オリンパストリップ35のカメラ修理

今日は「温度計の日」だそうです。
1686年のこの日が
水銀温度計を発明し華氏温度目盛りに名前を残す
ドイツの物理学者ガブリエル・ファーレンハイトの誕生日だそうです。
ちなみにファーレンハイトの生まれた日付の5月14日は
ユリウス暦によるものですがグレゴリオ暦では5月24日となるそうです。
ややこしいですね。
幼い頃に家に水銀温度計があって
「これは赤くないんだなぁ…」と不思議に眺めていました。
そうしているとじいさんが面白がって
今度は青い液体の温度計を持ってきてくれたのを
結構鮮明に覚えています。
なんでうちにはあんなんい温度計がやたらとあったのか?(笑
水銀温度計は感温液に水銀を用いたもので
精確な計測が可能なものですね
一般的な赤液温度計はアルコール温度計とも言われますが
実際に封入されている液体はアルコールではなく着色された白灯油だそうです。
そしてその白灯油を青色に着色したのが青液温度計ですね。
今やデジタル表示が多くて赤液温度計もあまりみませんが
うちの店内の温度計は安物の赤液温度計ですね
100均でも売ってますねぇ
ところでファーレンハイトと言えば華氏温度ですが
さすがに馴染みが全くありませんが
北米等の英語圏ではいまだに華氏が主流だそうです。
華氏だと水の融点は32度、沸点は212度となります…うーん…
速度がいまだにマイルなのといい
この辺の文化の違いはなかなか難しいですねぇ

さてさて

本日は「オリンパストリップ35」のカメラ修理を行っています。
1968年発売のコンパクトカメラです。
歴史ある「オリンパス35シリーズ」の一員でもありますが
その中でもトリップが最も売れたカメラだと思われます。
構造的にはハーフカメラのペンEES-2を
35mmフルサイズにしたもの…といってよいカメラです。
ペンEES-2と同じくピントは目測式の3点ゾーンフォーカスで
露出もEES-2同様、セレン光電池露出計と連動しオートで制御します。
シャッタースピードは1/30・1/250の2速切替式で
フラッシュモードの場合は1/30固定となります。
搭載されるレンズはDズイコー40mmF2.8で
これも写りの評価の高いレンズです。
電池いらずで簡単に撮れるカメラであり
モデル名通り旅行にも気軽に持っていけるコンパクトさで
当時も大人気となりましたが
今でも非常に人気の高いカメラです。
基本的にはシンプルなカメラですがオリンパスお得意の
赤ベロ+低光量時のシャッターロックがしっかり付いているのが
「らしい」ところですね。
この赤ベロ、場合によってはキャップをして空シャッターを
切りたいときとかにちょっと邪魔だったりするのですが…
(オートを解除すればいいだけなのですが戻し忘れるのですよねぇ)
でもキャップ付けたままシャッターを切る予防にもなるので
やはりあったほうがいいですね!

お預かりしているトリップは
フィルムカウンターが動かない状態です。
加えてしゃったーに若干の粘りがあるせいで
露出がかなり不安定です。
開いたままになったり
明らかに羽根動作がゆっくりというほどではないですが
このまま放置していると悪化していくと思われます。
他にも動作に粘りがあるところもあるので
やはり一通りの整備が必要な状況です。
心配されるのはやはりセレン光電池の状態ですが
そこはほぼ問題なくしっかり起電できているようです。
たまたまなのかもしれませんが
トリップであまりセレン劣化で全く起電しない個体って
あまり見ないような気がします。

この類の機械制御コンパクトカメラは
構造自体はシンプルですが
非常に小さなバネの力ですべての機械的駆動を行います。
そのためちょっとした汚れや余計な油脂で
動作不良を起こしやすいともいえます。
新しいうちはそんな心配も少なくてよかったとは思いますが
さすがに50年以上経過した機械です。
一度は分解して隅々までキレイにして
スムーズに動くような処置が必要なのは間違いないと思います。
これから分解を進めて入念に清掃整備を行っていきます。