ペンタックスKXのカメラ修理

今日は「アイスクリームの日」だそうですよ。
幼い頃からじじいになってもアイスクリームは
ご馳走だし大好物ですよねぇ
ちなみに日本初のアイスクリームと言われている
明治時代の「あいすくりん」は
一人前の値段が2分(現在の価値で約8000円)と
めちゃくちゃ高価なものだったそうです。
さすがにそんな時代は体験していませんが
子供の頃に連れて行ってもらった喫茶店かどこかで
食べたアイスクリームは美味しかったなぁ…
あの時代ならではの足の付いたガラス容器に
丸みがかった四角いスプーン
そしてアイスクリームが丸く盛られ、
ウエハースが付いていて、さくらんぼが乗っている
まさにあの時代の典型的な「お店のアイスクリーム」です。
近所のスーパーで手軽に買えるアイスは
いわゆる「ラクトアイス」ばかりで
あの濃厚で本格的なアイスクリームは感動モノでした
で、そのうち、我が家にも当時の高級アイスクリームの代名詞
「レディボーデン」が冷蔵庫に常備されるようになり
「少しずつしか食べちゃダメ!」と言われながら(笑
自宅でも本格的アイスクリームが味わえるようになったわけですねぇ
また懐かしいことをいろいろ思い出してしまいました…(苦笑)

さてさて

本日は「ペンタックスKX」のカメラ修理を行っています。
ペンタックスKシリーズの中核を担うモデルです。
「Kシリーズ」はそれまで採用していた「M42マウント」と決別し
独自の「Kマウント」を初めて採用したシリーズです。
トップモデルの「K2」は全てにおいて新設計された
縦走りシャッター搭載の電子制御機ですが
正直、今となってはメンテナンス性にかなり難のあるカメラです。
中級機クラスの今回の主役でもある「KX」は
基本的な機械部分構造は以前の「SP」のものを引き継いでいて
動作的には非常に信頼できる造りです。
それに加え、最新のSPDによる露出計に
二針式で非常に見易いファインダー内情報、(絞り値も直読式で表示)
銀蒸着のペンタプリズム、ミラーアップ機構など
機械制御フルマニュアル機として
必要な機能をほぼ全て網羅しています。
余談になってしまいますがもうひとつの普及クラスのモデル「KM」は
以前の「SPF」をそのままKマウント化したようなカメラで
「SPF」の大きな特徴でもあった「フォトスイッチ」まで
そのまま搭載されています。
従来のユーザーが使い方そのままに乗り換えられるように
考慮されたカメラなのだと思います。
こう見てみると「Kシリーズ」の中で最も使い勝手がいいのは
個人的には文句ナシに「KX」ではないかと思われます。

お預かりしている「KX」は
随分長い間、使われず仕舞い込まれていた個体かと思われます。
全体的に動きが重い印象で
実際にシャッター幕軸やミラー駆動部には古い油や
蓄積された汚れがかなり動きを邪魔していると思われます。
高速シャッターの精度は全く出ておらず
1/1000は全く開きません。1/500で何とか1/4くらい開く感じです。
1/250だと一応開きますが写真の両端でかなり露光差が出ています。
駆動部分を徹底的に清掃した上で調整する必要がありそうです。
そして「Kシリーズ」でもSP系同様に定番の
「プリズム腐食」が出ています。
SP同様にプリズムに遮光材をぐるりと巻いているため
ここの加水分解を原因に蒸着が剥がれてしまいます。
SP系同様にファインダー内では中央少し下部分横方向に
黒い帯が出てきてしまっています。
これはプリズム交換で対応いたします。

SP時代からファインダー周りには
やたらと遮光用モルトが多用されていますが
内部モルトはKシリーズになってさらに増えています。
Mシリーズになるともっと増えてしまうのですが…
これはもうペンタックス機の特徴ですね…(苦笑)
画像にも写っていますが
上カバー裏には巨大な座布団モルトが貼られています。
基板と上カバー部の干渉を防ぐものと思われますが
これが劣化してくると基板に緑青が発生し
基板トラブルの原因になってしまうのです。
今回もトラブルが起こるほどではないですが
基板にも悪影響が出ていました。
もちろんここも交換で対処します。
ボディの大きさにまだ余裕のある時代のなので
整備性は悪くありませんし、
しっかり堅実に造られた良いカメラです。
キチンと整備して安心して長く使っていただきたいと思います。

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