カテゴリー別アーカイブ: カメラ修理

ミノルタSR-1のカメラ修理

今日は「時刻表記念日」だそうですよ。
1894(明治27)年のこの日に
日本初の本格的な時刻表「汽車汽船旅行案内」が
出版されたことに由来しています。
紙の冊子の時刻表なんてもう長らく見ていないですね…
子供の頃、外に遊びに出られないときは
家にある地図や時刻表を見るのが大好きでした。
なんとなく遠くへ行くことがイメージできるのですよねぇ…
今は電車や新幹線乗るときもパソコンやスマホで
検索かけることが多いですが
路線やどうやっていくのがわかっていて
時間や予定だけがアバウトにしか決まっていないから
その駅に発着する新幹線の時刻表を
見開き一覧で見たい…なんてときにスマホじゃダメなんですよねぇ…
私の場合、特に広島から帰ってくるときに
広島始発の新幹線の一覧を見たい時が割とあるのですが
そういうときにスマホだと調べにくくて難儀します…
まぁそれもお金払って有料アプリとかを使えば
いいものがありそうではありますが…
冊子を開いてばっと調べるほうが簡単で早そうですよね
それでも買ってまで冊子の時刻表が必要かと言われると
そこまでではないのですが…

さてさて

本日は「ミノルタSR-1」のカメラ修理を行っています。
SR-1自体は1959年発売のカメラです。
その前年に出たミノルタ初の一眼レフ「SR-2」から
1/1000を省略し普及型としたカメラです。
ただ、毎度書きますが「SR-1」の少々ややこしいところは
トップモデルの「SR-2」がその後、「SR-3」「SR-7」と
モデルチェンジを行っていたのに対して
「SR-1」はその生産時期のトップモデルを常にベースとしながら
モデル名は「SR-1」でずっと変更されませんでした。
そのため同じ「SR-1」というカメラでも
「SR-2」ベースモノが合ったり「SR-3]「SR-7」ベースのものが
存在します。もちろん中身はそれぞれ全く異なり
外観もその時のベースモデルと同様です。
そんな理由で外観だけでも大きく分けて4種類の「SR-1」が存在します。

お預かりしている「SR-1」は
外部露出計用ソケットが装着されていて
SR-1のロゴは巻き戻し側で色は黒
フィルムカウンターは巻上側に配置されている…等々から判断し
1963年型の「SR-1」かと思われます。
ベースとなっているのはその前年に出た「SR-7」です。
これもそらくかなり長い間仕舞い込まれていたカメラだと思われます。
巻上やシャッターに明らかな油切れの兆候が見られます。
高速シャッターは1/1000は開かず
他SSも幕速バランスが崩れているため全く精度が出ていません。
低速シャッターはスローガバナが固着していて
1/15まではなんとか動くもののそれより遅いSSでは
シャッターが開いたままとなり完全に固まってしまいます。
心配されるプリズム腐食は今回は大丈夫でした。
ただファインダーはゴミだらけで接眼レンズはカビだらけです。

これから本格的に分解整備に取り掛かっていきます。
とにかく動く部分は徹底的に清掃して
最小限の注油を行っていきます。
その上で微調整を行えば十分に精度は出ると思われます。
ベースのSRー7では巻き戻し側に外光式露出計が搭載されるのですが
SR-1では省略されているので上カバーを外すと
巻き戻し側がなんだか寂しい感じがしますね…

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

リコー500GSのカメラ修理

今日は「探し物の日」だそうですよ。
NTTの電話番号案内が104番であることからだそうです。
失くした物をもう一度本気で探してみる日とされています。
マーフィーの法則に
「探し物は探すのを止めたらそれは見つかる」なんてのがありますが
見つからない探し物は忘れた頃に出てくるのですよねぇ…
私も7月半ばにPASMOカードの入ったパスケースが
前日に使ったのにどこに行ったかわからなくなって
仕事場や自宅を散々探したのに見つからなくて
「駅前でバッグに入れた際に落としたのか?」と思って
交番に遺失届も出したのですが結局見つからず…
PASMOはこれを機にモバイルに移行したし
残額はたいして残っていなかったから
大きな問題ではなくそのうちに気にしなくなっていました…
で、それがつい数日前にお店のバックヤードの
少し見づらい場所からポロッと出てきたのです。
そこも探したつもりだったんですけどねぇ…(笑
まぁPASMO以外はたいしたものは入っていなかったのですが
パスケース自体に少し思い入れがあったので見つかってよかったです。
というわけでマーフィーの法則通りでしたね…(苦笑
探し物は余程急を要するものでない限り
探すのをやめたほうがいいのかもしれません…
ところでこの記念日の由来となっている「電話番号案内104」も
2026年3月末で終了ですね。これも時代の流れですねぇ…

