リコーオートハーフSのカメラ修理

今日は「冬至」ですね。
二十四節気のひとつでもあります。
北半球では太陽の南中高度が最も低くなる日で
そのため、一年中で最も昼(日の出から日没まで)が短くなり
夜が最も長くなります。季節の変わり目であり
寒さがますます厳しくなる時期でもありますね。
でも実際に寒さが最も厳しいのは冬至から1ヶ月後あたりでしょうか…
夏も夏至から1ヶ月後あたりが一番暑い時期ですものね。
冬至がくるといよいよ年末が近いと実感します。
この日に柚子湯(ゆずゆ)に入り
カボチャを食べると風邪を引かないと言われています。
柚子湯もいいですがこの日は冬至に関連して
「酒風呂の日」でもあるのです。
日本酒をお風呂に入れる「酒風呂」は
体がよく温まる、お肌がつるつるになる、リラックスできる、
ぐっすり眠れるなどの効果があると言われています。
実は試したことあるのですが…まぁ香りは楽しめました(笑
でも日本酒はやはり飲むほうがいいですね!
寒くなってくると熱燗でいただくのがたまりませんね
冷酒や常温より燗に向いているお酒を最近入手しているので
今夜もきっちり温度を測って55℃あたりで
いただきたいと思います!

さてさて

本日は「リコーオートハーフS」のカメラ修理を行っています。
1965年発売のハーフカメラです。
モデル名の「S」はセルフタイマーの頭文字で
その名の通りセルフタイマーが装備されています。
そしてそれに伴って構造の大幅な変更が行われ
このモデルからレリーズボタンがボディ上部に移設され
これ以降のオートハーフは全てレリーズボタンは
ボディ上部に配置されます。
いわゆるよく見る「オートハーフの形」は
このモデルからということですね。
基本的なコンセプトは初代から変わらず
タバコ箱サイズを目標に開発され(実際は少しタバコよりは大きいですが)
誰でも簡単に撮影できるようにできる限りの自動化を
推し進めたカメラです。
自動化と言っても80年代以降のように電子制御があるわけではないので
全て機械的な自動化です。
露出計はセレン光電池で駆動し
指針に連動させて露出を自動設定します。
ピントは2.5mの固定焦点で被写界深度でパンフォーカスとして撮影します。
そしてオートハーフと言えばゼンマイ仕掛けの自動巻上ですね。
これらの機能のおかげでフィルムさせ装填してしまえば
あとは構えてレリーズボタンを押すだけです。

お預かりしている「オートハーフS」は
巻上周りにいくつかの問題を抱えています。
まず自慢の自動巻上が1枚分で止まらずに2コマ分進んでしまいます。
それ以外にも巻上が上手く動かないことが頻繁に起こります。
さらに巻き戻し側のクランクのギアもおかしいようで
空転してしまうようです。
それ以外にも細かいトラブルをいろいろ抱えており
とても現状では撮影に使えない状態です。
巻上ゼンマイ自体にトラブルを抱えていて
交換が必要になる個体とか
セレンが劣化していてこちらも交換が必要となる個体も割と多いのですが
今回はそこまでではないことが不幸中の幸いです、

いつ見てもコロンと四角い独特のフォルムが何とも魅力的です。
画像は既に一通りの整備が終わった状態のもので
巻上も快調に動作し当然キチンと一コマで止まります。
トラブルの原因は巻上ユニットのみならず
レリーズ機構の動作不良も関連していました。
露出計及びオート制御の精度も問題なく
全体的に非常にスムーズに動作するようになりました。
大きさの割にズッシリしていることもあって
丈夫に見られることも多いかと思いますが
オートハーフは非常に繊細なカメラです。
レンズシャッター機はもともと小さなバネの力で
シャッターを駆動しますが
オートハーフのシャッターは非常に小さな2枚羽根を
ほんのわずかなバネの力で駆動します。
そのためわずかな汚れや油分で簡単に粘ったり固着してしまいます。
それでもシャッター駆動部や
他の機械部分にはわずかながら油分も必要なので
そのあたりの整備に非常に神経を使うカメラでもあります。
構造自体はシンプルによく考えられて造られていますが
なかなか奥の深いカメラです。

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