
貼り革も新たに貼りなおしました。
気持ちよく使っていただける状態になったと思います。
F一桁機ほどの耐久性はございませんが
それでもさすがにこの時代のニコン機ということで
基本的に非常に丈夫なカメラです。
今回、手を入れさせていただいたことで
当分、快適に撮影をお楽しみいただけると思います。

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