キヤノンFTbのカメラ修理

今日は「囲炉裏の日」だそうですよ。
い(1)い(1)ろ(6)」(いい炉)と読む語呂合わせからだそうです。
「囲炉裏(いろり)」とは、炉の一種で
伝統的な日本の家屋において床を四角く切って開け
灰を敷き詰め、薪や炭火などを熾(おこ)すために
設けられた一角のことです。
囲炉裏は、暖房・調理・照明・乾燥・火種・
家族のコミュニケーションの場など様々な機能を有します。
囲炉裏のある古民家なんて憧れますねぇ…
実際に古民家を手に入れるのは無理なので
囲炉裏を楽しめる古民家の宿にでも行ってみたいですね。
そういえば一時期、囲炉裏は無理でも
火鉢なら入手してもいいんじゃないかと
いろいろ調べたことがありました。
結局、デメリットが多すぎることと
調べている内に熱が冷めて諦めましたが…(苦笑)

さてさて

本日は「キヤノンFTb」のカメラ修理を行っています。
「FTb」の修理依頼もコンスタントに多いですね。
1971年発売の機械制御シャッター搭載中級機です。
「FX」から始まる「キヤノンFシリーズ」の一員ですが
絞り値伝達機構を持つ「FDレンズ群」との組み合わせで
開放測光が可能となりました。
従来のFLレンズ群ももちろん装着可能でその場合は
絞り込み測光で露出計を使用できます。
シャッターや巻上機構は「FX」から続く基本設計を引き継いでいますが
同時期に最高級器である「F-1」の開発発売の影響もあり
「F-1」との共通項も多いカメラです。
シャッターは横走り布幕で最高速は1/1000です。
露出計は前モデル「FT」で最初に採用され「F-1」でも同様の
CdSをコンデンサレンズ後ろに配置する独特のもので
中央部部分測光となります。
「Fシリーズ」らしいアタック感強めの歯切れの良い
シャッター音が特徴的なカメラです。

「Fシリーズ」はペンタプリズムの腐食が多いカメラで
その原因の大部分はプリズム抑えの緩衝材の劣化の影響ある場合が
多いのですが今回の「FTb」はそれとは関係なく
プリズムの頂点部から経年劣化で剥離が始まり
それが大きく広がってしまったような状態です。
ファインダー視野内からも中央縦方向に大きな帯状に腐食が
広がっていてピント合わせどころか
とてもまともにファインダー視野内が確認できる状況ではありません。
それ以外にもかなり長年、仕舞い込まれていた個体と思われ
機械的な動作部あちこちで動きが悪くなっており
シャッターは何とか切れるものの作動音にも異音がはっきりと混じり
高速シャッターの精度はもちろん出ておらず
スローガバナーは固着してしまっているような状態です。
露出計回路と合わせて駆動部は全て入念な整備調整が必要な状態です。

まだまだ取り掛かり始めで
とりあえずプリズムを降ろしたところです。
画像でも腐食がはっきりと確認できますね。
これからさらに分解を進めて機械的駆動部の清掃整備
露出計回路の接点や配線の清掃整備交換等々を行っていきます。
整備性は良いカメラではありますが
慎重に作業を行っていきます。

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