月別アーカイブ: 2019年2月

キヤノネットのカメラ修理

昨日が節分ということは今日は「立春」です!
二十四節気が作られた中国内陸部では
気温が上がり始める頃ですが
海に囲まれた日本列島では
この頃が一番寒かったりするのですが
今日は朝から日差しも暖かいですね。
2月4日ということで「西の日」ともなっています。
今日、西に向かうと幸運に巡り会えるそうです。
昨年の2月4日はこれを信じて
お店を閉めた後に西に向かって
ウォーキングしてみたのですが
何も変わったことはありませんでした。。。(苦笑)

さてさて

本日は「初代キヤノネット」のカメラ修理を行っています。
キヤノン初のレンズ固定式コンパクトカメラで発売は1961年。
当時はカメラはまだまだ高級品で
高値の花だった頃ですが
キヤノンの社員の方々が
「自分達でも買うことのできるカメラを。。。」ということで
当時としては非常にお求め易い18,800円で発売されました。
(。。。とはいえ現在の貨幣価値に換算すると
現在の30万円くらいの感覚だったと思われます)
比較的は安価とは言っても
45mmF1.9の大口径レンズを搭載し
セレン式の露出計及びシャッター優先AEを備え
その内部の作りにも全く安っぽさはありません。
発売当初から爆発的に売れ
キヤノンが当初、2週間分と計算していた在庫を
発売開始数時間で売り切ってしまい
業界内からは「ダンピングではないか」とも批判されることもあり
これ以降のカメラの低価格化・高機能化に
ついていけなくなったメーカーが数多く倒産・撤退するなど
これまでのカメラの歴史の中でターニングポイントになったカメラです。

お預かりしているキヤノネットは
ご依頼者様が比較的最近、入手したものとのことですが
子供の頃に家にキャノネットがあり
それは残念ながら今はないものの
そのキャノネットで写真を撮っていた思いでもあり
もう一度、使ってみようということで入手したものとのことです。
爆発的に売れたカメラでもあり
同じような思い出を持っている方は多いかもしれません。
キヤノネットで最も心配されるのは
やはりセレン光電池の劣化具合ですが
今回のキヤノネットは若干の劣化は当然見られるものの
何とか調整でカバーできる範囲と思われます。
問題はレンズに大きなバルサム切れがあることなのですが
これはご依頼者様に持ち込んでいただいた
部品取り個体から移植することで対応します。
セレンはまずまず良好なのですが
オート露出はかなりオーバー気味です。
原因は絞り羽根の粘りにより
オート露出の際にしっかり絞り込まれてないことが原因のようです。
キヤノネットはモデルに関わらず
絞り羽根粘りが原因のオート不良は多く見受けられます。

巻上レバー、巻戻しクランク等は底面にあるので
上カバー場はシャッターボタン、アクセサリーシュー
フィルムカウンターのみという
非常にシンプルで美しいスタイリングです。
筆記体のモデル名もいい味を出していますね。
内部の構造も非常によく考えられたもので
露出計からSS設定・絞り制御に至るまでのAE連動の部分は
一見の価値のあるものだと思います。
修理始めたばかりの頃に
「なるほど!!!すごいなぁ。。。」と感動したことを思い出します。
写真は一通りの整備が完了した後のものです。
非常に全体的にスムーズに動作するようになり
オート露出の精度も申し分ない状態になりました。

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オリンパスペンEES-2のカメラ修理

今日は節分ですね!
節分。。。立春の前日ということですね。
「季節を分ける」という意味も持ち
季節の変わり目には邪気(鬼)が生じると考えられており
悪霊払い行事が執り行われます。
ここでいう「鬼」もきっと
何かの「蟲」の仕業なんだろうなぁ。。。と考えてしまいます(笑)
豆撒きで「蟲」が祓えるとは思いませんが
炒りたて熱々の大豆は美味しいですよねぇ。。。
昔は節分に関係なくばあさんがよく炒ってくれていました。。。

さてさて

本日は「オリンパスペンEES-2」のカメラ修理を行っています。
セレン光電池で駆動する露出計を利用した
オート露出のカメラです。「EES」はゾーンフォーカス機です。
「EE-2」と同様に「EES-2」は
フィルムカウンターが自動復元式となり
裏蓋も蝶番式になり使い易さが向上しています。
「EE(S)」や「EE(S)-2」のレトロな趣のある
グリーンがかったベージュ(?)の貼り革は
個人的に非常に好みです。

お預かりしている「EES-2」は
オートでも明るさに関係なく
絞りが最小絞り付近に絞ったままでシャッターが切れてしまいます。
露出計が全く振れていないことが原因であれば
明るさに関係なく絞りが開放で切れてしまうか
それ以前に赤ベロ機構がちゃんと生きていれば
常に赤ベロが出るはずです。
よくシャッター音を聴いてみると、絞りは全く変化しないものの
シャッタースピードは明るさに応じて切り替わっています
(シャッタースピードは2速)
絞り羽根が固着。。。なのだとは思いますが
油シミで固着するようなことは構造上考えにくいのですが。。。
加えてレンズ鏡胴に大きなガタもあります。

まず鏡銅のガタはシャッターユニットのネジが
ゆるゆるに緩んでいることが原因でした。
(フィルム室からユニットを固定してるネジではなく
シャッター羽根を納めている枠部分のネジ)
その後、絞り羽根の状況をチェックしようと
絞りユニット(写真右端)を開けてみると。。。
絞り羽根を格納する枠を留めている3本のネジうち
1本が完全に外れて内部に転がっていました。。。
おそらく原因はこれですね。