さてさて

本日は「リコー500GS」のカメラ修理を行っています。
1973年発売のカメラです。
前年に発売された「500G」のマイナーチェンジ版ともいえるカメラで
機能や内部構造も「500G」「500GS」はほぼ同様です。
リケノン40mmF2.8のコンパクトなレンズを搭載した
シャッタスピード優先オート露出のカメラです。
距離計も搭載していて一通りの機能を
軽量コンパクトなボディにうまくまとめたカメラです。
これもコニカC35以降の「コンパクトブーム」の影響を受けたカメラですね。
ただしコストも重量も抑えられているので
プラスチック部品が多く使われ
70年代のカメラなのでそのプラスチック部品に劣化も見られ
コンディションによってはちょっと大変なカメラとも言えます。

お預かりしている「500GS」はひととおり動くものの
絞り羽根に少々粘りがあってオート時に
うまくコントロールできないことと
レンズにかなりカビが生えてしまっています。
電池室はキレイなのですが露出計は普通に動いたかと思えば
全く動かないこともありどこかで接触不良が起きていると思われます。
裏ブタに大量に貼られたモルトはかなり劣化が酷かったらしく
既におおざっぱではありますが取り去られています。
このタイプのコンパクトカメラはコストの関係もあり
フィルム室の遮光を裏ブタの構造とかではなく
とにかく隙間の空く部分にモルトを貼りまくる…という手法が多いので
そのモルトがとにかくトラブルの元となりがちです。

フレーム構造もちょっと変わったカメラです
上下カバーは単なる板で背面や前面部がありません。
特に上カバー部は背面がフレームの一部なので
少々整備性に影響がありますね。
前カバーは一体型でこれも独特な構造です。
これも外すのにちょっとしたひと手間が必要です。
ピントは前玉回転式でここもシンプルです。
ただし前玉回転式の場合はレンズを外すと
必ずピント調整が必要です。
画像は取り掛かり始めですが
これからシャッタユニットも分離して整備を行っていきます。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

キヤノンデミEE17のカメラ修理

今日は「登山の日」だそうですよ。
日付は日本山岳会が1905(明治38)年10月に発足したことと
「と(10)ざん(3)」(登山)と読む語呂合わせからだそうです。
標高や地域によりますが
山歩きをするには絶好の季節になってきましたね。
ただ、特に標高の高い山はそうですが
下界とは全く気温が異なるので注意が必要ですね。
それでも少し冷たい風を稜線で感じるのは最高でしょう。
私は少し前に歩きが少しばかり不自由になってからは
足場の悪いところはほぼ間違いなく転ぶので
もう山歩きは無理ですが機会があれば
見晴らしの良い登山口まででもいいから行ってみたいですねぇ
やはりこの季節の山の空気は最高です。

さてさて

本日は「キヤノンデミEE17」のカメラ修理を行っています。
デミはキヤノンハーフカメラのシリーズです。
基本となる「キヤノンデミ」は非常に小型軽量で
手動プログラムシャッターのシンプルなカメラですが
「EE17」はそのデラックス版といえます。
露出制御はシャッタースピード優先オートが装備されています。
露出計もCDS使用のものに変更され
レンズも30mmF1.7の大口径レンズです。
さすがに通常のデミに比べると少しばかり大きくなりましたが
それでもハーフカメラなので非常にコンパクトです。
発売は1966年です。
その前年にラピッドフィルム用の「デミラピッド」という
カメラが発売されているのですが
「EE17」はこの「デミラピッド」の35mmフィルム版です。
内部構造もデミラピッドをほぼそのまま継承しています。

お預かりしている「デミEE17」は
シャッター切れず巻き上げできずという状態です。
他のカメラならシャッター羽根粘りがまず原因と思うのですが
「デミEE17」の巻上ロックは巻上レバーからリンクする
シャッターチャージ機構に原因がある場合が多いです。
チャージレバーへと動きを伝達するリンケージが緩んでいたり
変形していたりすることで
正常にシャッターチャージができなくなるパターンが多いです。
ただ今回はその部分が見えるところまで分解しても
リンケージ自体には大きな問題はなさそうです。
ただシャッターチャージ機構は非常に動きが渋く
やはりこれに関連する部分が主原因なのは間違いないようです。
その後、シャッターユニットを分離するわけですが
ここで原因がはっきりしました。
シャッターユニットから出て言えるチャージレバーが
大きく変形してねじれています。
そのために正常に動くことができずに
チャージすることができない状況でした。
動きが悪いところへ無理に巻き上げようとした末路かと思われます。


