ミノルタXEのカメラ修理

今日は「左官の日」だそうですよ。
「し(4)っく(9)い」(漆喰)と読む語呂合わせからだそうです。
いわゆる「左官壁」ですよねぇ
生まれ育った長屋の壁はほとんどがそうだったかと…
室内は特に隅とかが傷んでぽろぽろ剥がれ落ち始めると大変なんですよねぇ
今となってはそれも懐かしいですねぇ
土壁だけじゃなくて障子とかふすまとか
模様入りの曇りガラスとか木枠の窓や引き戸とか敷居とか土間とか…
みんな子供の頃には普通に周りにありふれていたものですが
最近はとんと見なくなってしまいました…
そう考えると実家の長屋は引き払わずに
借りたままにしておけばよかったかな…
いやさすがにそれは無駄使いか…(苦笑)

さてさて

本日は「ミノルタXE」のカメラ修理を行っています。
1974年発売のカメラです。
ミノルタXシリーズとしては
前年に発売されたフラッグシップのX-1に続いて第二弾となる
中級機に位置づけられるカメラです。
中級機とは言えフラッグシップのX-1とは明らかに性格も異なり
非常に力の入ったモデルかと思います。
何といってもライツ、コパル、ミノルタの3社で共同開発された
「コパルライツシャッター」を搭載し
その上品なシャッター音と非常に滑らかな巻上で
抜群の使い心地を実現したカメラです。
時代的に初期の電子制御シャッター機でもあり
正直なところトラブルも多いですし
その大柄で重いボディも時代を感じますが
現在でも根強い人気のあるカメラです。
電子制御トラブルも厄介なのですが
XEで一番問題になるのは何と言っても「プリズム腐食」です。
プリズムの前面と接する部分にモルトが貼ってあり
このモルトが加水分解を起こすことにより
プリズムの塗装や蒸着を剥がしていってしまいます。
腐食が進むとファインダー視野の下半分が真っ黒で見えない状態になります。
現存しているXEの多くはプリズム腐食を抱えていると見られ
XEのプリズムは特殊な形状の為
同時期の他モデル等からの移植もできません。
当店にもプリズム腐食のないXEのプリズムの在庫はございません。

お預かりしているXEは一見、ファインダー内はキレイなのですが
よーく見るとうっすら腐食が始まっているのがわかります。
今回、整備清掃のためにプリズムは降ろさざるを得ないのですが
降ろす際に傷んだモルトと一緒に
かろうじてくっついている蒸着を剥がしてしまうことも考えられるので
これ以上、腐食を進めないためにも
慎重に作業を行う必要があります。
余談ですが腐食の確認できない個体でも
プリズムを降ろす際にごっそり剥がれる場合もあります。
見た目には腐食してなくても剥がれる寸前だった…という状態ですね。
さらに今回のXEは他にもいろいろトラブルがあり
まず電子制御シャッターでミラーアップしたままになってしまいます。
これもXEの定番トラブルですが
原因はミラー周りの接点だったりそもそも電源が上手く供給されてなかったり
あるいはハンダ劣化だったり基板内トラブルであったりと
何通りかの原因が考えられます。
ちなみにこの症状が出ているときはシャッターが動作して
ミラーアップしたままになってしまいますが
この時にシャッターは動作しても開いてはいません。
さらに今回は動作確認のために
機械制御のB・Xで動作確認をしていると3回目のシャッターで
シャッターが開いたままで固着してしまいました…(苦笑)
まだまだそれに加えて定番の露出計大アンダーも抱えており
フルコースで整備・修理を行うことになりそうです。

まだ取り掛かったばかりでとりあえず先に
プリズムを降ろしてみたのですが
画像でも少しわかりますが
腐食がやはり始まっていますね…
これ以上進まないようにできる限りの処置を行い
プリズム前面の劣化したモルトは除去し
劣化しない材質のものに変更しておきます。
ここからは各接点等を確認しながら
慎重に作業を進めて
抱えているトラブルを直すことから取り掛かっていきます。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。