不思議なのですがペンEE系は内部のいろんなネジが
どうも緩みやすい傾向があるようで
外れたネジがいろいろなところに噛みこみ
トラブルの原因となっていることを過去何度も見ています。
シャッターユニット枠を留めているネジや
前板を留めているネジ、絞りユニットを留めているネジ
あらゆるところのネジが緩みます。
外れたネジが磁力で露出計(電流計なので磁力を持っています)に
吸い付き露出計が動かなくなるなんてことも
過去、何度かありました。
外れるまでいかなくても緩んでいることは本当に多いのです。

シャッターユニットの整備を行い
しっかりとネジを締めて再組み立てを行います。
(もちろん締めすぎは厳禁です)
ある程度組み立てたところで動作チェックを行うと
何事もなかったかのように
快調に絞りもシャッターも動作します。
ペンEE系はネジの緩みに注意!ですね。
並行してレンズ・ファインダー清掃を行い
露出計・オートの調整を行い完成となります。

キヤノンFTのカメラ修理

今日は「交番設置記念日」だそうです。
1881年のこの日に
1つの警察署の管内に
7つの交番を設置することが定められたそうです。
町の中に交番の建物を置き、
そこを中心に制服の警察官が活動するという交番の制度は
1874年に東京警視庁が設置した「交番所」が世界初とのことです。
最初は「交番所」という名称でしたが
後に正式に「派出所」という名前に統一されます。
その後、1994年に「交番」に正式名称が変更されています。
ところで、なぜ「交番」という呼び名なのかと思ったら
「交代で番をする」の意味なのですね。

さてさて

本日は「キヤノンFT」のカメラ修理を行っています。
ん、ほんの数日前にもFTの修理がありましたね。
それほど修理依頼の多いカメラではないのですが
やはり依頼があるときには不思議と重なりますね。
どちらかといえば「FT」の後継機にあたる
「FTb」のほうが依頼は多いのですが
「FT」も基本的な部分はほぼ同様の構造です。
ただし、FTbは開放測光(FDレンズ)
FTは絞込み測光(FLレンズ)なので
そのあたりの部分は随分変わってきます。
シャッター周りはFT、FTbともに。。。というより
FXからF-1まで構造自体はほぼ変わりません。

お預かりしているFTは
シャッターが全く切れません。
巻き上げることもできません。
シャッター幕の位置を確認するとチャージ状態です。
ミラーチャージもされています。
。。。ということはレリーズができないということです。
下カバーを外して巻上からリンクするギアの動きを
観察してみましたが
巻上にリンクするカムの位置が少しおかしいようです。
ただ、このカム位置はギアできちんと噛んでいる場所なので
噛みあわせ自体がズレることは通常ないはずです。
それよりさらに内側の軸周りに動作不良箇所がありそうです。

ミラーボックスを外し、
シャッター周りが完全に見えるようにしてから
動きを観察していると原因がだんだんわかってきました。
やはりカム軸の動作不良のようです。
溶剤を使って清掃し注油を行うと
シャッターが切れるようになりました。
シャッターは切れるものの
当然油切れで高速シャッターは開きません。
もちろん幕軸周りも清掃・注油を行っていきます。

一通り整備の完了した「FT」は
巻上も軽やかでシャッター音も歯切れの良軽快な音になりました。
新品のレベルには届かないとは思いますが
なるべく稼動部分にストレスの少ない状態で
動かしてあげたいものですね。

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オリンパスペンのカメラ修理

今日は「テレビ放送記念日」だそうですよ。
1953(昭和28)年のこの日、
NHK東京放送局が日本初のテレビの本放送を開始したそうです。
今から66年前のことなのですね。
意外と思っていたより最近(?)かな。。。
私が3歳くらいまでの頃は家のテレビは白黒だったなぁ。。。
テレビ本体に脚が4本付いているようなタイプ
もちろんチャンネルはリモコンなんかなくて
ガチャガチャまわすのですよ(笑)
次に来たカラーテレビももちろん「まわすチャンネル」でした。
UHF帯はチャンネルを「U」にして
別のダイヤルを回すのですよ。。。
同年代の方ならわかるはず。。。(笑)

さてさて

本日は「オリンパスペン」のカメラ修理を行っています。
今回は初代ペンです。
初代ペンの発売開始は1959年です。
先程書いたテレビ放送開始の日から6年後ですね。
当時の価格は6,800円です。
ざっくりと現在の貨幣価値に置き換えると
136,000円と言った感じでしょうか。。。。
この時代としては驚異的にお求め易い価格です。
ちなみに同年代に発売されたニコンFは
50mmF2付きで当時の価格は67,000円です。

初代ペンは2枚羽根のコパル#000
シャッタースピードはB、1/25-1/200の4速です。
拡大率が大きくなるハーフサイズだからこそ
レンズには妥協しないという考え方で
装着されるレンズはテッサータイプの2.8cmF3.5です。
発売開始から大人気で市場を席巻し
その後、ペンSやペンEE等々、バリエーションも増え
ペンは60年代を代表するシリーズとなりました。
全ての始まりはこの初代ペンだったわけですね。

お預かりしているペンは
シャッターは多少粘りがありながらも動作しています。
ただし、ファインダーを覗くと
ブライトフレームが妙にぼやけている上に
すごく斜めに見えてしまっています。
ファインダー内のブライトフレーム板が外れている上に
途中に配置されているレンズが1枚外れているものと思われます。
ビハインドシャッターなので
フィルム室からシャッター羽根の様子を見ようかな。。。と思いきや
裏蓋が全く外れません。。。
劣化したモルトが原因で固着してしまっているようです。

まずはシャッターユニットを取り外して
シャッター周りの整備、レンズ清掃等々を行っていきます。
構造自体はシンプルですが
非常に小さなレンズや小さなシャッター羽根、絞り羽根は
整備に少々神経を使います。
その後でいろいろ外れてしまっているファインダー部の修理も行います。

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