画像は分解取り掛かり始めのモノです。
チャージレバーの変形は慎重に元の状態に戻して対処します。
折れてしまうようなほどの変形でなかったのが
不幸中の幸いです。
それとは別の問題でシャッター羽根はべっとりと油でくっついていて
チャージできたとしてもシャッターは切れない状態でした。
これはシャッターユニット分解の上での羽根洗浄で対処します。
問題の良く起こる露出計周りは調整は必要なものの
大きなトラブルはなさそうです。
各部の状態を確認しながら修理と並行して
通常の整備も行っていきます。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

リコー35デラックスのカメラ修理

今日は「望遠鏡の日」だそうですよ。
1608年のこの日に
オランダの眼鏡技師ハンス・リッペルハイが
凹レンズと凸レンズを組み合わせると
遠くの物が近くに見えるという望遠鏡を発明し
特許を申請するためにオランダの国会に
書類を提示したことに由来しているそうです。
しかしながら、原理があまりにも単純で
誰にでも作れそうだという理由で
特許は受理されなかったそうです。
その代わりにオランダの政府から報酬を得ることができたそうです。
確かに原理自体は簡単ですが
何にしても最初にそれに気づいた方は偉いですよねぇ
カメラの望遠レンズも基本的にはこの構造ですね。
そのままでは収差が発生したりするために
カメラのレンズ場合は単純な造りではありませんが…
小学校に入るか入らないかの頃に
ある日、突然、じいさんが6.5cmのヴィクセン製の
天体望遠鏡を買ってきてとりあえずは
家の窓から灰ヶ峰の頂上を見せてくれたことを今でも鮮明に覚えています。
肉眼では頂上の展望台がそこに存在することしか確認できませんが
望遠鏡で見ると展望台にいる人の姿まで見えるのです。
5歳か6歳かの私には強烈な感動でした。
しかし…じいさんよ…あとから考えたら
小学校入学直前の子供に赤道儀の天体望遠鏡は使いこなせんよ(笑
実際にその望遠鏡が本領を発揮したのは
私が小学校高学年になる頃でした。
でもものすごく役に立ったし楽しめました!

さてさて

本日は「リコー35デラックス」のカメラ修理を行っています。
1956年発売のレンジファインダー搭載のレンズシャッター機です。
リコー35シリーズにもたくさんのカメラが存在します。
その中でも「35デラックス」は独特のデザインということもあり
印象が非常に残るカメラです。
当店にもたまにですが修理依頼が入るカメラです。
何といっても上カバー上面の筆記体で書かれた
「Ricoh “35” De Luxe」の文字が何とも上品でオシャレです。
上カバー上には巻き戻しクランク、フィルムカウンター
レリーズボタンが配置され、巻上レバーは底部に配置されています。
フィルム室蓋は底部左右のノブをOpenポジションにすることで
取り外しができます。
巻き戻しボタンは上カバー背面部にスライド式のものが配置されます。
多少、慣れが必要な配置ですが特に難しいモノではありません。
セルフコッキングも搭載されて普通に巻き上げれば
シャッターチャージもされます。
フィルムカウンターも自動復帰です。
発売年を考慮するとかなりの最先端なカメラだと思います。
搭載されるシャッターはセイコーシャMXLです。
例によって最高速1/500は別バネなので
1/500使用の際は先にSSを1/500に設定してからチャージを行います。
レンズは非常に評価の高いリケノン4.5cmF2が搭載されます。
この時代では珍しくレリーズレバーやチャージレバーも
しっかりカバーされていて鏡胴もすっきりしたデザインです。
全体的にも非常に質感の高さを感じさせます。

お預かりしている「35デラックス」は
シャッターが完全に固着して全く動きません。
羽根に油が回って羽根同士がくっついてしまっているものと思われます。
開けてみれば一目瞭然なのですがかなり大量の油脂が回っていて
羽根1枚1枚をしっかり洗浄した上で
羽根の駆動部から羽根が触れる部分全てを
かなり入念に脱脂する必要がありました。
とはいってもレンズシャッター機ではいつも行う作業ではありますが…
他は距離計がかなりズレていたり
レンズやファインダーにそれなりにカビや汚れがあったりと
一通りの整備清掃が必要な状況でした。

