キヤノネットQL19のカメラ修理

今日は「社日」だそうですよ。
「雑節」の一つで生まれた土地の守護神である
「産土神(うぶすながみ)」を祀る日だそうです。
春と秋の年2回あり、春の社日を「春社(しゅんしゃ)」
秋の社日を「秋社(しゅうしゃ)」ともいいます。
古代中国に由来し、「社」とは土地の守護神、土の神を意味し
二十四節気の「春分」または「秋分」に最も近い
「戊(つちのえ)の日」が社日となるそうです。
この日は土地の神を祀り、
春の社日には五穀の種を供えて豊作を祈願し、
秋の社日にはその年の収獲に感謝します。
日本では、農村において「地神講(じじんこう)」として
地神(じがみ)または農神(のうがみ)を
祀る行事を営む例も見られるのだそうす。
神も仏もないような世の中だとは思いますが
こういう土地神様信仰は心のよりどころになりそうですね。
山の主みたいな存在は本当にありそうな気がするのですが…
(たぶん漫画(蟲師)の読みすぎです(笑))

さてさて

本日は「キヤノネットQL19」のカメラ修理を行っています。
いわゆるニューキャネットではなく
初代からの流れを汲む少し大柄なキヤノネットです。
初代キヤノネットの次にキヤノネットSというモデルが存在し
巻上レバーを一般的な上カバー上に移動し
受光体をセレン光電池からCdSに変更したカメラです
このキヤノネットSにQL(クイックローディング機構)を追加したのが
キヤノネットQL17及びQL19です。
QL機構とはフィルムを巻上スプール溝に差し込み必要がなく
スプールに届くところにまでフィルム端を伸ばしておいて
ふたを閉め、空シャッターを切れば自動的にフィルム装填が完了するという
なかなか画期的な機能です。
この時代のキヤノン機にはかなり積極的に搭載され
キヤノネットだけではなく
FTやFTb、EXオート等の一眼レフにも搭載されました。
データパックが普及してくる時代になると
裏蓋の構造上、搭載ができなくなり消えていくのですが
カメラの操作に慣れていない方のフィルム装填ミスを
かなり少なくする効果はあったと思います。
慣れてしまえば裏蓋が開くカメラであれば
フィルム装填も失敗するようなものでもないとは思いますが…
シャッタスピード優先AEを搭載し
露出計は使えなくなるものの
マニュアル露出も可能という部分は
キャノネットシリーズ全体に共通する仕様です。
CdSになったため電池使用とはなったものの
その使いやすさは初代譲りの非常に優れたものです。

お預かりしているキヤノネットQL19は
シャッターは作動しているものの
まずは絞り羽根が最少絞りで固まったまま
オートでもマニュアルでも全く動きません。
最初は単なる羽根固着かと予想したのですが
分解整備を進めていくと
どうやらそうではないようで
羽根駆動部がどこかにわずかに干渉して動かないようです。
この個体、明らかに以前にかなり分解されているようで
貼り革も一部大きく傷んでいたりします。
(ぱっと見にはわからないのですが
今回の分解で剝がそうしたら明らかな傷み・破れあり)
電池室の配線等が交換されていたりするのは良いのですが
組み立てが少々雑なようです。
巻上フィールもちょっとおかしいなと思っていたのですが
これも前回の再組み立てがまずいようです。
さらに露出計が大幅にオーバー気味です。
これもCdSの劣化等ではなく
前回の分解・組み立てに起因しているようです。

これまたちょっとあやしい分解品のようなので
かなり苦労しそうなイヤな予感が…(苦笑)
何が起こっているかわからない部分も多いので
慎重に作業を進めていきます。
ここのところ一筋縄でいかない状態のカメラが多いですね(汗)
基本的には整備性の良いカメラなので
何とか問題ない状態には
仕上げられるとは思います。

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