ニコンF2のカメラ修理

今日は6月9日…とくれば
簡単にイメージできますが
「ロックの日」ですね。
音楽の「Rockの日」でもあり
鍵の「Lockの日」でもありますね。
音楽のほうはひとくちにロックといっても
非常に幅が広いですよねぇ
私はいまだに80年代のハードロックが好きではありますが…
鍵のほうはお店のカギから自宅のカギ
自転車のカギに至るまで
なんだかんだと数種類持ち歩きますよねぇ
ただ…最近の窃盗犯の手口とかを聞くと
コストとか手間とかを考えなければ
その道のスペシャリストの手にかかれば
開かない鍵なんてないのじゃないかと思ってしまいます。
それでも簡単に開けられるわけにはいかないので
ちゃんと戸締りはしなくてはいけませんが…
ところで今の普通のカギに比べると昔の実家のカギは
ひっかけるだけの非常に簡単なカギでした…(笑
そもそも歩いて行ける近所に買い物に行くくらいでは
カギをかけて行かなかったですね…
今では考えられませんがこれも時代ですねぇ

さてさて

本日は「ニコンF2」のカメラ修理を行っています。
「F2」となると「フォトミック」が依頼に来ることが多いのですが
今回はシンプルな「アイレベル」です。
構造上フォトミックだと「F」ほどではないにしろ
少々頭でっかちな感じに見えてしまいますが
(その無骨さもF2らしくて良いのですがね)
アイレベルだと非常に端正な印象に思えます。
「F」にしろ「F2」にしろ
本来の姿はやはりアイレベルが基本なのでしょうね。
アイレベル同士を比べると
「F2」は「F」のマイナーチェンジくらいの違いしかないのではないかと
思われがちですが
中身を見ても「F2」は「F」とは全く異なります。
確かに基本的な構造の考え方は「F」を引き継いではいますが
共通する部品なんて全くないですし
全てにおいてブラッシュアップされた全く異なるカメラです。
機能的には1/2000が追加になったくらいしか
違いがないともいえますが
レリーズボタンの位置、巻き戻し時の使い勝手
丁番式になった裏ブタ等々
使い勝手の面ではかなりの部分で進歩や改良が見られます。
そして相変わらずのオーバークオリティな各部品が
非常に高い精度で組み上げられ
他に類を見ない堅牢性を誇ります。

経年劣化で動きが悪くなることはさすがにありますが
「動かない」なんてことは少ない「F2」です。
しかしながら今回お預かりの「F2」は
巻き上げできずシャッター切れずの
何もできない状態になってしまっています。
「F」や「F2」では少し珍しいですね。
ショック品であればそういうこともあるかとは思いますが
全体を見た感じではそうとも思えません。
確かに外観自体はかなり使い込まれていて
いい感じにスレてはいるのですが
落下等で何かが破損している…という感じではないようです。
現状を良く確認すると
シャッターはチャージされてはいないようで
レリーズできないのではなくて巻上ができない状態だと思われます。
ただ幕の位置から判断すると
完全にリリース状態ではなくて
ほんのわずかに巻き上げかけた段階でそれ以上巻き上げられず
そこで固まっている…という状態のようです。

何はともあれそれ以上は分解してみないとわからないので
分解整備に取り掛かります。
結論からいうとレリーズ後に解除されるはずの
シャッタードラムのロック機構が解除されず
巻上ができない状態に陥ってしまっている状態でした。
強制的にロック解除して動作させても
その部分の動作が汚れ等で粘っていて
すぐに同じ症状が出てしまう状態でした。
結局のところ汚れや古い油脂による粘りと動作不良です。
加えて以前に分解歴があると思われる状態でしたが
幕速の設定がかなりおかしな状態になっていました。
動きの悪い状態で無理やり
シャッターを開こうとさせたのではないかと思われますが
幕のテンションが明らかに張り過ぎです。
本来のスムーズな動きができるようにしてやれば
必要最小限のバネ力で充分に精度は出せるはずです。
一旦完全に緩めて一通りの整備を行った上で
正しい手順で幕速の設定を行っていきます。

画像は一通り整備が終わり組み上げ後のものです。
全体的に非常にスムーズな動きになり
もちろん巻上も滑らかです。
高速シャッターを含めシャッタースピードの精度も
充分にでています。
元々、「F2」は「F」に比べると1/2000確保のためもあり
幕速はかなり速いのですがそれにしても
整備前の状態は以上に張りつめすぎでした。
そのためシャッター音も
明らかに通常とは異なる音がしていました。
シャッタードラムに悪影響が出ないかと心配しましたが
そこは杞憂に終わり
問題なく今回の整備で正しい状態になっています。
黒のアイレベル…やはりカッコいいですね。
これから存分にご依頼者様には楽しんで使っていただければと思います。

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