キヤノンF-1のカメラ修理

今日はこれといった記念日のない日ですねぇ…
ということで過去の10/28の出来事を調べてみると
1972年10月28日にパンダのカンカンとランランが
上野動物園にやってきた日なのですね。
中華人民共和国との国交恢復を記念して
日本に贈られた雌雄2頭のパンダです。
私はまだ3歳でしたが
おぼろげながらカンカン・ランランのことは覚えてますよ。
このあと11月5日に一般公開されて
日本中大騒ぎになりました。
最盛期には毎日平均1万5千人が訪れ
長さ2キロメートルにわたる2時間待ちの行列ができ
観覧時間はわずか30秒だったそうです
今でもパンダは上野動物園やアドベンチャーワールドで
大人気ですがこの時の大フィーバーぶりは
別格だったと思います。
確かに遠目で見ている分にはかわいいですものねぇ…
動物園も長らくご無沙汰です。
上野かズーラシアか季節の良いうちに行って来なくては…

さてさて

本日は「キヤノンF-1」のカメラ修理を行っています。
何度も同じようなことを書きますが
一眼レフの開発に立ち遅れ気味だったキヤノンが
社運をかけて開発した初のプロ向け一眼レフです。
「F-1」ボディ本体も素晴らしいですが
FDレンズ群や各種アクセサリーを含めた
システムカメラとしてもあらゆる撮影に対応できる
まさにプロ向けのカメラだったと思います。
この分野でそれまでまだに独り舞台だったニコンFの後継である
ニコンF2を止めるために登場したカメラです。
F-1の登場によりここから長らく続く
ニコン・キヤノン2大メーカー時代への幕開けとなりました。
機能としては今となっては一般的なマニュアルカメラの
標準的なものと言えますがニコンF2もそうですが
驚異的なのはその耐久性です。
過酷な場面でも撮影を続けることのできるタフさはまさにプロ仕様です。
ただ、どんな過酷な環境にも耐えうるのは
新しい状態を維持しているから…という前提もあり
さすがに経年劣化には勝てない部分も存在します。
機械なのですから当たり前ですよね。
当時のまま…とは言いませんが
できるだけ良いコンディションで本来の姿で動作するためにも
登場から50年以上経った現在では一通りの整備が必要です。

お預かりしている「F-1」はシャッターは一通り動作していますが
やはり幕軸や巻上に油切れの兆候が見られます。
巻上フィール的な部分は個体差やこれまでの使用環境にも
かなり左右されるので何とも言えない部分がありますが
シャッターに関しては明らかに数値にも出てきます。
開いてはいますが1/2000だともう閉じる寸前という感じで
先幕の動きがかなり悪いようです。
後幕の幕速も先幕ほどではないですが
本来の状態から考えると動きが悪いようです。
やはり巻上やミラー駆動部を含め可動域には入念な整備が必要です。
加えてこちらはご依頼者様からもご指摘があった部分ですが
露出計が電池を入れても全く反応しません。
バッテリーチェックにすると指針は反応するのですが
これも全く安定しません。
BCで動くということは露出計本体は何とか大丈夫かと思われます。
おそらくはSW周りの接触不良かと思われます。

まだ取り掛かり始めですが
これから本格的に分解整備に取り掛かります。
この状態で既に露出計SW近辺については確認ができますが
SWの接触部は一目で「これは電気通らないわ」と思うほどに
粉が噴いて覆われているような状態です。
反対にこれでよくBCだけでも反応があったものだと思います。
端子部は外して入念に磨いて導通を確保していきます。
ボディ側はこれから分解を進めて一通りの整備ですが
取り外し可能なファインダー部のその後で分解です。
プリズムに今のところ腐食は見られませんが
プリズム上には大きな座布団モルトが乗っかっていて
それも加水分解が原因でプリズム腐食に進んでしまうので
その対策も行っていきます。

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