キヤノンFPのカメラ修理

今日は「組み立て家具の日」なのだそうです。
ここでいう組み立て家具は
昔、大ヒットした合板でできたカラーボックスのことだそうです。
私も昔、使ってました。
私の実家は長屋で狭かったのですが
畳二畳の物置が付いていて(おそらく途中で増築したもの)
私が生まれた頃はそこは曾婆さんの部屋だったのです。
(入り口は玄関とは別の本当に取ってつけたような小部屋)
そこを中学生になった頃に自分の部屋にしていいということになったのですが
さすがに2畳では何も置けなくて色々考えた結果
高さ60cmのカラーボックスを左右に並べて、その上に大きな板を乗せ
2階建て構造にして上にはちゃぶ台とラジカセ1台という状態で
それなりに快適に過ごしていたことを思い出します。
(さすがに高さが足りず立てなくなりましたが)
入り口が別途で出入り自由ということで
すぐに毎晩誰かが遊びに来るたまり場になってしまいましたが。。。(笑)
懐かしい思い出です。。。

さてさて

本日は「キヤノンFP」のカメラ修理を行っています。
1964年の4月に「キヤノンFシリーズ」最初のモデルでもある
「キヤノンFX」が発売され、その半年後の1964年10月に追加されたのが
「キヤノンFP」です。
簡単に言えば「FX」から内蔵露出計を取り払ったものが「FP」です。
当時のカメラはまだまだ「本格的な撮影を行う場合は外部露出計使用」とされていた時代で
内蔵露出計は「余計な装備」と考えられることも多かったのだそうです。
加えてFXの露出計は外部測光式でTTL式に比べると
使い勝手の悪い部分もあり、露出計レスのFPが
プロやハイアマチュア向けとして追加されたとのことです。
今となっても古いカメラはシンプルなほうがトラブルは少ないので
露出計は割り切って別途で使う。。。という考え方もありですね。
露出計以外の部分はFXと全く変わらず
キヤノンらしいアタック強めの歯切れの良いシャッター音が気持ちよいカメラです。

お預かりしているFPはまず巻上げができません。
シャッター幕の位置を確認してみるとリリース位置なので
巻上ロックがかかったままの状態だと思われます。
さらにレリーズもロックがかかった状態で押せません。
通常、リリーズ状態ならレリーズは押せる状態のはずなのですが。。。
加えてこれはシャッターが切れないから
いろいろ動かしたものとみられますが
セルフタイマーが妙な位置で留まってしまっています。
(レリーズ直前の位置)
一旦、巻き上げようにもロックされることなくその場所に戻ってきてしまいます。

今ひとつ原因がはっきりしないので
まずはミラーボックスを外して、動きのおかしいセルフタイマーを外してみます。
どうやらレリーズ部分の固着が原因のようです。
とりあえずシャッターは切れるようになりましたが
今度はシャッター幕(先幕)が少し残った状態で走りきらずに止まります。
これは油切れとシャッター周りの汚れが原因で動きが悪いことが原因です。
セルフタイマーはバネがダメになってしまっているようなので
部品取り個体から移植して交換します。
他、ファインダー内もカビだらけなのでしっかり清掃し
稼動部分は徹底的に清掃し注油を行います。

一緒にお預かりしたFL50mmF1.8レンズもカビだらけだったため
清掃しヘリコイドのグリスアップを行い
見違える状態になりました。
さらにFPメーター(外部露出計)も当初は不動だったのですが
こちらは接触不良が不動の原因だったのでこちらも修理いたしました。
精度も全く問題ないレベルで出ています。

おそらく何十年か使われずに眠っていたものと思われますが
再び快適に撮影に使える状態になりました。
これからはご依頼者さまのお子さまが使われるのだそうです。
世代を超えて引き継がれていくわけですね。
きっとこれからも大活躍してくれるものと思います。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。