キヤノンAE-1プログラムのカメラ修理

今日は「チンチン電車の日」だそうですよ。
いわゆる路面電車ですねぇ
1903(明治36)年のこの日に
東京電車鉄道の路面電車が新橋~品川で営業を開始し
東京で初めて路面電車(チンチン電車)が
走ったことが由来だそうです。
私は広島出身(正確には呉)なので
広島市内及びその近郊を走る広電が
比較的身近な存在で
20代の頃は通勤で使っていたこともありました。
最近でも帰省した際には乗ることも多いです。
先日のお盆も宮島線に乗る機会がありました。
私としては「チン電」と呼ぶのが
身近な呼び方ですが
今ではチン電でもモバイルPASMOが普通に使えるので
便利ですねぇ…小銭の確認しなくてよくて…
市内の道路が渋滞していても比較的普通に運行しますし
電停も短い間隔で設置されているので
ちょっとした移動に本当に便利なんですよねぇ…
私のちょうど生まれた頃までは
呉市内もチン電が走っていて
家のすぐ近くにも電停があったのですが…
残念ながら白黒写真でしか見たことがないです…
「チンチン電車」という通称の由来には
2つの説があり、1つは、通行人への警報のために
運転士が足で床下の鐘(フートゴング)を鳴らす音から来ているという説と
車掌が運転士にあるいは運転士が車掌に合図を送るために鳴らしていた鐘
(あるいはベル)の音に由来する。
後者の鐘の音は近年まで車内で聞くこともありましたねぇ…
1回鳴らすか2回鳴らすかで意味が異なるのですよね。

さてさて

本日は「キヤノンAE-1プログラム」のカメラ修理を行っています。
1981年発売のカメラです。
当店で扱えるカメラとしては最も新しい世代のカメラですね…
機能的には「Aシリーズ」の基本形で初号機の「AE-1」に
プログラムオート露出が追加されただけだと思われがちですが
機械的構造は確かに「AE-1」と共通項も多いものの
電子制御的にはもはや別物といえるほど進化しています。
「AE-1」の発売から5年後の発売ですが
この頃は電子制御技術が日進月歩で変遷していた頃で
新しく出るカメラには新しい技術がふんだんに使われていました。
「AE-1」ではまだ糸連動があったりして
アナログな部分も多く残っていたものの
制御部に関しては相当に洗練されました。
リード線も数も大幅に減っています。
ファインダーの表示も明らかに進化しましたし
スクリーンも明るくなりファインダ-の見えも
格段によくなっています。
内部構造を見ていると1978年登場の
カメラロボット「A-1」も何だか古臭く見えてしまいます。

しかしながら機械的な構造、特にシャッター駆動部
ミラー駆動部、巻上機構は「Aシリ―ズ」共通の構造で
基本はやはり1976年の「AE-1」です。
ということで「Aシリーズ」共通の定番トラブルである
シャッター鳴きが発生します。
お預かりしている「AE-1P」もかなり激し目の
シャッター鳴きが起こっていてシャッターを切るたびに
「ギャイン」と耳障りな音を出します。
この系統の高い異音が鳴るのは油切れを起こした
「Fシリーズ」でもそうだったのですが
Fシリーズはあくまでもシャッター駆動部での異音でした。
「Aシリーズ」の異音は「シャッター鳴き」と言いながらも
正確にはミラー駆動部の駆動ギアが油切れを起こして
異音を起こしています。
異音ですんでいる間はまだ良いのですが
進行するとだんだんミラーの動きがゆっくりになっていき
最後にはミラーが動かなくなり
連動するシャッターも切れなくなります。
異音を感じたら早めの修理整備が必要です。

まだ現状を確認している段階です。
これからまずはミラーボックスを取り出して
ミラー駆動部のギアにピンポイントで清掃注油を行っていきます。
シャッター鳴きが行っている個体では
大抵の場合、幕軸も油切れになってることが多く
今回も高速シャッターの精度は出ていません。
さらにミラーを挟んでミラー駆動部ギアの反対側にある
オート時の絞り制御レバーも油切れで
相当動きが重くなっています。
ここが軽く動作する状態でないと
いくら電子制御部で正しい制御が行われていても
オート露出の精度は全く正しくなくなってしまいます。
AE-1系も依頼の多いカメラなので
ありがちなトラブルと弱点はある程度把握できているので
そのあたりを重点的に整備を行っていきます。

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