今日は「富士山測候所記念日」なのだそうです。
1895(明治28)年のこの日に
富士山頂剣ヶ峯に野中測候所が開設したことが由来となっています。
現在では無人施設となっていますが
富士山特別地域気象観測所として
気圧・気温・湿度などの観測を行っています。
昔はレーダードームとかも設置されていて
(呉市民だと灰ヶ峰の山頂にあるみたいなやつって言うと
すぐにイメージできるかと。。。(笑))
特徴的な景観だったのですが、今はあまり特徴のない普通の建物です。
富士山最高点の剣が峰にあるので
富士山に登ったことのある方だと「あぁ、あれか!」と
すぐに思い浮かべることができると思います。
建物のある剣が峰に登る「馬の背」と呼ばれる
急斜面が結構、キツイのですよねぇ…
酸素も薄いし…滑りやすいし…
まぁ、もう二度と富士山に登ることはないとは思いますが、
今となってはいい思い出です。
さてさて
本日は「コーワSW」のカメラ修理を行っています。
ウナコーワやコルゲンコーワとかのお薬や
ケロちゃん・コロちゃんでお馴染みの
興和株式会社の光学部門で作られていたカメラです。
興和の光学部門は現在でも
スポッティングスコープや医学用光学機器等を製造していますが
1978年までは一般向けのカメラやレンズも
精力的に開発・製造していて
二眼レフのカロフレックスや中判一眼レフのコーワシックス
コンパクトカメラのカロシリーズなど
現在でも評価の高いカメラがたくさん存在しました。
コーワSWは1964年に発売されたカメラで
モデル名の「SW」は「Super Wide」の略です。
1950年代のワイドカメラブームの頃はワイドレンズといっても
焦点距離35mmといった感じでしたが
コーワSWはその名の通り28mmF3.2を搭載した
レンズ固定式レンズシャッター機です。
現在の感覚で言うとSuperっていっても28mmなの?と
思われるかもしれませんが
当時のカメラで28mmレンズを固定搭載したカメラなんて
他にはありません
距離計も露出計も省きスペリオ式の0.4倍実像ファインダーを搭載し
小型軽量安価を実現したカメラです。
当時「交換用広角レンズを買う価格で買える」が売りだったそうです
確かに28mmだと距離計使ってピント合わせするのは無理がありますし
目測にしたのは正解かと思われます。
おまけにこの搭載されるスペリオ式ファインダー
結構贅沢な仕様でプリズムをふんだんに使用した造りで
コンディションの良い個体だと見え方も素晴らしいです。
F8以上に絞って3mあたりにピントを設定すると
いわゆる「パンフォーカス撮影」となり
スナップシューターとしても非常に使いやすいカメラだと思います。
実際、現在でも非常に人気の高いカメラです。
お預かりしている「コーワSW」は
残念ながらシャッター羽根が固着してしまっており
シャッターレリーズしてもしゃったが全く開きません。
レンズシャッター機ではお約束のトラブルです。
一眼レフ等のフォーカルプレーンシャッター機が
結構なバネ力でクイックミラーを作動させ
シャッター幕を引っ張り回すことに比べると
レンズシャッター機のシャッター駆動部は
とても小さなバネ力でシャッター羽根を駆動します。
その上、構造上、薄い金属製のシャッター羽根が
重なり合っているため、その部分に油等が付着してしまうと
ぴったりくっついて離れなくなってしまうわけです。
2枚のガラス板を水で濡らして重ねると
ぴったりくっついてしまうことと同じような現象が起きるわけですね。
経年劣化もあってシャッターユニット側や
ヘリコイドからの油分が滲みだして
シャッター羽根に付着すること自体は
当たり前に起こることなので
やはりある程度のスパンで
定期的にシャッターの整備を
行わなければばらないということだと思います。
シャッター羽根の洗浄を含むシャッターユニット整備を行い
シャッターは全く問題なく動作するようになりました。
ファインダーにはそれなりに汚れやシミがあり
バルサムの劣化も確認され、できる限りの清掃ですが
全く問題ないレベルにキレイになったと思います。
清掃したSWのファインダーは本当に明るくて
気持ちの良い見え心地です。
ご依頼者様はこのSWをずっと昔から
使ってきていると思われるのですが
これで安心してこれからも使っていただけると思います。
コーワSWって定期的にちょくちょく修理依頼のあるカメラですが
そのたびに私も欲しいなぁ…と思うカメラのです。
なかなか縁がなくて今のところ入手できていませんが…
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