今日は「蓄音機の日」だそうですよ
1877(明治10)年のこの日に
エジソンが蓄音機の特許をとったことが由来となっています。
蓄音機と言えばレコードですよね。
うちの実家は借家で狭いのに
じいさんが私に童謡とかのレコードを聴かせるために
奮発して買ったビクターの大きな家具調のステレオがあって
私が子供の頃から高校卒業あたりまで
正に大活躍していました。
レコード聴くばかりではなく
6時20分になると(当時の市民球場での試合開始はこの時刻)
じいさんがそのステレオで結構な大音量で
カープのナイター中継を聴くのですよね。
家の裏で行水しながら(笑
真夏で暑いから窓はほぼ全開
まだわずかに外は薄明るいけど
虫が入るから家の電気は消したまま
蚊取り線香の匂いにナイター中継のラジオ
割とついこの間の日常っぽく感じるのですが
すでに40年以上前の話になってしまいました(苦笑)
でも今でも昔集めたレコード(大人になってから集めたものも多いですが)は
持っていて家で普通に聴ける環境もあるのです
さすがに実家にあった昔ながらのステレオは処分して
中古で安いものを集めたおんぼろオーディオですが…
レコードに針を落とす行為だけでも
何だか楽しくなりますよね
フィルムカメラにも通じるものがありますが
レコードが小さなマーケットとはいえ
何とか生き残っているのだから
フィルムカメラも生き残られるかな…
さてさて
本日は「ミノルタXE」のカメラ修理を行っています。
巻上の滑らかさや使い心地の良さで
根強い人気のあるカメラです。
ただこのXEというカメラ
当時のまま保管されていたり仕舞い込まれている個体は
かなり高い確率でプリズム腐食が発生しています。
ファインダー視野真ん中より少し下に
太い黒い横線(線というより帯)が入るような感じです。
プリズムの前面にファインダ枠との干渉と
光漏れを防ぐ為にモルトを貼っていて
そのモルトが加水分解を起こしプリズムの蒸着を剥がしてしまうためです。
SR-T系にも同じ位置に遮光材(緩衝材)は使ってあったのですが
加水分解しない素材を使っていたのでSR-T系では問題にはなりません
X系になってからコストの関係かモルトプレーンが
そこに使われるようになり
50年弱経った現在、ほとんどのものが腐食してしまっている状況です。
一見、ファインダー内はキレイでも油断はできず
整備のためにプリズムを降ろそうとしたときに
かろうじてくっついていた蒸着が劣化したモルトと一緒に
剥がれ落ちることもあり
もはや交換用にファインダー内がキレイなプリズムを探してきても
実際には交換用には使えないことも多いのです。
。。。そんな現状で現在ではXEのプリズム交換は行っておりません。
今回お預かりしているXEもご依頼者者様曰く
「ファインダー内はキレイで腐食もないようです」と
お聞きしていたのですが
実際にこちらに送られてきたものを確認してみると
真っ黒ではなく少し薄めではありますが
はっきりと横方向の太い帯が確認できます。
うーん、困りましたね…
話が少し逸れますが意外と見慣れていないと
プリズム腐食は見逃されてしまうことも多いようです。
OM-1や今回より腐食の進んだXE、X-7あたりで
はっきりと…というか明らかにファインダー内が黒かったり
モヤモヤしたのがたくさんあると一目瞭然なのですが
まだそこまでは進んでいなくて薄く腐食が見えているようなものだと
意外と気が付かれないこともあるようです。
さすがに私は見慣れているのでそんなことはないですが…
その見逃してしまう要因の一つが
接眼部にしっかり目を近づけてファインダーを見ると
意外と腐食部分がぼやけて見えにくかったりするのです。
ファインダー内のシミや腐食は接眼部から少し離して
ファインダー内を確認するとはっきりしっかり見えるようになります。
逆に言うとファインダー内から少し離れたほうがはっきり見えるのが
プリズム内のトラブルで、
しっかり接眼部に近づいたほうがよく見えるのが
スクリーン上のゴミやキズやシミと言えると思います。
プリズムの件以外にもこのXEにはいくつか問題があって
まず電源が上手く入りません。
バッテリーチェックも点灯しません。
電池室からの電圧供給が接触不良でできないようで
とりあえずの応急処置で電源を強制的に入れてみたところ
シャッターの動作はまずまず良いのですが
露出計が一番上にほぼ振り切ったままの状態です。
これは定番の感度ダイヤル下の
摺動抵抗の汚れ・劣化によるものかと思われます。
さらにこのカメラの最大の美点でもある巻上にも問題があって
しっかり巻き上げても巻上レバーがいったきりで
戻ってこなくなりシャッターも切れないという状態になってしまいます。
何度か巻き上げる動作を繰り返すと
何かのはずみで戻ってきてシャッターは切れるのですが
巻上機構部の油切れが原因かと思われます。
そんな状態なのでXEならではの巻上の滑らかさも
いまひとつの状態です。
まずは普通に使える状態にならなければ話にならないので
これから一通りの整備に取り掛かっていきます。
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