修理中の画像を残すのを忘れました…
一通り整備が完了して少し様子見をしている状態でのモノです。
シャッターは非常に軽快に動作するようになりました。
他各部の動きも快調です。
安心してお使いいただける状態だと思います。
これから最終テストを行って問題なければ完成となります。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

キヤノンFTのカメラ修理

今日は「洋菓子の日」だそうですよ。
私は餡子大好きなのでどちらかといえば
「和菓子好き」ですが
甘いモノ全般好きなので
洋菓子にも大好物がたくさんありますね…
「洋菓子」とくくろうとすると
かなり広い範囲のお菓子が入ってきてキリがないですね。
ケーキやクッキーはもちろんアイスやチョコ、キャンディまで
洋菓子の中に入ってしまいます。
逆に言うと「和菓子」以外の一般的なお菓子ほぼ全てですよね(笑
ケーキやパフェやエクレア、シュークリームなんかもそうですが
甘いクリームたっぷりなモノは特に魅力的に映ります。
ほら、少し疲れてきたりストレス溜まってくると
思い切り浴びるようにクリーム飲みたくなるじゃないですか…(笑
今の私がそんなこと実際にやったら血糖値爆上がりで
後が大変なことになってしまうのでできませんが…
冗談はさておき酸味の後に優しい甘さがしっかり残るような
美味しいアップルパイが食べたくなってきました…
手軽に近くで手に入るところで
美味しいアップルパイないかなぁ…

さてさて

本日は「キヤノンFT」のカメラ修理を行っています。
1966年発売のカメラです。
機械制御横橋りシャッターのTTL測光機です。
この時代らしいスペックのカメラですね。
TTL測光ではありますが
絞り伝達機構のないFLマウントということもあり
絞り込み測光です。
後に当たり前となる開放測光器はこの後に出てくる
FTb+FDマウントレンズを待たなくてはなりません。
取り上げるとすればこのカメラからCDSが
ファインダーコンデンサーレンズ背後に配置されるようになりました。
一般的なTTL測光機ではCDSは接眼レンズの周囲に
配置されることが多いのです。
キヤノンではコンデンサーレンズに45度切断し
その切断面にハーフミラーを配置し
レンズを通過した入射光の一部を背後にいるCDSに導くことによって
測光を行います。より厳密な測光が可能となります。
レンズ以外からくる余計な入射光の影響も受けにくい構造です。
ハーフミラーの配置に伴って測光範囲は
中央部分測光となります。
後のF-1やFTb等にもこの構造は引き継がれます。
この時代のキャノンならではの測光方法です。

お預かりしている「FT」はシャッターが切れません。
もちろん巻上もできません。
シャッター幕位置から判断するにシャッターチャージは完了しています。
ミラーチャージもできているようです。
ただレリーズボタンが固まっていて押せません。
強制的にレリーズしようとしても簡単にできる部分からは無理なようです。
いろいろ現状を確認してみるとどうもセルフタイマーが
何らかの邪魔をしていてレリーズできないような様子です。
それ以上は深く分解してみないと何とも言えない状況です。

シャッター周りは後で詳しく調べるとして
セールスポイントのひとつでもある露出計は
とりあえずは動作しているようです。
ただ指針は非常に不安定です。
SW周りで接触不良があるものと思われます。
絞り込み測光機なので絞り込みレバーと
露出計SWは連動しています。
バッテリーチェック時にASAとSSを
一定の位置に合わせなければいけないのは
F-1やFTbと共通です。
FTの場合はASA100でSSはXにセットします。
わかりにくいですが巻き戻しクランクを引き上げると
その下にASA100-X・CHECKと刻印されています。
整備性はなかなか良好なカメラです。
これから本格的に分解に取り掛かって
レリーズ不良の原因を探っていきます。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

ミノルタX-700のカメラ修理

今日は「パソコン記念日」だそうですよ。
1979(昭和54)年のこの日に
日本電気(NEC)がパーソナルコンピュータ
PC-8001(PC-8000シリーズ)を発売したことに由来しています。
最初のパソコンブームの火付け役となったマシンですね。
懐かしいですねぇ…
私が最初にパソコンに触れたのは高校生になったばかりの頃の
PC8001mkⅡSRですが毎晩夢中になって弄り倒してました(笑)
それでも今のパソコンに比べればできることは
めちゃくちゃ限られていましたし
何か一つ行うにも本当にいろいろ大変でした…
BASICがOSを兼ねていたこの時代に比べると
window3.1登場以降のPCは
劇的にインターフェースが変化しました…
今や特に難しい知識がなくてもパソコンは普通に操作できますし
慣れた方なら初めて触るソフトでも
なんとなくは操作できるかと思います
これってPC8001当時には全く想像もできない世界でした。
今や私の仕事だってパソコン抜きには全く考えられません。
メインの作業自体はパソコン関係ないですが
付随する書類関係、管理業務、経理業務
すべてがパソコン上で動いています。
以前にパソコンが突然壊れたことがありましたが
当然ながらすべての業務がストップし
復旧するまで通常の作業どころではありませんでした。
なにはさておいてもバックアップと
他PCに復元できる環境は必須でとても大切ですね…

