オリンパスOM-1のカメラ修理

今日は「鉄道電化の日」だそうですよ。
1956(昭和31)年のこの日に
米原~京都間が電化され
東海道本線全線の電化が完成したことに由来しています。
電化に伴って特急「つばめ」が
東京~大阪間を7時間30分で走ったのだそうです。
この頃の特急「つばめ」は電気機関車が
けん引する列車ですね。
牽引するEF58形電気機関車は東海道本線全線電化時に
従来標準色であったぶどう色(焦茶色)から
エメラルドグリーンに塗り替えイメージチェンジされました。
これらの編成は、その塗色から「青大将」 と呼ばれ親しまれたそうです。
ちなみに現在、東京ー新大阪間は新幹線「のぞみ」で
2時間半を切っています。本当に早くなりました。
反対に今や電化されていない鉄道は
地方に行かないとなかなか見られませんが
架線も何もないシンプルな線路の上を
ちょっとにぎやかなディーゼル気動車や機関車が走る光景は
なかなか捨てがたいものがあると思います。
ひさしぶりに小淵沢にでも見にいってみたいですね。

さてさて

本日は「オリンパスOM-1」のカメラ修理を行っています。
相変わらず依頼数の多さでは当店ナンバー1のカメラかと思われます。
(ちゃんと集計しているわけではないので感覚ですが)
元祖「軽量コンパクトな一眼レフ」といっていいカメラです。
機械制御シャッターに限れば
この「OM-1」と少し後(4年後)に出てくる「ペンタックスMX」の
2機種くらいしか該当するものがないかと思われます。
毎度書きますが、このコンパクトさを実現するために
一回り大きな通常の一眼レフとは異なる構造や工夫が
内部のあちこちに見られます。
初期モデルであればさすがに登場から50年が経過するカメラなので
新しかった現行当時であれば問題にならなかったのですが
同時代の大柄で丈夫さを最優先に作られたカメラに比べると
多少、華奢な部分も見られます。
とはいえ、しっかり定期的にメンテナンスを行っていれば
まだまだしっかり使えるカメラでもあります。
小ささばかりに注目されがちですが
作動音が小さい上に上品なのも何とも捨てがたい魅力です。
シャリッとしたOMならではの巻上と
耳触りの良いシャッター音は使っていてもとても気持ちの良いものです。

お預かりしている「OM-1」は
ご依頼者さまのご自宅でかなり長い間眠っていたものと思われます。
シャッターは一通りは作動しますが
さすがに精度は出ておらず特に1/1000は開ききらない状態です。
そしてこれはある生産時期のOM-1では定番ですが
電池室のマイナス側端子がぐらついていて
接触不良を起こし露出計が動作しない状態です。
これはマイナス側端子を留めている樹脂製のネジが劣化で
折れてしまっていることが原因です。
この部分は絶縁が必要なのですが
生産時期によって「金属ネジ+樹脂製絶縁」のものと
そもそもネジ自体が樹脂製のものがあり
樹脂製ネジの場合はかなり高い確率で劣化のため破損してしまいます。
金属ネジとはネジ径が全く異なる上に特殊なサイズのため
新品の樹脂ネジと交換することで対処します。

心配される定番のプリズム腐食は分解前にファインダーからの確認だと
視野外の影響のほとんどない部分にほんのわずかにみられる程度でした
でも開けてみると上の画像通り接眼部とプリズムの間に
貼られたモルト周辺は劣化により緑青が吹いている状態でした。
これでほとんどプリズムに腐食が出ていないのが不思議です。
もちろん劣化したモルトや緑青はキレイに除去し
同じようなことがこれ以上起きないように対処していきます。
まだ取り掛かり始めですが機械的な整備に加え
露出計関連の配線の一部交換も行い
問題のない状態に整備していきます。

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