キヤノンFTbのカメラ修理

今日はこれといった記念日がありませんねぇ…
で、過去の6月23日に起こった出来事を調べていると…
「自衛隊機乗り逃げ事件」なんてことが
1973年6月23日に起こっていますねぇ
陸上自衛隊北宇都宮駐屯地で飲酒した陸上自衛官が
富士LM-1連絡機に乗って飛び去り
そのまま行方不明になってしまったそうです。
これまた現在では考えられないような事件ですね。
相当の低速飛行だったらしくレーダーでは捕捉されず
南方に向かって離陸したのが目撃されただけだそうです。
無線での呼びかけににも応答せずそのまま行方不明に。。。
小型のプロペラ機ですが
搭載された燃料は5時間20分相当(航続距離約1,300km)あったらしく
その後1ヶ月の捜索でも見つけることができなかったそうです。
1300kmって東京ー九州を超えるくらいありますから
燃料が尽きて太平洋にでも堕ちたら
さすがに見つけられないですよねぇ…
どこにいったかわからないわけですし…
事件を起こした3曹は、
同年8月1日付けで行方不明のまま懲戒免職となり
関係者7人も
航空機の管理責任を問われる形で処分されているのだそうです。
何を思ってどこへ飛び立ったのか…もはやわからないですよね…

さてさて

本日は「キヤノンFTb」のカメラ修理を行っています。
1971年に登場した中級機で
同年に登場した旗艦機「F-1」の技術をフィードバックした
中級機としても評価の高いカメラです。
ベースとなったモデルは前モデルの「FT」で
「FT」ではキヤノンFLマウントレンズを使用し
「絞込測光」だったものが「F-1」登場と同じくして
登場した開放測光対応の「FDマウントレンズ」に対応し
「FTb」では開放測光となりました。
この「FTb」や「F-1」、つまりは「FDレンズ登場以降」が
Fシリーズとしては「後期」と呼ばれることが多いようです。
機械的な構造は「F-1」も前期Fシリーズをベースとして
プロ機に要求される堅牢性や部品の耐久性、
システム性をアップしたモデルともいえるので
ほぼ同時に開発された「FTb」も基本的には
「Fシリーズ前期」の設計がベースとなっています。
デザイン的には新しいスタイリッシュさを追い求めた
「F-1」とは異なり、前モデル「FT」を引き継いだものとなっています。
開放測光以外の部分をFTと比較すると
ホットシューが追加され露出計のon/off及びBC切替は
巻戻しクランク基部にSWが設置されています。
セルフタイマーレバーにはミラーアップ機構も追加され
ここの操作方法は「F-1」と同様になっています。
で、FTと同じくこの時代のキヤノン機お得意の
QL(クイックローディング)機構が搭載されています。
熟成され信頼性の高い機械制御シャッターと合わせ
非常に使いやすい魅力的なマニュアル機と言えると思います。

お預かりしている「FTb」は
まず電池室に少々腐食跡がみられ
電気的に接触不良が起きているようです。
それでも露出計は何とか動作しているのですが
動きが少々おかしなことになっていて
うんともすんとも言わないかと思えば
突然指針が跳ね上がる…といった感じの動きをします。
バッテリーチェックは全く反応がありません。
シャッター、巻上には油切れの兆候が見られ
少々異音がすることと
高速シャッターの精度はイマイチで且つ不安定です。
やはり全体的に整備が必要な状態かと思われます。


画像はまだ上カバーを外しただけの状態ですが
これから本格的に分解整備に取り掛かっていきます。
露出計やBCの不具合は
電池室の接触不良やSW部の接触不良も影響ありましたが
最大の原因は指針がファインダー枠に
一部引っかかってしまうことのようです。
だから突然、跳ね上がったりしていたのですね…
意外とこれ、なかなか原因がわからず
「なんでこんなわけわからない
動きなんだろう???」と少し悩みました(苦笑)
シャッター周りや巻上周りと併せてしっかり整備を行っていきます。

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