さてさて

本日は「ミノルタX-700」のカメラ修理を行っています。
1981年発売のカメラです。
当店が扱うことのできるカメラとしては
最も新しい世代のカメラです。
スペックとしてはいわゆる中級機ですが
新設計のフレームを使用して
それまでのXG系の基本構造から脱却したカメラです。
いわゆるX3桁機としては最上級の機種となり
登場以来長らくミノルタマニュアルフォーカス機の
頂点として発売されたカメラです。
その間にαシリーズが発売され時代がAF機へと変化しても
カタログ落ちすることもなく1999年頃まで
18年間販売されました。
長らく発売されるだけあって基本設計に優れていて
使い心地もよいカメラです。
ロングセラー機なので現存台数も多く
比較的状態の良いモノが多いような気もします。

お預かりしている「X-700」は電源は入るものの
シャッターが切れません。
幕位置から判断してシャッターはチャージされています。
何らかの原因でレリーズができないものと思われます。
「X-700」は比較的電子部品関連のトラブルは少ないカメラなのですが
それでも電子回路上のトラブルが原因の場合は
当店では修理不可能と判断せざるを得ないことも多いです。
今回の「X-700」はご依頼者様がずっと所有されていたもので
これまでは普通に使えていたものの
少し久しぶりに出してみたらこの状態だったということから
おそらくは致命的トラブルではないのではと思われます。

画像はまだ取り掛かり始めの段階でのモノです。
一端取りかかって分解すると
この類のカメラは一気に済ませたい
(分解している状態でできるだけ放置したくない)ので
この後に一気にできることを集中して済ませてしまいます。
そのためこの類のカメラは閉店後に集中的に
作業を行うことが多くなります。
今回のトラブルの原因は予想通りマグネットの汚れによる
吸着不良からくるものでした。
それ以外にも主に接触不良を原因とした
挙動の不安定さが出ている箇所もありましたので
機械的な部分の整備に加えて各接点の清掃を入念に行っています。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

ペンタックスSPのカメラ修理

今日は「台風襲来の日」だそうですよ。
これまでの統計上、台風襲来の回数が多い日だそうです。
過去に大きな被害をもたらした台風が襲来している日でもあるそうです。
今日の都内は少し夏が戻ってきたかのような暑さで
非常に良い天気です。
でも明日は結構な☔が振るそうです。
南の遠い海上には台風16号が発生していますが
本土に直接的な影響はないようです。
今年の「台風襲来の日」は穏やかに過ごせそうですね。
でも過去の統計があまりあてにならないような天候だったり
台風の進路もおかしなことになるようなことがおおいので
これからはこれまでのデータで判断しきれないことが
増えていきそうですね。台風が来なくても豪雨はあちこちで起こりますし…
何だか昔に比べると暑さ寒さもそうですが
屋外で穏やかに気持ちよく過ごせる期間が激減したような気がします。
私はレトロなものは好きでも
現在の便利な生活はそれ以上に大好きですが
気候だけは昔に戻ってほしいような気もしますね。

さてさて

本日は「ペンタックスSP」のカメラ修理を行っています。
お求め安い価格帯と使いやすい機能
M42マウントでの豊富な交換レンズ群で
当時大ヒットしたカメラです。発売は1964年です。
大ヒット商品だけあって現存する台数も非常に多く
M42マウントレンズも世界中のブランドのモノが
残っていますので現在も人気の高いカメラです。
中古市場でもお求めやすい価格のモノも多く
フィルムカメラの入門機的な扱いの場合も多いかと思います。
ただし現存台数が多く市場価格も安めということもあって
現存する個体のコンディションはピンからキリまであり
中には酷い分解品のなれの果てのようなものが
流通している場合もあり注意も必要です。
ご自宅で長く眠っていた…というパターンも非常に多いカメラですが
その場合は余計なトラブルの心配はありませんが
間違いなくそのままではさすがにまともには動かないと思われます。

