カテゴリー別アーカイブ: カメラ修理

オリンパスOM-1のカメラ修理

今日から2月ですね!
2月1日は「テレビ放送記念日」だそうですよ。
1953(昭和28)年のこの日に
NHK東京放送局が日本初のテレビ本放送を行ったことに由来しています。
1953(昭和28)年2月1日午後2時、
東京放送会館のスタジオから
「JOAK-TV、こちらはNHK東京テレビジョンであります」の
第一声が放送されました。
また、都内7ヵ所で一般公開され
開局祝賀会の模様や舞台劇の中継、ニュース、映画などが放送されたそうです。
当時、1日の放送時間は4時間で
当時の受信契約数はわずか866件だったそうです。
大卒の初任給が約8000円の時代に受信料は月200円。
また、国産の14インチ型の白黒テレビは17万5000円もしました。
テレビは庶民にとってまだ高根の花だった時代です。
でもまだ70年ほどしか経っていないのですよね。
遠い昔のようですが意外と最近なんだな…という気もします。
70年余りでテレビを取り巻く環境は大きく変わってしまいましたね。
今、地上波放送って1日に30分も見てないな…(笑)

さてさて

本日は「オリンパスOM-1」のカメラ修理を行っています。
今月は「OM-1」の修理がより多くなるような感じです。
普段から機種別では当店でおそらく圧倒的に依頼が多いのが
「OM-1」だと思います。
依頼が多いのは「壊れやすいから…」ではなく
それほど当時から人気があり
家から出てきたカメラが「OM-1」だったり
小さくて使い勝手の良いフィルム一眼を探していたら「OM-1」に
行きついた…という方が多いのではないかと思います。
ただ確かにこの時代に(エンプラ技術がまだない頃)
小さく軽く作るためにいろいろな独自の工夫や独特な構造の部分もあり
2大メーカーの大きく重いフラッグシップあたりと比べると
多少華奢な部分もあります。
それでも現行品だった当時にはそういう部分も
大きな問題ではなかっただと思われますが
さすがに登場から50年以上経過し
ある程度、定期的なメンテナンスを行っていかないと
本来の動きを保てない状態のモノが多いと思われます。

お預かりしている「OM-1」の現在は症状が再現できないのですが
レリーズが押されたままで復帰できなくなったり
低速SS時にミラーアップしたままの状態になってしまうようです。
今の気温が低い時期にこの症状が出ることが多いそうです。
機械的な各部の動きが少し悪くなっているものと思われます。
シャッタスピードの計測を行ってみると
写真に明らかな影響が出るほどではないですが
後幕の動きが少しばかり悪いようです。
環境によってはこの数値がもっと悪くなることもあると思われます。

露出計の連動あたりはオリンパスらしい
他のメーカーでは見られない独特の構造もあり
なかなかややこしいカメラではありますが
シャッター・巻上機構は小さくするための
いろいろな工夫はありますが
基本的にはシンプルな構造です。
ただし比較的デリケートな部分が多く
絶妙なバランスで成り立っている箇所も多く
機械的な駆動部が本来の軽いスピーディーな動きで
駆動していないと割と頻繁にジャムることも多いカメラです。
本来の動きを各部ができているときは
非常に安定性も高いのですが…
いろいろなパターンのトラブルを見てきたカメラでもあるので
ウィークポイントもある程度は把握できています。
そのあたりを中心に入念に整備を行って
本来の動きをできるj限り取り戻していきます。

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ニコマートFTNのカメラ修理

えっと…今日は1月31日…
ついこの間、お正月ではしゃいでたばかりなのに
もう1月は終わりですか…早いですね
でも早く暖かくなってほしいので2月もあっという間に終わって
3月くらいになってほしいですね(笑
今日の記念日は「愛妻の日」
それに関連して「チューリップを送る日」
他、「生命保険の日」、「五つ子誕生の日」
うーん、独り者で親・兄弟も含めて
家族のいない私には関係ないモノばかりで何とも…(苦笑)

さてさて

本日は「ニコマートFTN」のカメラ修理を行っています。
「ニコマート」シリーズは「ニコンF」の時代に
中級機として発売された一眼レフのシリーズです。
まず機械制御シャッターのFT系が発売され
それからずいぶん後に電子制御シャッター機のEL系が加わりました。
後の「ニコンFM/FE系」の前身モデルとも言えます。
中級機とは言いますが過去のOEM機の失敗等も踏まえて
コパル製縦走りシャッター等の汎用部品を使いつつも
当時のニコン基準の品質を維持するために開発製造はニコンで行われています。
その苦労のかいもあってニコマートシリーズ特にFT系に関しては
非常に丈夫で動作の安定したカメラとなりました。
今回の「FTN」は1967年に発売されたモデルですが
このモデルから開放F値補正操作を取り入れ
絞り環を往復させるだけで開放F値の設定が完了するようになりました。
加えて「FTN」から露出計もそれまでの平均測光から
中央部重点測光に変更されています。
シリーズ中でも最も販売台数の多いカメラで
現存するニコマートFT系の大部分が「FTN」ではないかと思われます。
それほど信頼性と機能性が高い次元でバランスされたカメラだと思います。

