今日は「苗字の日」なのだそうです。
1870(明治3)年のこの日に
戸籍整理のため「平民苗字許可令」という
太政官布告により平民も苗字を名乗ることが許されたことが
由来となっています。
それまでは苗字を名乗るのは貴族と武士の特権だったのですね。
約150年前ですね…意外と近年の話ですね
ところで今日の記念日は「苗字」の日ですが
実際は「名字」と書くことの方が多いですね
調べてみると意味合いに違いはないのですが
「名字」は平安時代から使われていて
当時、武士が自分の支配下である地域の事を
「名田(みょうでん)」と呼んでいて
それを私有化することになった場合に
その地域にちなんだ「字(あざな)」を作るようになったことが
今の名字の由来とされているそうです。
対して「苗字」のほうは江戸時代にできた言葉で
「苗字」の「苗」は、遠い子孫、末孫という意味があり
家が代々続くという意味を込めて「苗字」として
受け継がれるようになり
江戸時代から近世にかけて広く用いられてきました。
しかしながら、戦後、当用漢字で「苗」の読みに
「ミョウ」が加えられなかったため
少し日廃れていき今では「名字」に比べると
「苗字」の使われる頻度は少なくなっているのだそうです。
ちなみに余談ですがアイスランドだと
「名字」という概念がそもそもありません。
アイスランド人の名前は姓を用いず
個人の名字はその個人の父親の名
(ファーストネーム)を示しているそうです。
(母親の場合もある)
例えば私の好きな90年代に大活躍した
アイスランド出身のビョーク(Björk)さんという
世界的シンガーがいるのですが
彼女の名前は「Björk Guðmundsdóttir」
ビョルク・グズムンズドッティルで
「ビョルク」とは「カバノキ」の意で
「グズムンズドッティル」とは「グズムンズの娘」を意味するのだそうです。
日本語的に言うと
「太朗の娘の花子」という感じになるわけですね。
名前ひとつ取ってみても調べてみればいろいろ由来があって
おもしろいですねぇ…
いけんいけん、前置きがめちゃくちゃ長くなってしまいました(苦笑)
さてさて
本日は「オリンパスペンFT」のカメラ修理を行っています。
ここのところペンF系の修理が本当に多いですね
まぁたまたまだとは思いますが…
数日前にも「ペンF」の修理を行ったばかりかと思いますが
今回の「ペンFT」は「ペンF」をベースに
巻上をダブルストロークからシングルストロークに変更し
セルフタイマーを追加装備し
さらに第三反射面のミラーをハーフミラーに変更し
そのハーフミラーの直後に受光体(CdS)を設置し
露出計を装備したカメラです。
その他にも細かいところが結構変更されていて
ペンFとは部品の互換性のない部分も多数あります。
(例えばプリズム・スクリーンはペンFとFTでは異なります)
ただ生産から数十年経過した現在だと
第三反射面のハーフミラーはやはり通常のミラーに比べると
劣化・腐食している可能性が高く
そもそももともとそれほど明るくないペンFのファインダーの
光量を約半分受光体に食われるわけで
やはりデメリットも正直言ってあると思います。
あと、ここからは個人的主観もありますが
シングルストロークにしたために巻上角が非常に大きくなり
巻き上げるたびにストラップに引っかかることがあり
少々注意が必要です。
それからこれは本当に好みですが
セルフタイマーが付いたために
「F」の花文字がなくなったのはちょっと寂しいかな(笑)
ただ元々ハーフ判ならではのコンパクトさが売りのカメラなので
当然露出計を単体で持つ、あるいはペンFにオプションで存在した
外付けの露出計をごてごてと装着するよりは
本体にスマートに組み込まれていたほうが良いのは当然ですし
正しい方向への進化だと思います。
どちらも一長一短ですが
使っていて楽しく
所有してて満足度の高いカメラに違いはありません。
お預かりしている「ペンFT」は
セルフタイマーも巻上も途中で止まっていて
いきも戻りもできない状態で
当然シャッターも切れない状態です・
巻上途中でスタックして
おそらくセルフはその後で操作したけど
こっちも戻れなくなってしまったのではないかと思われます。
ペンF系は巻上やミラー駆動部のスタックというか
噛み合わせが何らかの理由で狂って
動かなくなる…という症状の多いカメラです。
キチンと整備されていて各部がスムーズに動作する
状態であればそうそう出る症状ではないのですが
何十年も経過しているのに
未整備では動きが悪い箇所が出てくるのは当然で
その動きが悪い部分が原因で巻上やミラー駆動が
スタックしてしまうという状態になるわけですね。
分解しながらいろいろ調べてみると
やはり経年劣化で動きにくくなっている部分と
それに関する部品が緩くなっている部分があり
これが今回の巻上スタックの原因のようです。
その部分も含みシャッター・巻上・ミラー周りの
必要な整備を一通り行い
調整の上、再組立てすると
何の問題もなくスムーズに動作するようになりました。
装着されているレンズは当店のテスト用レンズです。
機械的な動きは整備でキチンと直りましたが
やはり第三反射面のハーフミラーは
蒸着が剥がれ落ちている部分が多く
そのままでは視界にも露出計にも支障がでているので
今回は中古良品のハーフミラーとの交換で対応しました。
ペンFTのハーフミラーは少々特殊なものなので
中古品を使うのが手早いのですが
最近はなかなか状態の良いハーフミラーも
入手できなくなってきています。
今回はうまく交換できたこともあり
非常にファインダーの視界も良好になっています。
現在、少し様子見をしている段階ですが
後程、最終チェックを行って問題なければ完成となります。
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