お預かりしている「SP」はシャッターが切れない状態です。
シャッター幕の位置がから判断して
シャッターはチャージされた状態であり
レリーズボタンも押し込めるのですが
シャッターが切れない状態かと思われます。
原因はミラーチャージがセットされないためのようです。
みらーがチャージされていないので
レリーズしてもミラーが動くこともなく
もちろんシャッターも動かないという状態です。
少し分解して確認してみるとチャージロック機構が
明らかに動作不良の状態だったのでここの改善から行っていきます。
他、トラブルの多い露出計は動いてはいるのですが
精度は全く出ていません。電圧変換の電池蓋がセットされているのですが
それでも露出計指針は振り切り気味で
露出計の指示通りに露出設定するととんでもなくアンダーになってしまいます。
加えてとりあえずミラーを強制的に動かしてシャッターの状況も
確認したのですが高速シャッターの精度は出ておらず
1/1000は1/4000近くになっていて今にも閉じそうです。
このあたりの幕軸の清掃を子なった上での調整が必要です。

心配されることの多いプリズム腐食は
今回は全く問題ないようです。
おそらく過去にプリズム交換されているものと思われます。
M42マウントでレンズ側からの絞り情報を伝える機構が全くない
シンプルなねじ込みマウントなので
露出計は絞り込み測光です。
そのためレンズマウント周りは非常にシンプルで
整備性は非常に良好です。
しっかり整備を行ってやればまだまだ十分な動作精度が確保できます。
露出計も抵抗等の劣化で精度は今回のように
出ていないものが多いものの大抵の場合は
調整で充分にカバーできます。
このあたりもシンプルな構造だからこそ
できる部分が大きいかと思います。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

ヤシカエレクトロ35MCのカメラ修理

今日はこれといった記念日のない日ですねぇ…
ちなみに毎月25日は「プリンの日」だそうです。
美味しいですよねぇ…甘いもの大好きな私にはごちそうです!
記念日を制定したのは乳製品メーカーの
オハヨー乳業だそうです。
オハヨー乳業と言えばプリンとは少し離れますが
クリームブリュレ風のアイス、「ブリュレ」が大ヒットしてますねぇ
オハヨー乳業では昔から焼きアイスクリームの商品を
いろいろ開発していてこれまでのものは食感が
なかなか維持できない等の理由で
成功作と言い切れないものが多かったそうです。
でも「ブリュレ」はいつまでたっても
表面のカラメルはパリッとしていて
内側は濃厚なアイスクリームでめちゃくちゃ美味しいです!
私も少し前からハマっていて結構な頻度で買ってます。
今のアイスはスタンダードなものから
変わり種まで楽しめるものが多い上にどれも美味しくて
本当にたまらないですねぇ…
今日もコンビニで何か買ってきます。
あ、でもせっかくオハヨー乳業さんの記念日の日だから
「ブリュレ」にします!

さてさて

本日は「ヤシカエレクトロ35MC」のカメラ修理を行っています。
1972年発売のカメラです。
非常にコンパクトなカメラです。35mmフルサイズですが
ハーフカメラより小さいくらいです。
お馴染みの「ヤシカエレクトロ35シリーズ」の一員ですが
「MC」はとにかくコンパクトさを追求したモデルで
本流のエレクトロ35に比べると少し異端児的なカメラです。
シリーズ中、唯一の目測機でレンジファインダーを搭載していません。
これもこのサイズを実現するためだと思われます。
そしてエレクトロと言えばF1.7あるいはF1.8の大口径レンズですが
「MC」は40mmF2.8レンズを搭載します。
F2.8でも通常の日中屋外撮影であれば十分に明るいレンズですが
これも小型のため少し小さなレンズを搭載していると思われます。
それでもコパル製の電子シャッターを搭載し
絞り優先オート専用機であることは他のエレクトロと同様です。
何といっても他のエレクトロとは段違いの
この小さな凝縮感のあるボディは持ち歩きに便利なだけでなく
持っているだけでもなんだか楽しくなってきます。
私も個人的に大好きなカメラで一時期は常にこれを持ち歩いていました。

お預かりしている「MC」はレンズにカビがかなり発生していることと
ファインダーの曇りが酷い状態です。
どちらも完全にクリアにはならないかもしれませんが
実撮影に全く問題のないレベルにまでは清掃できると思われます。
「MC」も電池が入れっぱなしで保管されて
電池室の腐食が激しいモノが多いのですが
今回の個体はその点については大丈夫なようです。
ただよく見ると電池室にわずかに緑青も確認できますので
裏のハンダや配線は整備、場合によっては交換が必要かと思われます。
オート制御は若干不安定なものの動作は一通りできています。
マグネットや接点の清掃で安定性も増すと思います。