基本的には非常に丈夫なカメラなので
シャッターが切れない等の致命的なトラブルは少ないカメラですが
さすがに60年近く経過する機械なので
未整備のままではあらゆるところの
動きが悪くなっているものがほとんどです。
今回お預かりしている「ニコマートFTN」も
シャッターは動作してはいるものの
低速シャッターに設定するとスローガバナが固着しているために
シャッターが開いたままになってしまいます。
加えてミラーの動きが悪くミラーアップがゆっくりなために
レリーズレスポンスの悪い状態になっています。
トラブルの多い露出計は今回は動作はしていますが
やはり精度は出ていません。
ただ十分に調整範囲内のズレなので調整で対処していきます。

まだ取り掛かり始めで本格的な分解整備はこれからです。
横橋りシャッター機とは異なり
縦走りユニットシャッターの場合はスローガバナは
シャッターユニット内に組み込まれています。
シャッターユニット駆動部の整備や羽根清掃と並行して
固着したスローガバナの修理も行っていきます。
ボディサイズに余裕があることもありますが
これも整備性は非常に良いカメラです。
内部は見慣れた光景ですが集中して慎重に作業を行っていきます。

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キヤノネットのカメラ修理

今日は「人口調査記念日」だそうですよ。
1872(明治5)年のこの日に
明治政府による日本初の全国戸籍調査が行われたことに由来しています。
当時の人口は男1679万6158人、女1631万4667人で
合計3311万825人だったそうです。
2015(平成27)年の国勢調査による日本の総人口は
1億2709万4745人で、9000万人以上増えたことになります。
これからは人口は減り続けていく予想で
2056年には1億人を割り込む予想が出ています。
生産人口も減りその代わりに外国人が増え
いろんな面で様変わりしていくかと思います。
それも時代の流れですかね。
明治初期の頃に比べたら現在だって
当時の想像を超える世界でしょうし…

さてさて

本日は「キヤノネット」のカメラ修理を行っています。
キヤノネットシリーズも1961年の初代から
1972年の「GⅢ」までいろいろなモデルが発売されています。
シリーズを通じて「大口径レンズ搭載」+
「シャッタースピード優先オート」を搭載し
それでいて「マニュアル露出(露出計はオフ)」も可能な
レンジファインダーカメラです。
今回は社会現象となるほど爆発的にヒットした
初代「キヤノネット」です。
当時の家庭用カメラとしてほぼ最高の性能を持ち
キヤノンの社員たちが自分たちの月給で買えるカメラを望んだという経緯もあり
18,800円という当時としては性能に比して非常に安価なカメラで登場しました。
当然のように登場と同時に爆発的に売れ
発売直後は2週間分と見積もっていた在庫が数時間で売り切れるという
伝説的逸話も残っています。
業界からはダンピングではないかと批判の声も上がり
カメラの低額化・高機能化に付いていけなくなった
多くのカメラメーカーが倒産・撤退するきっかけとなったのだそうです。
ただし当時としては安価なカメラですが
決して造りは安っぽくはなく
部品点数の効率化や生産ラインの効率化を推し進めて実現した価格なので
内部の構造にも60年代の国産大メーカーらしい
しっかりした造りで精度の高い部品が使われています。
サイズにまだ余裕がある時代ということもあり
整備性も非常に良好です。
キヤノンSE45mmF1.9の大口径レンズの写りもなかなか優秀だと思います。

お預かりしている「キヤノネット」は
かなり長い間使われずに眠っていたものかと思われます。
ただ最も心配されるセレン光電池の状態は良好で
調整は必要なものの露出計も十分元気に振れています。
ファインダーを覗くとやはりそれなりに汚れや曇りはありますが
それよりもブライトフレームが大きく斜めに傾いてしまっています。
構造上、フレーム自体が傾くことは考えづらいので
おそらくフレームを反射するミラーが外れかかっているのだと思われます。
シャッターや絞りはやはりそれなりに粘りがあるものの
こちらも整備清掃すれば問題なく動作すると思われます。
ただオートではそれなりにシャッターは切れるのですが
マニュアルにするとレリーズロックがかかってしまい
シャッターが切れません。
キヤノネットはオート時にそのSS設定オートでカバーできない
光量の過不足がある場合にレリーズロックがかかる仕組みになっていますが
そのレリーズロック機構が少々ズレていて
マニュアル時にロックがかかってしまうものと思われます。
こちらも整備調整で解消できると思います。

