ニコマートFTnのカメラ修理

今日は「テレビCMの日」だそうですよ
1953(昭和28)年のこの日に開始された民放の日本テレビで
初のテレビCMが放送されたことに由来します。
初のCMは「精工舎の時計が正午をお知らせします」という
服部時計店(現:セイコーホールディングス株式会社)の
時報だったのですが
このときの放送がトラブルだらけで
フィルムが裏返しになっており、音も不明瞭だったそうです。
そのため、正午に放送された初CMは
わずか3秒で中止されるという結果になってしましました。
改めて同日夜7時に第2号CMが放送されそれは無事に放送できたそうです。
このCMはyoutubeとかでも見られますので
興味のある方は調べてみてください。
なかなか愛嬌のあるおもしろいCMでしたよ
CMっていつの時代も楽しいですよね。
その商品やサービスを好印象で覚えてもらうために
いろいろな工夫が凝らしてあって
またその時代を反映しているものもたくさんあって…
私、たまにyoutubeで昔懐かしのCMを検索して見ていますよ
最近ハマったのは広島ローカルだけど
「ヒロツクの子持ち昆布」かな(笑

さてさて

本日は「ニコマートFTN」のカメラ修理を行っています。
「F」の時代の機械制御シャッターの中級機です。
中級機ということでコストパフォーマンスも
追求しなくてはいけないので
シャッターは自社製横走りではなく
コパル製の金属羽根縦走りシャッターユニットを採用しています。
(コパルスクエアS)
それでもこの時代のニコンらしいのは開発製造は自社で行っており
品質にこだわっているのがよくわかります。
そのあたりの成果もあって
ニコマート(特にFT系)は非常に機械的には丈夫なカメラです。
まれに保管環境が悪いものだとミラー駆動部のトラブル等はありますが
基本的に巻上・シャッター関連のトラブルが非常に少ないカメラです。
何とか動作していてもシャッターの精度は全く出ていないものが
この時代のカメラには多いのですが
ニコマートFT系は実用上問題ない精度の出ているものが多いのです。
発売開始から50年以上経過しているカメラでこれはすごいことです。
ただし露出計関連には正直なところ非常にトラブルの多いカメラです。

お預かりしている「ニコマートFTn」も
シャッターは元気なのですが露出計が全く動きません。
電池室には当時の水銀電池が入ったままになっており
出してみると電池室そのものは比較的キレイなのですが
やはり裏側のハンダ等はかなり劣化していて
ほぼ断線状態でした。
とりあえず強制的につないで露出計の動きをチェックしたところ
これがまた非常に不安定でたまに振り切ったまま戻ってこなくなります。
これはマウント部の「マイラー抵抗」と呼ばれる
一種の摺動抵抗の汚れや劣化が下人と思われます。
抵抗の劣化・剥離は交換部品が入手不可能なため
どうにもならない部分はありますが
大抵の場合、適度な清掃でかなり回復することが多いです。
これがなかなか微妙なところもあり
清掃しすぎると抵抗体がキレイに剥がれてしまって
無抵抗な状態になり露出計のコントロールが全くできなくなるので
かなりの注意が必要です。
70年代の摺動抵抗になると少々強引に清掃しても
ビクともしない素材になるのですが…この時代のものはなかなか難しいですね
同じ事がFフォトミック系にも言えると思います。
余談ですがFフォトミック系の摺動抵抗の抵抗面はもっと脆く
ちょっと強めに拭いただけでボロボロ剥がれます。
そのためFフォトミックの露出計は
既にほぼ修理不可能とさせていただいています。

抵抗の件はともかく
FTnの最大の特徴である開放F値補正操作(ガチャガチャ)の
動作不良も起こっていて
絞り環を往復しても開放絞り値がセットされない状態です
これもFTnではよくあるトラブルです
これは単純に汚れや油切れによる動作不良なので
機械動作部の清掃と注油で対応します。
ニコンのカメラらしく整備性も非常に良好です。
ミラーボックス分離までもそれほど難しい部分はありません。
ここからシャッターユニットも含めて各動作部の整備を行い
ファインダー清掃や露出計修理も行っていきます。

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