日別アーカイブ: 2025年10月3日

ペンタックスSPFのカメラ修理

今日は「洗浄の日」だそうですよ。
「千(セン)は10の3乗(ジョウ)」の
語呂合わせからだそうです。
ここでいう「洗浄」は主に施設や設備の高圧洗浄を
指しているようです。
さすがにそんな大規模な洗浄は縁がないですが
私も仕事柄、古いカメラの部品を取り外して
単体で洗剤や溶剤を駆使して
汚れや古い油脂を洗浄することは多々あります。
大きな汚れがごそっと取れるのは気持ち良いのですよねぇ(笑
もちろんキレイになった後の組み込み時には
適量の注油を行って保護とスムーズな動きを確保します。
カメラのことではなくても普段なかなか手が行き届かなくて
汚れてしまっているところなんていくらでもありますよね
汚れが溜まっているところを一気にキレイにするのは
本当に気持ち良いです。お店の中にも自宅にも
探せばそういうところがいくらでもあるのですが…
実際はなかなか手が付けられない…(苦笑)

さてさて

本日は「ペンタックスSPF」のカメラ修理を行っています。
1973年発売のカメラです。
大ヒットした「SP」の改良版と言えるモデルです。
「SP」は純粋なM42マウント機で
レンズからの伝達機構は全くないため
当然ながら絞り込み測光なのですが
「SPF」では対応する「SMCタクマーレンズ」との組み合わせで
開放測光を実現したカメラです。
当然ながらレンズ側には設定絞りの伝達機構があり
ボディ側にもそれに連動する伝達機構と
M42マウントを維持しながらSMCタクマー使用時に
レンズを決まった位置に留める定点ピンが追加されています。
M42マウントは単純なねじ込みマウントなので
レンズの留まる位置が微妙に一定しないためですね。
加えて「SP」では絞り込みSWが露出計の電源を兼ねていましたが
開放測光可能となった「SPF」では
露出計SWは「フォトスイッチ」と呼ばれる自動SWになっています。
レンズキャップ等でファインダーに光が入らなくなると
露出計の電源がオフになるというものです。
このためフォトスイッチ用のCDSが接眼レンズ上部に設置され
ここの光が当たらないと抵抗値が最大値となり
回路への電源が遮断されるという仕組みです。

お預かりしている「SPF」はそのセールスポイントの一つでもある
露出計が電池を入れても全く動きません。
電池室はキレイで一見ダメージはなさそうなのですが
開けて電池室マイナス端子の根元を見てみると
その部分のハンダは緑青に覆われていて
配線は完全に断線状態でした。
配線の中身も腐食が進んでいて電流を全く通しません。
水銀電池のガスが原因と思われます。
電池を入れたままにしていた期間が長かったものと思われます。
加えて予想通り各部の動きはあまりよろしくなく
やはり高速シャッターの精度は出ていません。
場合によってはミラーアップしたままにもなりそうです。
やはり機械的駆動部には清掃整備の上での調整が必要です。

お預かり時にファインダーを覗いたときには
腐食はないかと思っていたのですが
やはりプリズムには遮光材の加水分解に伴う
プリズム腐食が見受けられます。
目立つほどではないのですがせっかく分解しているので
プリズム交換で対処します。
これからさらに分解を進めて各駆動部の清掃整備
配線の交換等を行っていきます。

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