ペンタックスS3のカメラ修理

今日は「ゴールドラッシュの日」だそうですよ。
1848年のこの日にアメリカ・カリフォルニアの
製材所で働くジェームズ・マーシャルが
川底にきらりと光る金の粒を発見したのだそうです。
マーシャルは仲間と秘密を誓ったが
この話は大きな噂となって全米に広まり
やがて一獲千金を夢見る男たちが殺到し
「ゴールドラッシュ」(Gold rush)が起こったのだそうです。
カリフォルニアは1年で10万人も人口が増えたのだそうです。
まぁ誰もが「一攫千金」を夢見ますよねぇ
実際はそんなことなかなか実現することではないのですが。。。
宝くじすら買ったことのない私は
地道にコツコツと小金を稼いでいくしかないようです(笑)
でも何事も「継続は力なり」ですよ
さぁ今日も頑張ります!

さてさて

本日は「ペンタックスS3」のカメラ修理を行っています。
発売は1961年です。
このモデルと同時に「スーパータクマーレンズ」が発売され
「S3」と組み合わせると
レリーズした瞬間に絞込みシャッターが開き
シャッターが閉じた後、絞りは開放に戻るという
「完全自動絞り」ができるようになりました。
それ以前の「オートタクマー」だと
絞り込んだ後に開放に復帰させるには手動の操作が必要だったわけです。
シャッターダイヤルの速度表示が「等間隔式」になり
シャッタースピードの最高速も1/1000秒になりました。
フィルムカウンターこそ自動復元になるには次のSVまで
待たなくてはなりませんし
露出計の搭載はさらに後のSPになってしまいますが
この「S3」で後の一眼レフと
ほぼ同等の扱いやすさになったと言えると思います。
逆に言えばここから先の進化は
多少のSSの変化と
露出計や自動露出、さらに進むとオートフォーカスにDX対応であり
基本的なスペックというのはこの時代にもう確立されていて
そんな一眼レフだからこそ1台で使い方を覚えれば
他の機種を初めて触ってもそれなりに使いこなせてしまうのですよね
ある意味、いい時代だったのだと思います。

お預かりしている「S3」ですが
SPより前の「Sシリーズ」の場合は
まずはシャッター幕の状態を心配します。
実際、未整備で放置されていた個体はかなり高い確率で
幕交換を行わないと普通に使えない状態にあるからです。
でも今回の「S3」はシャッター幕は非常に良い状態です。
プリズムもスクリーンも妙にキレイですし
装着されている55mmF1.8レンズも
絞りの粘りが少々見られる以外は
比較的キレイな状態です。
10年~20年以上前だとは思いますが
一度キチンと手が入っているのではないかと思われます。
ただし、シャッターにはかなり問題があり
1/15以下のスローシャッターだと完全に固着して
シャッターが開きっぱなしになってしまいます。
スローガバナの固着のようです。
さらにシャッター音が「カヒュン」といった感じで
妙に高周波の不自然な音なのですが
どうやら後幕の動きがかなり悪いようで
先幕の幕速の半分程度の幕速しか出ないようです
当然、高速域のシャッターだと
写真の左右で大きく露光ムラが出るような状態です
全く未整備の個体よりは随分マシな状態ですが
さすがに再度手を入れてきちんと整備をしないと
普通に使えない状態です。

幕軸清掃やガバナ清掃注油ミラー駆動部の整備を行い
とりあえず途中まで組んで動作チェックを行っています。
シャッター音は劇的に改善し
非常に歯切れの良い気持ちよい音になっています。
もちろんスローガバナの動きもスムーズになりました。
最終的にはテンション調整で精度を出していきますが
この段階でも随分、SSの精度は改善していると思われます
巻上は元々軽快なフィーリングでしたが
やはり油切れもありましたのでよりしっとりした感触になったと思います。
これであれば本来の姿でご依頼者様にも
楽しんでいただくことができると思います。
これから微調整等を行いつつ
しっかり最後まで仕上げていきます。

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