キヤノンⅡD改のカメラ修理

今日は「柿の日」だそうですよ。
柿の旬の時期でもあり
1895(明治28)年のこの日に
俳人・正岡子規が奈良旅行に出発し
「柿食へば鐘が鳴るなり法隆寺」の句を詠んだとされることからだそうです。
言われてみれば今年はまだ柿を食べていないです…
普通に皮を剥いてそのまま食べられる甘柿は
ほのかな甘さとしっかりとした歯ごたえがいいですよねぇ
これぞ日本古来の甘さという感じがします!
また渋柿を利用した干し柿もいいですよねぇ…
現在、柿の生産量が多い県は
和歌山県、奈良県、福岡県の順で
生産量日本一の市町村は奈良県五條市だそうです。
ただ私の地元呉の北隣の東広島市では
中四国地方を中心に現在も多く栽培されている
西条柿の原産地であり
東広島市ではまとまった栽培が一時途絶えていましたが
近年では「原産西条柿」と銘打ち、栽培が増加傾向にあるのだそうです。
西条柿は完全渋柿なのでやはり干し柿がいいですねぇ
普通に生食の甘柿も干し柿も食べたくなってきました。
とりあえず今日の帰りにスーパーで探してきます!

さてさて

本日は「キヤノンⅡD改」のカメラ修理を行っています。
いわゆるキヤノンのバルナックコピーカメラですが
歴史は長く戦前は独自ねじ込みマウントを採用していましたが
戦後は一般的なライカLマウントになります。
マウントは標準仕様になりつつも機能的には独自の構造もいろいろと追加され
SⅡ(1946)では一眼式ファインダーとなり
ⅡB(1949)ではキヤノンお得意の変倍ファインダーが搭載されます。
50年代に入ると高級機から機能を若干省略した普及機まで
いろんなタイプのモデルをラインナップしていきます。
今回のⅡD改は1955年発売のモデルで
この時期になるとバルナックコピーキヤノンとしては
後期のものになり完成度も非常に高くなっています。
その当時の最高級機「Ⅳsb改」から1/1000シャッターと
フラッシュ接点付きレールを省略したものが
「ⅡD改」となります。
基本的な構造や造りは「Ⅳsb改」と同様です。
この時期のカメラのモデル名によく使われる「改」は
「改良版」の略でいわゆるマイナーチェンジ版という意味です。
ⅣSB改やⅡD改の場合の大きな改良点は
シャッタースピード設定が1/25、1/40、1/60、1/100、1/200という
それまでの並びから
その後一般的となる1/30、1/60、1/125、1/250という
いわゆる倍数系列になったことです。

毎度のことですがキヤノンのバルナックタイプモデルは
特に1950年代のモデルの種類が多い上に
モデル名の刻印は一切ボディ上にないために
慣れていてもぱっと見にモデル判別は困難です。
シャッタースピード設定だったりフラッシュ接点の有無
ノブのローレット、メモ表示板の有無等で判別しますが
Ⅳsb(改)以外はまぁ資料を見ながらでないと無理ですね(苦笑)

キヤノンに限らず、またレンジファインダー機でも一眼レフでも
50年代の布幕フォーカルプレーンシャッター機は
まずシャッター幕交換が修理の前提となる場合はほとんどです。
今回お預かりのⅡD改も幕は硬化してガチガチで
シャッター切ってもまともに走行できない場合がほとんどです。
さらに一部に擦れて穴の開いている部分もあり
間違いなく光漏れが起こる状況です。
さすがに幕交換を行わないとどうにも使えない状態です。

幕交換は重作業な上に
非常にデリケートさを要求される作業です。
わずかな幕位置のズレ等で
まともにシャッタスピ―ドが出なくなってしまうこともあります。
おまけにバルナックタイプは機種にもよりますが
普通にシャッタスピードテスターでSS測定ができないものも多く
キヤノン機もSS測定にちょっとした工夫が必要です。
それでもしっかり測定しながら微調整を行っていくと
幕交換を行えば大抵の場合問題ない精度を確保できます。
その上で巻上整備や距離計調整、ファインダー清掃を行えば
今でも十分撮影に安心して使用できるカメラに仕上がります。
画像は既に一通りの修理・整備を行った後のモノで
最終的なテストと必要があれば微調整を残すだけですが
非常に気持ちよく使えるカメラに仕上がっています。
早くご依頼者様にも存分にお楽しみいただきたいと思います。

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