今日は「さくらの日」だそうですよ。
都内では例年よりソメイヨシノの開花が早く
既にあちらこちらで満開になっているようです。
早咲きの河津桜や寒桜も色が濃くて華やかですが
やはり桜と言えばソメイヨシノですよねぇ
どことなく儚げで
色もほんのりとしか付いていない
その派手過ぎない姿がいかにも和風でよろしいかと思います。
いわゆるさくらは固有種を含んだ10もしくは11の
基本の野生種を基にこれらの変種を合わせて100種以上の自生種があり
これらから古来から改良開発されてきた栽培品種が200種以上あり
分類によっては600種とも言われる品種が確認されているのだそうです。
で、ソメイヨシノは母をエドヒガン、父をオオシマザクラの雑種とする
交配で生まれた日本産のさくらです。
日本国内いたるところで咲いているソメイヨシノは
全て挿し木や接ぎ木(主に接ぎ木)で繁殖したもので
要は同じ木のクローンであることがわかっています。
ちなみにソメイヨシノ同士の交配では結実しないこともわかっており
ソメイヨシノと他の種類のさくらとの交配で
結実することはあるのですがそれはまた別品種のさくらになってしまうのですね
そう考えると今咲いているソメイヨシノが
なおさら儚げに見えてきてしまいます。
今年も少しだけさくらの写真も撮りましたが
これほど多くの日本人に影響を与える花は
やはりさくら以外にはないでしょうね
さてさて
本日は「ニコマートFTN」のカメラ修理を行っています。
ニコンFの時代の普及モデルとして「ニコマート」のブランドが作られ
機械制御シャッター機の「FT系」と
電子制御シャッター機の「EL系」に大別できます。
「EL系」電子制御シャッターならでは特徴を生かし
絞り優先オート露出を搭載しますが
「FT系」はシンプルなマニュアル露出専用機です。
その「FT系」の中でも開放F値補正操作が(いわゆるガチャガチャ)が
採用されファインダー内のSS表示もされるようになり
使い勝手の向上した「FTN」が大ヒットしています。
現存するニコマートFT系の中で
間違いなく最も数が多いのはこの「FTN」だと思われます。
当時の最高級機の「F」の堅牢さはもはや伝説ですが
当時のニコン製品はどれも異様なほど丈夫に作られており
このニコマートFTNも例外ではありません。
またそれに組み合わされたコパルのユニットシャッター
「コパルスクエア」がこれまた非常に丈夫なシャッターで
よほどの悪環境でない限り現在でも比較的問題なく
動作しているものが多いのです。
機械制御一眼レフでトラブルになる部分は
カメラの種類に関係なくだいたい決まっていて
「シャッター」、「ミラー」、「巻上機構」
この3つです。逆に言えば駆動部分はこの3つだけですものね
露出計が装備されたカメラはこれに露出計トラブルが加わります。
で、ニコマートFT系に関して言えば
この3つが非常に丈夫で大きなトラブルが少ないのです。
(もちろF一桁機もそうですが)
で、お預かりしている「FTN」ですが
やはりシャッターや巻上の動きそのものには大きな問題はありません
若干巻上やミラー駆動部に油切れの兆候が見られるので
それは整備の過程で清掃・注油を行っておけば
さらに動きの安定度は増すと思われます。
ではトラブルはないのかというそんなことはなくて
まず「FTN」の最大の売りである
開放F値補正操作(ガチャガチャ)が効かず
開放F値がセットされません。
これはFTNでたまにあるトラブルで開放F値補正機構の
部品の動きが悪く固着してることが原因と思われます。
さらに露出計は電池を入れても全く動きません。
これはさすがにFTNがどれほど丈夫でもいたしかたない部分で
以前に水銀電池を入れっぱなしにしていた時期があると見られ
電池室内部に緑青がかなり発生しています。
端子の緑青は落とすことはできますが
落としてもおそらく導通は復活しないほどかと思われます。
さらに電池室裏はもっとひどい状況で
繋がれているハンダやリード線は腐食して全く電気を通すことはできません。
電池室を磨き上げても導通に不安が残りそうなので
部品取りかた電池室を移植して配線も一式交換したほうがよさそうです。
メーター(露出計)本体は動作することは確認できているので
CdSに大きな問題がなければ電池室や配線の交換で
修理できるかと思われます。
後は心配なのはSS・絞りリング部連動の
マイラー抵抗(摺動抵抗)ですね。
ダメなら交換するしかないですが
ある程度、露出計が動くようにしてから
テストしながら判断していきます。
先述した通り基本的な機械部分には大きなトラブルはありません
さすがニコマートFTNですね
それでもできるだけ長く使えるように
機械的部分も含め整備を行っていきます。
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