日別アーカイブ: 2025年10月6日

キヤノンF-1のカメラ修理

今日は「中秋の名月」ですね。
旧暦8月15日~16日の夜(八月十五夜)の月を
「中秋の名月」と呼び
古くから月見をして美しい月を愛でる慣習があります。
残念ながら都内では今夜は月は拝めそうにないですねぇ
ポツポツ雨も降るかもしれません。
正確には満月は明日だそうです。
個人的には「中秋の名月」よりも
次の満月(11月5日)あたりのほうが
より空気も澄んでていてキレイに見えそうな気がします。
でも「十五夜」も季節のイベントなので
今夜はお団子でも食べながら空を見あげてみるといいと思います。
関連して「月見酒の日」や「すっぽんの日」でもありますね。
そろそろ熱燗の美味しい季節も近いですねぇ…(笑

さてさて

本日は「キヤノンF-1」のカメラ修理を行っています。
1971年発売のキヤノン初といえる
本格プロ志向一眼レフです。
この分野の一眼レフは「ニコンF」登場以来
長らくニコンの独壇場が続いていましたが
ついに対抗馬となるカメラとして満を持しての登場となりました。
キヤノンは昨日のブログでもあったとおり
高級レンジファインダー機の第一人者でもあったため
一眼レフへの移行が遅れがちになっていて
それまでの「Rシリーズ」でも苦戦を強いられてきました。
それが「Fシリーズ」移行後は徐々に一眼レフへの移行も進み
ついに最高級機の登場となったわけです。
中身を見るとよくわかりますが
基本となる機械駆動部分は「FX」や「FT」等の「Fシリーズ」がベースです。
その各部品を強靭且つ精度の高いものにブラッシュアップし
シャッター幕もチタンとして1/2000を搭載
さらにファインダー交換式且つ視野率を100%にして
プロの使用や要望に応えるものとなりました。
加えてFDレンズ群や豊富なアクセサリー類も揃えられ
システムカメラとしてあらゆる撮影にも対応できるようにもなりました。
このカメラの登場から長らく続くことになる
ニコン・キャノン2強時代への突入へとなりました。

これほどのカメラなので当然ながら非常に丈夫です。
ただそれは使いっぱなしでも大丈夫というわけではなく
(それでも相当長い間使いっぱなしでも大丈夫な部分も多いですが)
さすがに何十年と使い続けていくためには
それなりにメンテナンスを行いながら
使い続けていくことが大事です。
やはりあらゆるものに経年劣化はありますものね。
お預かりしている「F-1」も一通りは動作するのですが
内部の古い油脂類や汚れの影響で
大きく幕測バランスがズレてしまっているようです。
高速域のシャッターはキレイにスリットが開かず
実際に写真を撮ると多くの場面で未露光のコマがあったり
写真の右側が黒くなってしまう状態です。
測定機にかけてみても
1/2000は全く開かない状態で
1/1000も全体の1/3しか開かず
1/500でなんとか開きききるものの
写真右側はかなり暗くなってしまうだろうな…と思われる数値です。
幕軸の清掃整備を行った上での調整が必要な状況です。

露出計もかなり大きく狂っている状態でした。
こちらも抵抗を調整して適正な精度に調整します。
画像は一通り整備の終わった状態のモノです。
1/2000からスローシャッターまで問題なく精度は出ています。
シャッター音も歯切れのよい当時のキャノンらしいものになり
各動作部もスムーズになっています。
この時代のキヤノン機の泣き所は幕ブレーキで
ここをしっかり整備しないと
シャッターバウンド等が出てしまうのですが
そのあたりも対策もしっかり行っています。
これから最終的なチェックを行い
問題なければ完成となります。

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