今日は「井戸の日」だそうですよ。
「いい(1)井(1)戸(10)」の語呂合わせだそうです。
もう井戸を見ることも随分少なくなりましたが
私の住んでいた実家の近所には
その頃、既にほとんど使われていなかったのだと思うのですが
井戸があって、口に蓋がされている訳でもなく
ポンプが設置されている訳でもなく
いつでも開いたまんまで屋根に釣瓶だけがセットされていて
よく中を覗き込んでいました。
真っ暗で何が見えるわけでもないのですが
夏はひんやりとした冷気が上がってきて
小石を落とすと確かに随分下で水に落ちる音がしていました…
小さな子供が簡単に覗き込めるような井戸では
現在だと「危ない」って話になるのでしょうが
そんなところ昔はたくさんありましたよねぇ…
ちょっと山の段々畑に上がれば
そこら辺中に肥溜めもぽっかり口を開けてたし
(落ちたことはありませんが…)
うっかりするととんでもないところへ落ちそうな
崖や急斜面もたくさんあったし…
まぁなんにせよ、あの井戸はあの頃の私には
ちょっと不思議な世界への入口みたいな存在でした
今だと「そこから何か這い上がってくる…」なんて
想像をするのでしょうねぇ(笑
今考えるとそこら辺中に子供の目で見て
面白いものが溢れていました…
もうなかなかあんな視点で
物事を見ることできないでしょうねぇ(苦笑)
本日は「ニコンF2フォトミック」のカメラ修理を行っています。
先代の「F」では露出計のない「アイレベルファインダー」が
標準仕様とされていましたが
1971年発売の「F2」では開発時点から
露出計内蔵の「フォトミックファインダー」が標準仕様でした。
保守的なハイアマチュアや外部露出計を多用する
プロのためにもちろんシンプルなアイレベルファインダーも用意されてはいます。
今となっては中央部重点測光の内蔵露出計は
当時からの精度を考えても付いていなくても
あまり問題はないですが
やはり調整されて、ある程度の精度が確保されていれば
やはり便利です。
加えて「F」時代のフォトミックはファインダー側に電池室があった関係もあり
デザイン的にもアンバランスな部分が大きいですが
「F2」になると電池室はボディ側に移動し
アイレベルに比べると若干頭でっかちではあるものの
デザイン的にもずいぶん洗練されました。
逆にフォトミックファインダーを装着した武骨な姿は
ニコンらしい質実剛健さも感じられて個人的には好きな形です。
さらに露出計だけではなく
アイレベルではファインダー情報は何もありませんが
フォトミックファインダーでは絞り設定とSS設定が
ファインダー内で確認できます。
個人的にはこれがフォトミックファインダーの一番の利点だと思っています。
ファインダーから目を離さず露出設定を確認・変更できるのは
撮影時にはかなり便利です。
ファインダー以外の部分も何と言っても「F一桁機」ですから
文句の付けようがありません。
それも機械制御シャッター機としては最後の「F一桁機」です
難をあげるとすればその堅牢性の高さと引き換えに
やはり「大きく重い」という部分でしょうか…
それさえも「やはりこのくらいしっかりしてないと…」と
納得してしまう部分ではあるのですが…
お預かりしている「F2フォトミック」は
よくあるパターンですが露出計が全く動きません。
少しチェックしてみると露出計そのものが動かないのではなく
ボディ側から電源が供給されていないようです。
…となれば「F2唯一の泣き所」でもある
電池室樹脂部の破損かと思われます。
分解してみるとマイナス側端子基部を支える樹脂部分は
「折れている」なんてものじゃなく
「粉々に」破損していました。
いつものパターンではありますが
何とか端子を支える部分を造り修復していきます。
随分な長い間、使われていない個体かと思われ
露出計以外にも各部の動きはかなり悪く
巻上・シャッターは動作するものの
フィーリング的にも精度的にも問題ありです。
もちろん駆動部分は全て入念に整備を行っていきます。
プリズムには若干腐食が見られますが
これに関してはもはやどうにも処置の施しようがないので
基本的に現状のままといたします。
画像は本格的に分解に取り掛かる前の状態です。
整備をしながらいつも思いますが
FやF2の機械的精度の高さにはいつも驚かされます。
整備をした後にゆっくりと巻き上げながら
各部の動きを観察していると
本当に高精度であることがよくわかります。
FにしてもF2にしてもこのクラスとしては
大ヒットしたカメラで
伝説的な存在であることから
無駄に数が激減することはないとは思いますが
当たり前ですが現在以上に増えることはないので
どの個体もしっかり整備されて
できるだけ長い間、良い状態でいてほしいと思います。
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