キヤノンⅣsbのカメラ修理

今日は6月10日なので
「入梅」で「時の記念日」ですね。
梅の実が熟して黄色く色づく頃に
、雨季に入ることから「入梅」とされています。
梅雨に入る一つの目安とされますが
地域や年によってその時期は違うため
実際の梅雨入りとは日付が異なります。
でもだいたい関東から関西にかけてこの時期に
梅雨入りすることが多いですね。
関東も来週あたりからは梅雨入りかと思われます。
「時の記念日」は「時間をきちんと守り、
欧米並みに生活の改善・合理化を図ろう」と呼びかけ
時間の大切さを尊重する意識を広めるために設けられました。
1920(大正9)年に制定された昔からある記念日ですね。
なぜか小学校くらいから6月10日は「時の記念日」と
記憶に刷り込まれているのですが学校で教えられたのかな…
他の記念日と比べても由緒正しい記念日というイメージです。
…6月…祝日ないのだから
「時の記念日」は祝日でもいいのでは???と毎年思います。
そうなっても私の仕事にはあまり関係ないのですが…(苦笑)

本日は「キヤノンⅣsb」のカメラ修理を行っています。
1952年の発売のカメラです。
キヤノンからは数多くのバルナックタイプのカメラが
発売されていますがこの「Ⅳsb」及び改良モデルである
「Ⅳsb改」がその集大成且つ最高峰に君臨するモデルです。
キヤノン独自の倍率変倍可能な一眼ファインダーを備え
35mm判カメラとしては世界初のフラッシュ同調x接点を搭載します。
使い勝手や機能性が高いことも特徴ですが
ボディの造りこみや精度も高度にバランスされた
当時のキヤノンの技術力を世界に知らしめるカメラともなりました。
キヤノンのバルナックタイプのカメラは
モデル名の刻印がないのでその判別に苦労する場合もあるのですが
「Ⅳsb」と「Ⅳsb改」は1/1000が搭載されていて
フラッシュ接点付きレールが搭載されているので
比較的判別が容易です。

バルナックタイプのカメラ…に限らず
50年代のフォーカルプレーンシャッター機は
いずれもシャッター幕の状態が問題となります。
これまで一度も幕交換されていないものは
ほぼ間違いなくシャッター幕の硬化・劣化で
シャッターがまともに切れないか、動作していても
とてもとても精度が出ない状態になっていると思われます。
今回の「Ⅳsb」も例外ではなく
やはりシャッター幕は硬化して
まともに動作できる状態ではありませんでした。

…というわけでまずはシャッター幕交換を行い
並行して各駆動部の一通りの清掃整備を隅々まで行います。
その上でシャッタースピード等の精度出しを行っていきます。
キヤノンご自慢の変倍ファインダーの
清掃整備調整ももちろん行います。
画像は一通りの整備が完了した状態でのモノです。
装着されている50mmF2.8レンズもできる限りの清掃を行いました。
この「Ⅳsb」はご依頼者様のおじいさまのカメラなのだそうです。
かなり長い間、使われずにしまい込まれていたものと思われますが
何十年かぶりかに快調に本来の動きをするようになり
しっかり撮影にお使いいただければと思います。
それにしてもバルナックタイプのカメラの
メカメカしい軍艦部はいつみても魅力的ですね。
眺めているだけでもなんだかワクワクしてしまいます。

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