まだ上カバーを外しただけでファインダーの状況や
露出計のチェック、レリーズロックの動き等を確認してる段階です。
フレームの傾きはやはりミラーが外れ掛かっているためでした。
初代キヤノネットは巻上レバーも、巻き戻しクランクも
底面に配置されていて上カバーにはフィルムカウンターの窓と
レリーズボタンしかないシンプルなものです。
そのシンプルな上カバー部に筆記体で刻印された
「Canonet」の文字がなんともオシャレだと思います。
デザイン的にも非常に優れたカメラだと思います。
現状をしっかり確認してトラブルの原因・対策がある程度
予想がついたところで本格的に分解整備に取り掛かります。

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ニコンF2フォトミックのカメラ修理

今日はスペースシャトル「チャレンジャー号」の事故があった日ですね。
1986(昭和61)年のこの日に
アメリカのスペースシャトル「チャレンジャー号」が打ち上げ後
わずか74秒で大爆発を起こし、乗務員7人全員が死亡する惨事となりました。
全世界に中継中の出来事でした。
中継をリアルタイムで見ていたわけではないですが
その日のニュースはこのショッキングな映像で溢れていて
かなり強烈に記憶に残っています。
もう38年前なのですねぇ…
そりゃそっか、私もまだ当時、高校生でした。

さてさて

本日は「ニコンF2フォトミック」のカメラ修理を行っています。
ここのところ「F2フォトミック」の修理多いですね。
タイミング的なものでたまたまだとは思いますが…
露出計レスのベーシックなF2アイレベルと同時に
1971年に発売されています。
前モデルの「F」の時代には露出計内臓の「フォトミックファインダー」モデルは
オプション的な扱いで派生モデルのひとつといった印象でしたが
F2ではフォトミックファインダー装着モデルが
もはや標準モデル的な扱いでデビューしました。
TTL測光内蔵露出計が当たり前になっていくちょうど過渡期だったと思われます。
「F」の時代のフォトミックは開発時期も全く異なり
既にベースのFが出来上がっている状態での開発だったと思われ
取ってつけた感が正直なところかなりありますが
F2は開発当初からフォトミックファインダーを装着することが
前提として考えられていて
デザイン的にも随分と一体感が増しましたし
スペースをとる電池室もボディ側に設けられ
ファインダー側の小型化にも成功しています。
そしてF2フォトミックはファインダー内に設定SSや絞りの表示もされるようにあり
個人的には露出計内臓よりもこちらの機能が重宝しそうな気がします。

フォトミックファインダーは露出計の形式(指針式、LED式)や
レンズ連動(非Ai(カニ爪)連動、Ai連動)
受光素子の違い(CdS,SPD)の違いで5種類のモデルが存在しますが
今回のフォトミックは最もベーシックな「DP-1」装着モデルです。
当店にやってくるフォトミックのほとんどがこのモデルです。
(LED式のフォトミックは修理不可という理由もありますが)

お預かりしている「F2フォトミック」は
まずその最大の特徴である露出計が全く動作しません。
ボディ側から電源が供給されていないようです。
F2は電池室のマイナス側端子基部が破損するトラブルが多く
これが原因で接触不良を起こし露出計不動というパターンが多いのですが
今回はマイナス側端子はしっかりとしていて問題なさそうです。

本格的な分解に入る前にトラブルの洗い出しと
あそのトラブルの原因が特定できるようなら確かめておきたいのですが
露出計不動の原因は巻上レバーと連動する底部SW部でもなく
簡単にわかる部位ではないようです。
とはいえ回路はシンプルなので
おそらく電池室裏側のハンダ劣化か配線腐食だとは思われます。
(結果的にはハンダ劣化でした。)
加えて露出計はファインダー側にも問題を抱えていて
内部の摺動抵抗のブラシ部が絞りと連動してうまく動作しないようです。
実はこちらのほうが一部部品が破損していて対処が大変でした。
さらに機械的な部分ではシャッタースピードの精度が全く出ておらず
1/2000や1/1000は開いていない状態です。
今回は単なる幕速バランスの崩れとか幕軸の汚れ等だけの原因でなく
調速カム周りや幕ブレーキに問題があるようです。
ちょっと手のかかる修理調整が多い作業となりそうです。
本格的にはこれからですが
不具合を一つ一つ慎重に対処していきます。

