ニコンF2のカメラ修理

今日から7月です!7月1日ということもあって
今日はたくさんの記念日が制定されています。
海・山開きに始まり、こころの日、銀行の日、
郵便番号記念日、東海道本選全通記念日…等々
そんな中に「ウォークマンの日」がありますねぇ
1979(昭和54)年のこの日に
ソニーが携帯式ヘッドホンステレオ「ウォークマン」の
第1号機「TPS-L2」を発売した記念日です。
もちろんメディアはカセットテープですよ。
定価は33,000円でした(当時の大卒初任給は11万円)
今考えると結構良い値段ですねぇ…
発売当初はそれほど注目されていなかったものの
CM等で頻繁に宣伝活動を行うことにより
8月には一気に火が付き生産が需要に追い付かなくなったそうです。
ちょうど私もこの頃にじいさんのラジカセ使って
レコードやラジオをテープに録音し始めた頃で
外出先で聴けるウォークマンに強烈に憧れました。
結局、数年後に買ってもらえたのは本家ソニーではなく
東芝の「Walky(ウォーキー)」だったのですが
めちゃくちゃ嬉しくってどこに行くにも持って行ってました…
中学校にまで持っていってバレて怒られたなぁ(笑
真っ赤なボディでカセット部分にチューナーパックを入れると
ラジオが聴けるというなかなかの優れモノでした…
ウォーキーだけじゃなくて家で使っていたラジカセもそうだけど
カセットテープをセットしてリールが回るのを見ているだけで
ワクワクしたものです。。。あんな感じのワクワク感は
この歳になるともうなかなか味わえませんねぇ(苦笑)

さてさて

本日は「ニコンF2」の カメラ修理を行っています。
伝説的名機「F」の後継機でその名の通り2代目の「ニコンF一桁機」です。
劇的な変更点はないのですが「F」からまさに正常進化したモデルで
確実にブラッシュアップされ使い勝手のよくなったカメラです。
各部の耐久性をあげ幕速をアップさせることで
1/2000のシャッター速度を搭載しています。
裏蓋は取り外し式から蝶番式になり
レリーズボタンの位置も改善され非常に使いやすくなりました。
機械式カメラの最高傑作と言われることも多く
100%のファインダー視野率やそのシャッターレスポンスの速さからも
非常に精度高く精密に造られていることがわかりカメラです。
個人的な好みもあるかと思いますが
幕速をあげた関係もあり「F」のしっとりしたシャッター音から
少々甲高いシャッター音に変わりましたが
これもハイスペックの表れかと思えば
それはそれでカッコ良くいい音に聞こえてくるような気がします。
「F」にしても「F2」にしても
非常にオーバークオリティな部品を贅沢に使っているカメラなので
普通に使っている限り致命的な破損等が起こることは
考えにくいですが精密機械だけに
スムーズ且つ精度の高い動作を維持するための整備は必須です。

お預かりしている「F2」は外観もキレイで
非常に大切に使われてきたことが伺える個体です。
シャッターも動作してはいるのですが
頻繁にミラーアップしたままになってしまいます。
フォーカルプレーンシャッターでよくある
シャッター動作不良によるミラーアップではないようです。
…というのもシャッタースピード計測してみると
先幕・後幕のバランスは少々崩れているものの
幕速は十分出ているのです。
「F・F2」のミラー駆動部はミラーアップ側は
レスポンス向上の関係もあり強烈なバネで強力に跳ね上げますが
戻る方は意外と小さなバネ力で戻ってきます。
そのため駆動部に汚れ等が溜まっていると
たまにミラーダウン側に不具合が出ることがあるようです。
今回もミラー駆動部の整備で解消できそうです。

さすがに年数が経過している上に
これまで分解整備されていない個体と思われ
各部に若干の油切れや汚れの蓄積も見られ
ミラー駆動部もそうですが多少動きに粘る部分が見られます。
とはいえ、保存状況も良い個体で
大きなダメージは見受けられません。
ただし装着されているアイレベルファインダー内のモルトの劣化は酷く
このまま放置しておくと確実にプリズム腐食が発生してしまう状態でした。
現在のところはプリズムに大きなダメージもなく
この段階でメンテできてよかったと思います。
「F・F2」アイレベルファインダーのプリズムはサイズ的に共通ですが
内部モルト劣化の影響も受けて腐食しているものが多く
腐食のないプリズムを入手することは非常に困難です。
当店にもたまにお問い合わせが入りますが
プリズム交換は行っておりません。
一通りの整備を終えて動きは全体的に非常にスムーズになりました。
これから微調整等を行って万全の状態に仕上げていきます。

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