ミノルタX-7のカメラ修理

今日は「果ての二十日」ですね。
身を慎み災いを避ける忌み日だそうです。
一年の終わりの月である12月を「果ての月」といい
「果ての二十日」は12月20日(本来は旧暦)を意味します。
年末の挨拶や大掃除、正月の準備など忙しさの極まる時期ですが
この日は一切の仕事をやめて外出を避け、静かに過ごす日と伝えられています。
由来については諸説あり、近畿地方では罪人の処刑を
この日に行っていたからとも言われています。
また、山の神に深く関わる忌み日とされ、
この日に山に入ることを避ける地方が多いのだそうです。
和歌山県と奈良県の県境沿いには
「果無山脈」(はてなしさんみゃく)という山脈があり
果無山脈には「果ての二十日」である12月20日のみ
または12月20日過ぎにのみ現れる「一本だたら」という妖怪が
棲んでいたといわれています。
「一本だたら」は少しだけ見てみたい気もしますが
今日は基本的におとなしく過ごすのが良い日のようです。

さてさて

本日は「ミノルタX-7」のカメラ修理を行っています。
いつも書きますが宮崎美子さんのCMで有名なカメラですね。
1980年発売のカメラです。
この頃は物品税の関係もあり
ボディ4万円のエントリー機が各メーカから発売されていて
それも「絞り優先オート」専用機が売れ筋で
今回の「X-7」やオリンパスOM10、ペンタックスMV1、ニコンEM等が
熾烈な販売競争を繰り広げていました。
その中でも「X-7」はCM効果も多大にあり
かなりのヒット商品となりました。
スペックや機能的には各社横並びといった感じですが
ミノルタらしい使い心地のよさがエントリー機でも
それなりに感じることができて個人的にも好きなカメラです。
電子制御で布幕横走りシャッターを駆動する絞り優先オート専用機ですが
比較的、電子回路関連のトラブルは少ないカメラです。
今回お預かりの個体も細かい精度はともかくも
シャッター、露出計、オート制御にはそれほど大きな問題はないようです。
「X-7」で問題になるのはなんといっても「プリズム腐食」です。
この時期の他のミノルタ機でもみられますが
プリズムの前面に貼ったモルトプレーンの加水分解が原因で
プリズム表面の塗装だけでなく内部の鏡面蒸着まで剥離させてしまいます。
腐食の進んだプリズムの場合、ファインダーを覗くと
横方向に黒く太い帯で視野が覆われて1/3以上が見えなくなってしまいます。
今回の「X-7」のその状態です。
そのため視野が見えないのもそうですが露出計LEDも大部分が見えず
ある程度それなりの表示は出ているとは思いますが
細かく確認ができません。それ以前に事項体SPDも接眼レンズ脇にあるので
これほど腐食で親が覆われていると値に悪影響があるはずです。

通常の機械的整備やマグネット・接点の清掃も行いますが
プリズム載せ替えがまずは必須です。
とりあえずプリズムを降ろした段階ですが
↑画像でもプリズムの腐食でできる黒い帯が見えています。
今回お預かりの「X-7」はシルバーボディです。
「X-7」の場合、シルバーとブラックは単なる色違いなだけではなく
ブラックボディには前面にグリップが付き
スクリーンもより明るいアキュートマットとなります。
中古市場ではブラックが人気のようですが
グリップがなくデザインもスッキリとして端正な佇まいの
シルバーボディはなかなか魅力的だと思っています。

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