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オリンパスOM-1のカメラ修理

今日は「国旗制定記念日」だそうですよ。
1870(明治3)年のこの日(旧暦)に
明治政府が日の丸を国旗とする太政官布告の商船規則により
国旗のデザインと規格を示したことが由来となっています。
国旗は元々は船の印としての旗で
徳川幕府が「日本総船印」として定めた
白地に日の丸を踏襲した「商船国旗」として定められたのだそうです。
当時の規格は、縦横の比率は7:10で
日の丸が旗の中心から旗ざお側に
横の長さの100分の1ずれた位置とされていました。
現在の規格は国旗の縦横の比率は2:3、
日の丸の直径は縦の長さの5分の3、
日の丸は旗の中心の位置。色地は白色、日の丸は紅色とされています。
そういえば太陽は実際は朝夕以外は少しも赤くないのに
太陽を赤く書くことが多いのは
やはり日の丸から来ているのでしょうかね?

さてさて

本日は「オリンパスOM-1」のカメラ修理を行っています。
今月もコンスタントにOM-1の修理依頼が入っています。
相変わらず機種別としては
圧倒的に依頼数が多いのがOM-1です。
軽量コンパクトな機械制御シャッター機となると
「OM-1」とペンタックスMXくらいしか当てはまるものがなく
その上、使い心地等も良く、よりシンプルなもの…となると
OM-1がこのジャンルを圧倒する理由がわかるような気がします。
ただそのコンパクトさを実現するために
通常の同時代の一眼レフとは全く異なる造りとなっている部分も多く
それ故に多少デリケートな部分も多いカメラです。
基本的には丈夫なカメラですが
定期的なメンテナンスはより必要なカメラだと思います。
それも整備依頼が多くなる理由の一つだとも思います。

お預かりしている「OM-1」は
まずは定番のプリズム腐食です。
プリズムの接眼側に遮光対策として貼られているモルトが
加水分解を起こしプリズムの蒸着を剥離していくトラブルです。
対策を行っていないOM-1ではほぼすべての個体で起きてしまう
トラブルだと思います。
当店では中古の腐食のないプリズムと交換することで対処します。
加えて高速シャッターには精度不良がみられ
低速シャッターはガバナの粘りで不安定な動きをします。
フィルムカウンターにもトラブルがあり
やはり全体的に汚れ等で動きの悪い状態です。
露出計は動作はしていますが
大幅にオーバーな値を示します。


まだプリズムを降ろしただけの状態です。
プリズムとモルトを貼られた部分をまたぐ
X接点のステー部にはボロボロのモルトが付着していると
予想していたのですが明らかにモルトは過去に交換されていて
比較的新しいものが貼られていました。
モルトを貼りなおした時には
既にプリズムはこの状態だと思われるのですが
モルト交換を行っただけで
その時点ではプリズムには対処を行わなかったのだと思われます。
プリズムは交換できるものがあれば
載せ替えること自体はたしたことではないのですが
先程も少し触れましたがOM-1はいろいろと
デリケートな部分も多く開けたからには
調整整備しないとならない部分も多く存在します。
いずれにしても現状では本来の動きではない状態なので
シャッターの精度も含めて各部しっかり整備調整を行っていきます。

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コニカⅢAのカメラ修理

今日は「モンチッチの日」だそうですよ。
モンチッチの誕生日である1974(昭和49)年1月26日が由来となっています。
私が小学生に入るか入らないかくらいの頃から
めちゃくちゃ流行ってましたねぇ…
私自身は当時それほど興味はなかったですが
いろんなところで見ましたし
友達の家とかに行くとドアノブとかいろんなところに
モンチッチがぶら下がっていたような気がします。
発売以来、国内では爆発的人気となり
その翌年、輸出されるようになってから
1985年頃まで世界的なブームともなった商品です。
国内の比較的小さな会社で作っているのですね。
日本では一時期販売が止まっていたこともあるのですが
フランスでは海外輸出開始以来ずっと販売し続けているのだそうです。
1996年以降、現在では日本国内でも再び販売されていて
ヨーロッパの国々でも順調に売れ続けているのだそうです
今見ても可愛いですね。
こういう昔流行ったものを見ていると
無性に欲しくなってしまいます(笑