まだ現状を一通り確認しただけの状態です。
これからまずはシャッターユニットの整備を行っていきます。
並行してレンズの清掃、電池室周りの整備を行っていきます。
初代エレクトロの独特のシルバーとはまた異なりますが
「MC」のシルバーも結構な「ギンギラギン」具合で
個人的にも非常に好きな色合いです。
中古市場ではブラックが人気のようですが
エレクトロ35シリーズは個人的なシルバーが好みです。
このギンギンギラギラシルバーは
他のメーカーではなかなかないですものねぇ…

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

 

キヤノネットQL17G-Ⅲのカメラ修理

今日は「秋分の日」ですね。
二十四節気のひとつでもあり
昼と夜の長さがほぼ同じ
(実際は昼の方が若干長い)になる日で
「春分」(3月21日頃)と同じように
太陽が真東から出て真西に沈む日です。
日本ではこの日は国民の祝日「秋分の日」となります。
秋分の日は、国立天文台の算出する定気法による
秋分日を基にして閣議決定され
前年2月1日に暦要項として官報に告示されます。
天文学に基づいて年ごとに決定される
国家の祝日は世界的にみても珍しいそうです。
お彼岸の中日でもあり
「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」ことを
趣旨としている日でもあります。
子供の頃は祖父母と一緒に毎年墓参りでした。
気候も良く天気の良い日が多く
家のお墓は山の中にあるので
ちょっとした遠足気分で楽しかった記憶ですねぇ
墓参りが一段落したところで
じいさんが墓所からさらに奥の湧水のあるところまで
よく連れて行ってくれました。
「暑さ寒さも彼岸まで」なんて言葉もありますが
いつまでも夏の陽射しが残っていましたが
今日の都内はシトシト雨で気温も低めです。
このまま本格的秋になってくれればいいですね!

さてさて

本日は「キヤノネットQL17G-Ⅲ」のカメラ修理を行っています。
初代の社会現象ともなる大ヒットから
脈々と続いたキヤノネットシリーズの最終機種です。
1972年発売のカメラです。
前年に出た「ニューキヤノネット」と大きな変化はなく
LED式のバッテリーチェックが装着されたことぐらいしか
機能的な変化はありません。
前モデルの「ニューキヤノネット」で一気に小型化され
初代やシリーズ前半のモデルと比べると
その違いは明白です。
しかしながら基本的な路線や機能は
初代からの考えを引き継いでいます
シャッタースピード優先オート搭載の
レンジファインダー機であることはもちろん
低光量下に強い大口径のレンズを搭載し
マニュアル露出も可能とします。
マニュアル時に露出計はオフになるところまで初代と同様です。
基本的な機能に優れ使いやすく
今見ても非常に良いカメラだと思います。

お預かりしている「G-Ⅲ」は
やはり随分長い間使われずにしまい込まれていたもののようです。
ただ保管環境は悪くなかったようでレンズに
大きなダメージや深刻なカビ発生もないようです。
ニューキヤノネットやG-Ⅲはレンズコーティングに
変質を起こして曇っている場合も多く
その場合は改善不可なので今回の個体は
そこに関しては非常に良い状態です。
ただしファインダーはかなり曇っていて
ピント合わせがほぼできないような状態です。
ただこちらは清掃でかなり改善すると思われます。
オート制御の関連もあり絞り羽根は
非常に小さな力で駆動される仕組みなっており
そのためもあって羽根粘りが起こりやすいカメラです。
このあたりの構造も小型化はされたとはいえ
基本的には初代から変わらない部分です。
電池室には古い水銀電池が入ったままになっており
露出計は電池を入れ替えても動きません。
それでも電池が入ったままにしては
電池室はまだキレイなほうです。
ただし電池室裏面のハンダや配線は
それなりにダメージがあるようです。
それが露出計不動の原因です。

まだ現状の問題点や対策を洗い出している段階です。
これから本格的に分解整備に取り掛かっていきます。
まずはシャッターユニットの整備及び
シャッター・絞り羽根の清掃から行います。
その過程で露出計周りの問題もクリアしていきます。
さすがに小型化されているので
機構は初代とほぼ共通とはいえ
中身はそれなりにギッチリ詰まっています。
整備性に関しては小型化されるまえのほうがやはり良いですね。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。

