日別アーカイブ: 2025年12月8日

ニコンFEのカメラ修理

今日は「御事納め」ですね。
この日は農作業など一年の作業が終わる日であり
農事が終わることを祝って行った行事のことも意味します。
この日に「針供養」をする地方もあるそうです。
この日には、里芋・こんにゃく・にんじん・小豆を入れた
「御事汁」を食べる風習があったそうです。
江戸時代や関東の一部では
12月8日を正月の儀式を始める「御事始め」とし
2月8日を正月の儀式を終える「御事納め」としていました。
毎年、この「御事納め」の日が来ると
いよいよ今年も終わりに近づくなぁ…と感じます。
現代人はまだまだこれから年末までラストスパートですね。
私もより一層、気合い入れて仕事します!

さてさて

今日は「ニコンFE」のカメラ修理を行っています。
1978年発売のカメラです。
ニコマートELの後継機にあたりますが
時代を反映して適度にコンパクト化され
端正な佇まいも非常に魅力的なカメラです。
機械制御シャッター搭載で先行発売されていた
「FM」の兄弟機にもなり
こちら「FE」は電子制御シャッター機で
絞り優先オート露出も搭載します。
そのためもありファインダー内露出計表示は
現在設定されているSSと露出計が指示するSSを
2針で表示します。
マニュアル露出時には現在設定と露出計指示が
どれほど異なるのかを一目で判断することができ
非常に使いやすい露出計表示になっています。
設定絞り値もレンズ刻印直読式で
ファインダー表示されます。
絞り優先オート時のみならずマニュアル露出で
露出を積極的にコントロールしたい場合も
非常に使いやすいインフォメーションになっています。

電子制御機とはいえ
電子回路そのもののトラブルは非常に少ないカメラです。
ただ露出計を司るSSダイヤル下管制部は
落下等のショックで
比較的破損しやすい部分なので注意が必要です。
お預かりしている「FE」はそういった部分に問題はありませんが
巻上げた際にレバーは戻ってくるものの
頻繁に内部の巻上軸が戻ってこずレバーが反発力なく
すかすかになってしまいます。
正確に言うと巻上軸に連動しているチャージクランクが
油切れ等の原因で戻ってこない状態です。
この状態になるとシャッターは切れず
次の巻上もできずと何もできない状態になってしまいます。
巻上レバーをガチャガチャ動かしていると
思い出したようにカシャンと戻ってきますが
頻繁に発生するためとても撮影に使用できる状態ではありません。
FM/FE系で比較的よく見られるトラブルです。
加えて後から気が付いたのですが
1/60以下の高速シャッターの精度が全く出ていない状況です。
1/1000を切った際に「あれ?シャッター音が明らかに遅い」と気づいて
測定機に改めてかけてみたところ
1/1000時に1/125程度しかでていないようです。
SS設定を変化させれば実際のSSも変化するものの
全体的にもかなり遅くなってしまっています。
1/30以上だとある程度精度は出てきます。
おそらくマグネット吸着部の汚れ等が原因で
マグネットが離れにくくなってしまっているものと思われます。

FEは当店では修理依頼の多いカメラなので
内部は見慣れた光景です。
ミラーボックス再組立ての際にちょっとしたコツが
必要なこと以外は整備性も非常によく
糸連動がない分、機械制御の「FM」より
分解整備は効率よく行えます。
ただし電子基板の取り扱いには当然ながら
細心の注意が必要です。
これから慎重に分解整備に取り掛かっていきます。

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