さてさて

本日は「コニカⅢA」のカメラ修理を行っています。
ベースとなる「Ⅲ」でセルフコッキング搭載となり
鏡胴基部に巻上レバーを備え、ダブルストロークで
巻上及びシャッターチャージが行えるようになりました。
その「Ⅲ」に当時「生きているファインダー」と言われた
パララックス補正機能付き等倍ファインダーを装備したものが
「ⅢA」となります。1958年の発売です。
パララックス補正が付いたレンジファインダーは
この頃からいろいろな機種に搭載されてはいたのですが
等倍のファインダーは非常に見やすくて気持ち良いものです。
それも「Ⅲ」ではハーフミラーでブライトフレームや
二重像を映し出しますが「ⅢA」はコストのかかる
プリズムを搭載していてそのクリアな見え具合は
やはり通常の「Ⅲ」よりワンランク上をいくものです。
等倍フレームだと両目を開けて
ファインダー内をみると同時に
視野外も見ることができるので
両目で見ることに慣れてくると撮影の効率も上がると思います。
シャッターユニットは「Ⅲ(L1・L2)」と同様の
セイコーシャMXLでいわゆるライトバリューで露出設定を行うタイプです。
現在となってはLV式の設定はちょっと煩わしい部分もありますが
このあたりは慣れてしまうしかないですね。
レンズは「Ⅲ」同様のヘキサノン48mmF2搭載のモノと
ヘキサノン50mmF1.8搭載モデルの2種類が存在します。

お預かりしている「ⅢA」は
昨日のブログの「ⅡB」と同様に
レンズシャッター機の定番ともいえる
シャッター羽根の粘りが発生しています。
古い油脂が羽根にまで滲み出してしまっていて
抵抗となり羽根動作が不良になっている状態です。
絞り羽根にも油滲みが見えています。
絞りリングもやはり少し重く感じますので
このまま絞りリングを動かしていると
そのうち羽根破損や羽根外れのトラブルを起こしてしまいそうな状態です。
加えて自慢の等倍ファンダーにも
汚れや曇りが出てしまっている状態です。
やはり全体的に一通りの整備は必要な状況です。

等倍ファインダーということもあり「Ⅲ」に比べると
「ⅢA」はファインダー窓も大きく目立ちますね。
シャッター羽根や絞り羽根は
取り外して洗浄を行い再組立てを行いました。
羽根自体もそうですが羽根駆動部にも
古い油脂とゴミが混じったようなものが
動作不良の原因となっていました。
そのあたりも含めて分解清掃を行った上で調整をしています。
ファインダーはできる限りの清掃ですが
重大なダメージがあったわけではなく
通常の清掃で非常にクリアな状態になっています。
ご依頼者様にも存分に楽しんでいただける状態かと思います。
整備が完了してある程度、時間をおいている状況ですが
これから最終チェックを行って問題がなければ完成となります。

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コニカⅡBのカメラ修理

今日は「日本最低気温の日」らしいですよ。
1902(明治35)年のこの日に
北海道上川地方旭川市で日本の気象観測史上の最低気温である
マイナス41.0℃を記録してります。
これが公式な日本の最低気温だそうです。
1978(昭和53)年2月17日には
北海道の幌加内町母子里の北大演習林で
マイナス41.2℃を記録していますが
気象庁の公式記録の対象から外れていたため
公式では上記の旭川市の記録が最低気温となっています。
2月17日は記念日として「天使の囁きの日」になっています。
やはりこの時期が一番冷え込むのですね。
今日も全国的に寒い日で都内は天気こそよいですが
朝方は氷点下になっているようです。
この記念日に関連して(?)
今日は「ホットケーキの日」でもあるそうです。
特に寒くなるこの時期に美味しいホットケーキを食べて
暖まりましょう!ということですね。
子供の頃にばあさんが作ってくれる
ホットケーキが美味しかったなぁ(笑
はちみつ、マーガリンをたっぷりのせて…
まぁなんでもない普通のホットケーキミックスで作るヤツですけどね
そういえば焼く前の白いどろどろの状態の
ホットケーキを舐めてみたくって
つまみ食いしては「おなか壊すでっ!」って怒られてました(笑

さてさて

本日は「コニカⅡB」のカメラ修理を行っています。
コニカⅡは1951年発売のカメラです。
ダブルヘリコイド式繰り出し機構を搭載し
ほんのわずかですが沈胴することによって
撮影しないときによりコンパクトにできるようになっています。
搭載されるレンズはヘキサノン50mmF2.8です。
セルフコッキングはまだ搭載されませんが
二重露出防止装置が搭載され
シャッターユニット本体のレバーでチャージを行い
フィルムを巻き上げてから巻上ノブ横のレリーズボタンで
シャッターを切ります。
この際に巻き上げられていないとレリーズボタンは
押せないような仕組みになっています。
シャッターユニット本体のレリーズレバーを操作すると
チャージされていれば巻上に関係なくシャッターが切れます。
シャッターユニットは「コニラピッドS」で
B・1S~1/500をカバーします。
「ⅡB」は「Ⅱ」からタイム露出を省略したもので
1955年に発売されています。