ミノルタフレックスのカメラ修理

今日は「空の日」だそうですよ。
1911(明治44)年のこの日に
山田猪三郎が開発した山田式飛行船が
滞空時間1時間の東京上空一周飛行に成功したことに由来しています。
1940(昭和15)年に「航空の日」として制定されていましたが
戦字中には中断され、1953(昭和28)年に復活します。
運輸省(現:国土交通省)航空局が
1992(平成4)年に「空の日」と改称して現在に至ります。
ちなみに国内初飛行自体は1910(明治43)年12月19日に
東京・代々木錬兵場で徳川大尉が行った飛行実験なのだそうです。
ただ、12月では気候的に航空の行事に適さないため
帝都上空一周飛行が行われた9月20日を「航空の日」としたのだそうです。
由来はどうあれ…そろそろ本格的に秋の空気になってきて
(今年はまだまだ夏の空気ですが)
空も高く見え始めどこまでも続くような青い空を
見上げたくなる季節ではありますね。
ただし今日の都内はどんより曇り空です(笑)
日によっては秋らしい雲を見かけることも多くなってきたので
もうそろそろだと思いますが
秋らしい爽やかな天気になってほしいですね。

さてさて

本日は「ミノルタフレックス」のカメラ修理を行っています。
ミノルタフレックスといってもいくつか種類があり
最初のミノルタフレックス「Ⅰ」は1937年発売で
国産初の二眼レフともいわれることもあるモデルです。
(はっきりしないのですが実際にはプリンスフレックスに
数ヶ月ほど遅れて出たらしいです)
いずれにしてもここから歴史あるミノルタの二眼レフが
スタートしたわけですね。
ミノルタフレックスはそれから何度かのモデルチェンジや
改良を受けて1954年に「ミノルタフレックス」としては
最終モデルとなる「Ⅲ」へと進化します。
今回のミノルタフレックスはこの「Ⅲ型」です。
フィルム装填は「ⅡB」からセミオートマット化されていて
「Ⅲ」も同様です。「ⅡB」から変更されて受け継がれているものは
他にも確実性の高いダイヤル式の裏ブタロック
ピントグラスに平凸レンズが貼り付けられた
ファインダースクリーン等があります。
ピント合わせはこの頃はまだレバー式ではなく
オーソドックスなノブ式です。
レンズはテイクレンズがロッコール75mmF3.5
ビューレンズがビューロッコール75mmF3.2です。
シャッターユニットは当時の最高級である
セイコーシャラピッドでB・1s~1/500までカバーします。
この時代のセイコーシャのシャッターを取り上げると
いつも書きますが1/500は別に設けられた強力な専用バネを使って
シャッター羽根を駆動するのでチャージは重く
先に1/500にセットしておいてからチャージをしなくてはなりません。
そしてこの「Ⅲ」ではシャッタースピードと絞り値は
上部の窓に集中表示されるようになっています。
次のミノルタコードでは一時期省略されますが
さらに後のオートコードでは復活します。
これがあると上から確認することができて便利です。

お預かりしている「ミノルタフレックスⅢ」は
シャッターは大きな粘りもなくそれなりに動作しています。
ただしレンズやファインダーの状態はあまりよろしくなく
かなり浸食していそうなカビや汚れで覆われています。
清掃でカビの除去自体はできますが浸食されたコーティングに
カビ跡は少々残るかもしれません。
それでも実際の撮影にはあまり大きな影響は出ないと考えられます。
セミオートマット式ということで
巻き止めやカウンターにトラブルがあると撮影可否に関わるのですが
少しばかり粘りで動作不良が見受けられます。
おそらくかなり長い間使われずに眠っていたものだと思われます。
各部の動きはそれでも悪くはありませんが
やはり全体的に見ると粘っている部分もありますので
駆動部は全て一通りの整備が必要で
光学系はできる限りの清掃でクリアな状態にしていきます。

外装の貼り革は結構ボロボロで剥がれ落ちている部分もあり
ご依頼者様の希望ですべて貼り替えることが決まっているので
今回は分解にまつわる部分だけではなく
裏ブタやファインダーカバー部も含めて
全ての貼り革を先に剥がすことら始めます。
これが難しくはないのですが結構な手間と時間がかかるのです。
画像は貼り革がやっとすべて剥がせた段階で
これから本格的に分解整備に取り掛かっていきます。
ファインダーミラーが写っていますが
こちらは劣化が激しくかなり曇ってしまっているので
新品の表面鏡を切り出して交換で対処していきます。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。