キヤノンPのカメラ修理

今日は「アパート記念日」だそうですよ。
1910(明治43)年のこの日に東京・上野に
日本初の木造アパートが完成したのだそうです。
「上野倶楽部」という名前で
洋風の外観を持つ5階建て70室の賃貸アパートだったそうです。
上野公園に隣接しており洗面所・浴槽・電話は共同なのだそうです。
結構、大きなアパートですよね
今で言うとマンション的な感じだったのでしょうね
私も一人暮らし歴が30年を超えているので
いろいろなアパートにすみましたねぇ
新築で小ぎれいだけどめっちゃ狭いワンルームとか
入り口が引き戸で風呂なしのトイレ共同の
チープなアパートとかもありましたねぇ
便利なようで使いづらいロフト付きなんてのもあったなぁ
そういえばまだ10代のころだけど
一時期大阪に住んでた頃には
アパートではなくて「文化住宅」でした…時代が…(苦笑)
まぁ実家も長屋でしたし
もう一生賃貸集合住宅住まいなのは間違いないな(笑
たまに地元に帰ったときに見かける
レトロな古い木造アパートとか長屋とかも
雰囲気あっていいなぁ…と思うのですが
実際、住むといろいろ大変だろうなぁ…特にご近所関係が…
それに若くて時間とパワーがあったころは
少々ボロだろうが
立地が不便だろうが平気でしたが
年取ってきて一人暮らしだと
便利な場所でないといろいろツライですよねぇ…
…というわけでやっぱり都内最高です(笑

さてさて

本日は「キヤノンP」のカメラ修理を行なっています。
1959年発売のカメラです。
「P」はPopulaireの頭文字で
フランス語で「人気のある」という意味です。
ファインダーを固定式にして
ファインダー内に35/50/100mmのフレームを常に表示する
同じ時代のⅥ型に比べると簡素化されています。
しかしながらパララックス自動補正は備え
セルフタイマーも装備していて
シャッタ最高速も1/1000と機能的にはそれほど上級機に劣りません
それまでの普及機であった「L3」よりも大幅に安く
「ⅥT」に比べると半値近くの価格でした。
当然のごとく大ヒットし10万台も生産されたカメラです。
大幅に安くなったのは機能の簡略化もありますが
生産効率化で部品点数が減ったことも多いと思います。
近年のコスト化とでありがちな部品の質や素材の質を落とす
コストカットではなく
まだまだ効率的に生産する余地が残されている時代の話です。
なので、実際に内部を見ても
安っぽい部品や華奢な構造は全く見られず
非常にしっかり作られたカメラです。
逆にここで内部をかなり見直したことによって
Ⅵ型まではまだ一部でバルナックコピーの頃の名残のような
構造の部分もあったのですが
「P」及びそれをベースとした「7」では
そういう部分も全くなくなって
明らかに次の時代に進化したと言えると思います。

お預かりしている「P」は一通り動作してはいるのですが
シャッター音や巻上フィールに油切れの兆候が見受けられる状態です。
シャッター音は同じシャッタスピードでも
切るたびに微妙に音質が変わるような感じがあり
時に大きめの金属音が混じる感じです。
音で大体予想ができていましたが
実際に測定機でシャッタスピードを測ってみると
切るたびにかなり大きく実際の露光量が変わっており
特に後幕の幕速が非常に不安定な状況です。
これだと1/125あたりであればそれほど問題ないかもしれませんが
1/500・1/1000だと思ったような露出が得られない状態です。
巻上も少しばかりゴリゴリ感があります。
もともと「P」の巻上は非常に滑らかな感触です。

まだカバーを外しただけの状態ですが
まずはこれから分解を進めて
シャッター周り、巻上周りの清掃整備を行っていきます。
古い油や溜まった汚れを入念に落とした上で
必要最小限の注油を行います。
新しい油が馴染んだところで各部の調整を行い
精度も確保していきます。
並行してファインダー清掃、距離計調整も行います。
ファインダー切替がないのは少し寂しい気もしますが
固定式の等倍ファインダーは慣れると非常に使いやすいものです。

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