お預かりしている「ⅡB」は
お預かり時には絞り羽根が1枚外れた状態で
絞りの形状が変形している状態でした。
シャッター羽根にも粘りがあり
絞り羽根も粘っている状態で動かしてしまったため
羽根が外れてしまったのだと思われます。
ここでも何度か同様のことを書いていますが
粘った状態で絞りを動作させていると
今回のように羽根が外れてしまったり
もっとひどい場合は羽根が折れたり破損してしまいます。
シャッター羽根は粘っていた状態で動かしても
小さなバネの力で駆動しようとするので
羽根は亜tる程度粘っていると動かずに
写真が撮れないだけですみますが
絞り羽根の場合は絞りリングを介して
人の手の力で強引に動かすことになってしまうので
簡単に破損してしまいます。
油滲みで粘っている絞り羽根は極力動かさないで
修理に出すことをお勧めします。

画像は一通りの整備が完了した時点でのモノです。
今回は絞り羽根は単に外れてしまっただけで
破損や折れ曲がりはありませんでした。
シャッター羽根もそうですが
羽根は完全にバラシて洗浄し駆動部も入念い清掃して
組みなおしてあります。
現在はシャッター、絞り共に非常にスムーズに動作しています。
他、ヘリコイドグリス交換、レンズ・ファインダー清掃
他、駆動部の整備等、一通りの整備を行いました。
少し時間をおいて様子見している段階ですが
この後、最終チェックを行って問題がなければ完成となります。

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ニコンEMのカメラ修理

今日は「ゴールドラッシュの日」だそうですよ。
1848年のこの日にアメリカ・カリフォルニアの製材所で働く
ジェームズ・マーシャルが川底にきらりと光る金の粒を発見しました。
仲間と秘密を誓ったが、この話は大きな噂となって全米に広まり
やがて一獲千金を夢見る男たちが殺到し
「ゴールドラッシュ」(Gold rush)が起こったのだそうです。
ゴールドラッシュは、新しく発見された金の採掘地に
人々が殺到することを意味します。
いつの時代も誰もが一攫千金を夢見ますよねぇ…
そう簡単に一攫千金できるようなら
誰もがお金持ちになってひどいインフレが起こりそうなので
そう簡単にいかないのが当たり前かとは思います。
強烈な運の持ち主か類まれな才能でもない限り
コツコツ稼ぐのが正解なような気がします。
今の世の中、なかなか一個人が短期間に一攫千金なんて
相当に難しいような気がします。
まぁあまり余計な事を考えないで
今日もしっかり仕事しますかーーーー(笑

さてさて

本日は「ニコンEM」のカメラ修理を行っています。
1980年に発売されたニコンとしては初となる
エントリークラスの一眼レフです。
絞り優先オート専用機でボディのみ40,000円
物品税の関係もあり各社価格横並びで
露出オート専用機のエントリークラスが
ラインナップされていました。
それまでニコンはフラッグシップのF一桁機と
中級機のFM/FEのみのラインナップだったので
かなり思い切った戦略機としての位置づけでした。
同時期に発売されたフラッグシップ「F3」と同じく
ジウジアーロデザインで非常にスタイリッシュなカメラです。
現在も人気の高いカメラですが
発売当初は国内の反応はあまりよろしくなく
販売的にも苦戦しました。
要は「高級機メーカーのニコンらしくないカメラ」と
思われてしまったようです。
確かにコストの関係上、外装はプラスチックですし
かなり割り切った部分も見受けられますが
オート専用機の電子制御器でありながら
電池がなくても動作する「メカニカル1/90」を搭載し
バルブも機械制御で動作します。
それ以外にもニコンらしい部分は多く見られ
冷静にチェックすると実にニコンらしいカメラなのですが…
ちなみに先行発売された海外ではかなり好調な販売だったそうです。
「EM」の国内での評価が盛り上がったのは残念ながら
生産が終わった後になってしまいました。
それでもエントリークラスだけあって
それなりの台数が生産販売されていて
現存する個体は十分に多いです。

お預かりしている「EM」は
まずシャッターがまともに動作できない状態です。
巻上げてシャッターを切ると
先幕はほぼ問題なく走行するものの後幕が途中で止まってしまいます。
シャッターは2/3ほど開いたままです。
当然、ミラーは上がったままで次の巻上もできず
その状態で固まったままになってしまいます。
強制的に後幕を走行させて何とかリリーズ状態に戻せるといった状態です。
当然ながら撮影に使用できる状態ではありません。
シャッター羽根は見える部分に限ってはキレイなのですが
羽根の基部に汚れやゴミ、古い油脂が詰まってしまっているのか
羽根駆動部の動作不良が原因と思われます。
いずれにしてもシャッターユニットの入念な整備が必要です。
加えてファインダーを覗くと縦方向にもやっとした
太い縦線が出ています。プリズムの腐食です。
こちらは腐食のないプリズムに交換することで対処します。

