日別アーカイブ: 2021年3月11日

オリンパスペンFVのカメラ修理

今日は震災から10年ですが
ここで触れなくても皆様わかってらっしゃると思うので
あえて他の話題で…
今日、3月11日は「パンダ発見の日」なのだそうです。
1869(明治2)年のこの日に中国・四川省の民家で
伝道中のフランス人神父アルマン・ダヴィドが
白と黒の奇妙な熊の毛皮を見せられ
これが西洋でパンダが知られるきっかけとなったのだそうです。
中国では知られていたけど
欧米に知られるきっかけになった日ということですね。
今は「パンダ」といえばジャイアントパンダを指すのが普通ですが
もともとパンダといえば
先に発見されていた「レッサーパンダ」のことだったのだそうです。
それがジャイアントパンダが発見され有名になると
パンダ=ジャイアントパンダとなってしまい
レッサーパンダの方に「小さい方の」という意味の「レッサー」や
毛色から赤「レッド」(red)を付けて
レッサーパンダまたはレッドパンダと呼ぶようになったのだそうです。
でもレッサーとジャイアントパンダは似ても似つかないのに
なんで両方とも「パンダ」なの?と思って調べると
諸説あるのですがパンダという名は
ネパール語で「竹」を意味する「ポンヤ(ponya)」から
「竹を食べるもの」に由来する説があり
また、ネパール語で「(五指を含む)手のひら」を意味する
「パンジャ(panja)」に由来するという説もあるのだそうです。
まぁ名前の由来はともかく
どっちも可愛いことに変わりはないですね(笑)

さてさて

本日は「オリンパスペンFV」のカメラ修理を行っています。
孤高のハーフ判一眼レフ「ペンF」シリーズの一員ですが
「FV」の修理依頼は少し珍しいですね。
体感ですがペンF系修理依頼の8割がたが「FT」で
残りが「F」というイメージです。
最初に出たのが「ペンF」です。
ペンF登場3年後に「ペンF」の第三反射面をハーフミラーに変更し
その背後に受光体を置くことにより露出計内蔵とし
さらにセルフタイマーを内蔵し、巻上をダブルからシングルに変更したのが
「ペンFT」です。
「ペンFV」はその「FT」から露出計を省略したモデルです。
露出計を省略したことにより
第三反射面は「ペンF」同様の普通のミラーに戻され
FTに比べファインダーの明るさはその分明るくなっています。
加えて「FT」では定番のハーフミラー腐食・蒸着面剥離の
経年劣化のトラブルが起こりにくいのは良いですね。
初代「F」と比べるとシングルストロークになり
セルフタイマーが装備されたという変更点になります。

露出計関連以外の部分については
シャッター等の機械的構造はペンF系は基本的に同一です。
ただし部品の変更はそのモデルの中でも
比較的頻繁に行われているので
内部部品は意外に互換性がなかったりします。
同じ「ペンF」でも前期と後期では
構成部品がかなり変更されています。
今回は部品交換等はなかったのです良いのですが
中古部品を使わざるを得ない場面が多い中
このあたりは非常に気をつける部分です。
お預かりしている「FV」はレリーズが全くできず
固まっている状態です。
さすがにこの症状だけでは全く原因がつかめないので
分解しながら原因を探っていきます。
シャッターユニットの分離に取り掛かったあたりで
動かない原因を発見できました。
どこかのネジがシャッター機構に挟まって動きを止めていました。
どこか外れているネジがあるのかといろいろ調べてみると
どうやらアイレットの固定ネジが片方だけ
明らかに別のものに替えられていて
中のネジはどうやらアイレットの固定ネジのようです。
ここからは確信に近い予想ですが
アイレット緩みか何かを修理の際に
その固定ネジを誤って中に落としてしまい
落としたネジはそのままに
新しいネジを補充したのではないかと思われます。
正直言うと私も修理中に部品を内部に落としてしまったことは
過去に何度かありますが
(そういうことにならないように相当気をつけてはいます)
落としてしまったら再分解してでも絶対に内部から取り出します。
複雑なメカニズムの内部にネジや部品を残してしまうと
必ずあとでトラブルの原因になります。
それどころかそれを挟み込むことによって
場合によっては他の部品を破損・変形させてしまうことだってあり得ます。
内部モルトの屑でさえトラブルの原因になるのですから
硬い部品を閉じ込めてしまえばトラブルが起こるのは間違いないですよね
今回の場合は部品の変形や破損が見られなかっただけ
不幸中の幸いといえるかもしれません。

トラブルの原因は判明して修理もできたので
シャッターユニットの整備や
トラブルの起こりやすいミラー駆動部の整備
ペンF系に多用されている内部モルトの交換を行い
(逆にフィルム室には非常にモルトが少ない)
各部調整を行いながら組み立てます。
画像は整備完了後のもので
装着しているレンズは当店のテスト用レンズです。
巻上、シャッターともに非常に軽快に動作する1台となりました。
ご依頼者様はこのペンFVを最近入手し
おそらく入手した段階でシャッターが
切れない状態だったのだと思われますが
改めて存分に撮影を楽しんでいただければと思います。

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