キヤノネットQL17G-Ⅲのカメラ修理

今日は「秋分の日」ですね。
二十四節気のひとつでもあり
昼と夜の長さがほぼ同じ
(実際は昼の方が若干長い)になる日で
「春分」(3月21日頃)と同じように
太陽が真東から出て真西に沈む日です。
日本ではこの日は国民の祝日「秋分の日」となります。
秋分の日は、国立天文台の算出する定気法による
秋分日を基にして閣議決定され
前年2月1日に暦要項として官報に告示されます。
天文学に基づいて年ごとに決定される
国家の祝日は世界的にみても珍しいそうです。
お彼岸の中日でもあり
「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」ことを
趣旨としている日でもあります。
子供の頃は祖父母と一緒に毎年墓参りでした。
気候も良く天気の良い日が多く
家のお墓は山の中にあるので
ちょっとした遠足気分で楽しかった記憶ですねぇ
墓参りが一段落したところで
じいさんが墓所からさらに奥の湧水のあるところまで
よく連れて行ってくれました。
「暑さ寒さも彼岸まで」なんて言葉もありますが
いつまでも夏の陽射しが残っていましたが
今日の都内はシトシト雨で気温も低めです。
このまま本格的秋になってくれればいいですね!

さてさて

本日は「キヤノネットQL17G-Ⅲ」のカメラ修理を行っています。
初代の社会現象ともなる大ヒットから
脈々と続いたキヤノネットシリーズの最終機種です。
1972年発売のカメラです。
前年に出た「ニューキヤノネット」と大きな変化はなく
LED式のバッテリーチェックが装着されたことぐらいしか
機能的な変化はありません。
前モデルの「ニューキヤノネット」で一気に小型化され
初代やシリーズ前半のモデルと比べると
その違いは明白です。
しかしながら基本的な路線や機能は
初代からの考えを引き継いでいます
シャッタースピード優先オート搭載の
レンジファインダー機であることはもちろん
低光量下に強い大口径のレンズを搭載し
マニュアル露出も可能とします。
マニュアル時に露出計はオフになるところまで初代と同様です。
基本的な機能に優れ使いやすく
今見ても非常に良いカメラだと思います。

お預かりしている「G-Ⅲ」は
やはり随分長い間使われずにしまい込まれていたもののようです。
ただ保管環境は悪くなかったようでレンズに
大きなダメージや深刻なカビ発生もないようです。
ニューキヤノネットやG-Ⅲはレンズコーティングに
変質を起こして曇っている場合も多く
その場合は改善不可なので今回の個体は
そこに関しては非常に良い状態です。
ただしファインダーはかなり曇っていて
ピント合わせがほぼできないような状態です。
ただこちらは清掃でかなり改善すると思われます。
オート制御の関連もあり絞り羽根は
非常に小さな力で駆動される仕組みなっており
そのためもあって羽根粘りが起こりやすいカメラです。
このあたりの構造も小型化はされたとはいえ
基本的には初代から変わらない部分です。
電池室には古い水銀電池が入ったままになっており
露出計は電池を入れ替えても動きません。
それでも電池が入ったままにしては
電池室はまだキレイなほうです。
ただし電池室裏面のハンダや配線は
それなりにダメージがあるようです。
それが露出計不動の原因です。

まだ現状の問題点や対策を洗い出している段階です。
これから本格的に分解整備に取り掛かっていきます。
まずはシャッターユニットの整備及び
シャッター・絞り羽根の清掃から行います。
その過程で露出計周りの問題もクリアしていきます。
さすがに小型化されているので
機構は初代とほぼ共通とはいえ
中身はそれなりにギッチリ詰まっています。
整備性に関しては小型化されるまえのほうがやはり良いですね。

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