まだプリズムを降ろしただけの状態です。
プリズムもフレキに覆われているので
ここまででもそれなりに大変ではあります。
ここからさらにミラーボックスを分離してシャッターユニットも
分離して整備を行っていきます。
この時代の電子制御機なので細かい手間はかかりますが
それでも「EM」はこのタイプのカメラとしては
整備性は良好です。このあたりもニコンらしい部分ですね。

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ニコンFのカメラ修理

今日は二十四節気でいうところの「大寒」です。
「大寒」の一つ前の節気は「小寒」(1月5日頃)、
一つ後の節気は「立春」(2月4日頃)
「小寒」から「立春」前日の「節分」までの約30日間を
「寒(かん)」や「寒中」「寒の内」と呼び
「大寒」はその真ん中にあたり一年で最も寒い時期となることが多いです。
まさにこれから1ヶ月くらいが寒いわけですねぇ
もう寒い日々は十分なのですが。。。(苦笑)
今日の都内も「大寒」にふさわしい
どんよりとした寒い天気です。午後からは雪の可能性もありそうです。
この「大寒」に関連して
「血栓予防の日」なんて記念日も制定されています。
寒い時期に血栓はできやすいですものねぇ
私の脳の血管が詰まったのも2月の立春過ぎた頃でした…
無駄に体を冷やさないことと十分な水分補給が大事かと思います。
それ以前になるべく血液をドロドロにしないように
そして血液が流れる血管をなるべく硬化させないように
健康的な食生活が大事でしょうね。まぁそれが難しいのですが…
それから私もそうですが長時間座り仕事の方は
積極的に下肢を動かして血液を滞らせないようにすることが大事でしょうね
寒いせいもありついついひざ掛けしたままで
動きたくなくなるのですが気を付けるようにします…
なんにせよ、早く暖かくなってほしいものです。

さてさて

本日は「ニコンF」のカメラ修理を行っています。
言わずと知れた名機ですね。
一眼レフという形式を一気に世界的にも
主流に押し上げたカメラだと思います。
ニコンとしても初の一眼レフカメラであり
「ニコンFマウント」のスタートとなったカメラです。
ほぼ100%のファインダー視野率、
交換式のファインダー、ミラーアップ機構の搭載、自動絞り等々
本当に撮影に必要な機能を厳選して搭載し
それを精度の高い頑健な部品で駆動します。
さらに必要に応じて様々なアクセサリーが用意され
様々なシチュエーションの撮影に対応できる
本格的システムカメラであったことも
プロ仕様といえる部分だったと思います。
メンテナンスしながら過酷な場面も含めて
長く使用することも前提に設計されていて
整備性も抜群な上に使われる部品のクオリティも非常に高く
現在でもしっかり愛用できるカメラとして
たくさんの「F」がまだまだ活躍しています。

登場は1959年です。
最高級機ということもありお値段も
おいそれと手が出るものではなかったのですが
それでも営業的にも大成功しています。
現存台数も多いのですが
長らく使われていないあるいはまったく整備されていない個体も多く
本来の動きを失っているものも多く流通しています。
これから入手される場合はメンテ前提で検討されるべきかと思います。

お預かりしている「F」も
もう長らく使われていなかったようです。
いわゆる「New F」とも言われるモデルで
「F」としては最も後期のモデルにあたります。
外観としてわかりやすいのは巻上レバーに指あてプラ部品が付いたことと
セルフタイマーレバーのデザインが異なる点です。
内部的にも細かくは変更点があるのですが
そこは大きな変更というほどでもなく
中身構造的には従来の「F」と変わりません。
いずれにしても相変わらずの極めて高い精度で
正確に動作する機械制御カメラです。

長く使われていなかったこともあり
致命的な破損や故障はないのですが
あちこちで動きの悪い部分が見受けられます。
ミラー駆動は「F」は独特な構造で
強烈なバネで跳ね上げるのですが
それをロックする部品が固着しているようで
巻き上げると同時にミラーが上がってしまいます。
巻き上げるとファインダーが真っ暗になってしまう状態です。
さすがにこれでは撮影に支障がありすぎますね。
幕軸も古い油脂類のため動きが悪く
高速シャッターの精度は出ていません。
反対に低速シャッターはスローガバナが粘っていて
不安定な上にたまに開いたままで止まってしまいます。
内部の汚れもたまっていて量は少ないのですが
使われているモルトはもちろん全て全滅です。

それでも何かが破損しているとかは一切なく
要は長年の汚れがたまって動きにくくなっている状態です。
できる限り分解し汚れや古い油脂を取り除き
必要最小限の注油を行えばほぼ本来の動きを取り戻します。
精度的には微調整程度でしっかり出ると思われます。
そしてファインダー等のガラス、レンズ部分は
カビもありますのでしっかり清掃していきます。
画像にはありませんが装着されていたレンズもしっかり清掃整備を行います。
しっかり手を入れてしまえば
本来の動きでまた当分の間、問題なく撮影に使用できます。
それに加え独特の精密感や感触を存分に楽しめます。
やはり良いカメラであることに間違いはございません。
ところで、機能や精度にも全く関係はないのですが
画像にも写っている真鍮製の「Nikon」のネームプレートが
妙に重量感があって毎回何だか嬉しくなります。
このあたりはこの時代ならではの質感ですね。

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ニコンF2フォトミックAのカメラ修理

今日は「のど自慢の日・カラオケの日」なのだそうです。
1946(昭和21)年のこの日に
NHKラジオの「のど自慢素人音楽会」が始まったことを記念して
日本放送協会(NHK)が制定しています。
テレビ放送になったのは1953年からだそうです。
それにしてもこの番組、まだ今でも放送続いているのですね!
テレビ(地上波)って今や1日たぶん30分も見ていないから
(朝、準備をしながら少しつけるだけ、ほぼ見ていない(苦笑))
現在のテレビ番組なんて全く知らないのですが
私が生まれる前からずっと続いているってすごいですね…
そういえばじいさんばあさんがいつもこれ見てたなぁ
日曜日のお昼ですよね…なんだか懐かしいです。
私が知っているのは鐘で合格かどうかをお知らせするパターンですが
鐘が登場する前は司会者が口頭で合格者に
「合格です」、不合格者には「けっこうです」と告げていたそうです。
歌っている途中で「けっこうです」って言われたら
ちょっとショックでしょうね(笑

さてさて

本日は「ニコンF2フォトミックA」のカメラ修理を行っています。
F2系、特にフォトミック系の修理依頼は比較的多いので
毎度同じようなことを書いてしまいますが
F2フォトミックはF2のボディに
露出計内臓のフォトミックファインダーを組み合わせたモデルです。
フォトミックファインダーは前モデルの「F」の途中から
ラインナップされるようになり
F2では開発当初からフォトミックファインダー搭載が
前提とされて設計されています。
そのため露出計に必要な電池室もF2ではボディ側に配置されています。
デザイン的にもいかにも取ってつけたような「F」の頃に比べると
F2フォトミック随分と洗練されています。
それでも少し頭でっかちで独特の無骨さがあるのがですが
今となってみればF2フォトミックの無骨さは
この頃のニコンらしくて個人的には非常に魅力的に写ります。
フォトミックファインダーはF2デビュー時の
ノーマルなフォトミックファインダーに加えて
受光素子の違いや露出計が指針式からLED式に変更されたものも追加され
合計で5種類が存在します。
今回の「フォトミオックA」はノーマルのフォトミックをベースに
レンズとの連動がAi方式に変更されたものです。
受光素子(CdS)や指針式であることはベーシックなフォトミックと同様です。
ただAi方式に対応したため
ファインダー内絞り表示がレンズの刻印を直読するタイプに変更されています。
ここに関しては個人的には非Aiのほうが
文字が大きくて見やすかったような気がします。

お預かりしている「F2フォトミックA」は
一通りは動作している状態なのですが
やはり動きの悪いところもいくつか見られ
先幕・後幕の幕速バランスが少し崩れていて
高速シャッターの精度が出ていません。
幕軸の汚れ等が原因かと思われます。
低速シャッターは今度はスローガバナーの粘りで
非常に不安定です。こちらもガバナの汚れや古い油脂が原因かと思われます。
F2唯一の弱点でもある電池室マイナス側端子は
まだしっかりしていて問題なさそうですが
ファインダー内部の摺動抵抗にはやはるい汚れがたまっているようで
露出計の指針の動きは不安定です。
精度もオーバー気味で調整が必要です。
大きな致命的なトラブルはないのですが
やはり全体的に清掃整備調整が必要な状態です。
反対に言うとしっかりリフレッシュしてやれば
問題のない状態で安心してまだまだ使える個体かと思われます。

まだ取り掛かったばかりで
これから本格的に分解に取り掛かる状態です。
この時代のF一桁機なので
当然ながら分解整備を行い適切なメンテナンスを行うことを前提に
設計されているので整備性は抜群です。
かゆいところに手に届くような感じで調整機能もあり
しっかり整備調整して精度を出せるような仕組みになっています。
そして部品そのものの精度も非常に高く
整備された状態でゆっくり巻き上げて動きを確認してみると
その精密さにためいきが出るほどです。さすがの造りです。
ショック品や水没品とかで致命的な破損さえなければ
メンテを行いつつ
いつまでも使えるカメラではないかと思います。

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