月別アーカイブ: 2019年10月

オリンパス35DCのカメラ修理

今日は「石油の日」だそうですよ。
10/6をを「1=イ、0=オ、6=ル」と見立てて
並べ替えるとオイル(石油)となることが由来となっています。
うーん、なかなか強引な。。。(笑)
電気自動車の普及等もありますが
まだまだ私達の生活に欠かせないエネルギー源ですね。
ガソリンや軽油・灯油はもちろん
天然ガス、アスファルト等も精製されます。
私が毎日カメラ修理で使っている
クリーナーやベンジン、油、グリスなんかも石油からできていますね。
身の回りをみても石油からできているものは他にもたくさんあります。
話が少しそれますが。。。
クルマやバイクがみんな電気になったら
かなり寂しいものがありそうです。
趣味性の高いものだけでもちゃんと内燃機関が残ればいいですねぇ。。。
まぁ、私が生きている間は大丈夫だとは思いますが。。。(笑)

さてさて

本日は「オリンパス35DC」のカメラ修理を行っています。
1948年から続く「オリンパス35シリーズ」の一員で
1971年の発売です。
1960年代後半から1970年代にかけての時期に
オリンパスは35シリーズで色々なカメラを出していて
35SP、35EC、35RC、35DC、35ED。。。
似通ったネーミングでちょっと困ってしまいますね(笑)
35DCは写りの評価の高いF.zuiko40mmF1.7の大口径レンズを搭載し
プログラムシャッターでオート露出で撮るカメラです。
大口径レンズを搭載している割にはコンパクトに作られていて
さすがは小さなカメラを得意とするオリンパスといったところです。
シャッターユニットはセイコー製で機械制御なのですが
露出計の針がある程度振れていないと
シャッターロックがかかるので
電池を入れないとシャッターは動作できません。

35DCには前期型と後期型があり
今回、お預かりしているのは接眼レンズ横に
バッテリーチェックランプのある後期型です。
「全く動かない」ということでお預かりしましたが
おっしゃられるとおり電池を入れても
バッテリーチェックも点灯せず露出計も動かないため
シャッターが全く切れない状態です。
電池室を開けると腐食した当時の水銀電池がゴロンと出てきました。
電池室の蓋も緑青だらけです。
緑青は落とせますが錆びてメッキの落ちた部分に関しては
残念ながら元には戻りません。
導通はしっかりでているようなのでできる限りの清掃でこのまま使います。
問題はマイナス側端子で電池室からの見た目はキレイなのですが
おそらく裏側で腐食断線しているものと思われます。

分解途中の写真で、ちょっとわかりにくいのですが
電池室裏にもびっしり緑青が付いているのが写っています。
もちろんリード線も腐食してしまっているので交換です。
これからシャッターユニット整備等々と合わせて修理・整備していきます。

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ニコンFのカメラ修理

今日は「時刻表記念日」だそうですよ。
日本初の本格的な時刻表が
1894(明治27)年のこの日に出版されたそうです。
今や冊子の時刻表を見ることもすっかりなくなりましたねぇ。。。
路線検索で一発で乗り換えもわかってしまうし。。。
でも比較的最近(数年前)に
何度か「青春18きっぷ」を使って
東京から呉まで帰ったのですが(所要時間約17時間)
時刻表でちゃんと自分で調べると
路線検索より早く目的地に着く乗換えが実際にはあったり
乗り換えの路線や時間を調整して
途中の駅で食事時間を確保したりとか
臨機応変に自分の都合の良い乗換えができたりするのですね。
またそうやって自分で乗換えを考えるのが楽しかったりもしますが。。。
。。。ただ、普通に新幹線で行くのなら
ネットで路線検索したほうが間違いはないですね(苦笑)

さてさて

本日は「ニコンF」のカメラ修理を行っています。
1959年に発売されたニコン初の一眼レフカメラです。
現在まで続くニコンFマウントはこのカメラから始まりました。
過酷な環境での使用に耐えるように
非常に堅牢な造りをしているカメラです。
ファインダー視野率約100%、交換式ファインダー
ミラーアップ機構、他にも豊富なアクセサリーや
交換レンズ群が用意され
当時、考えられる様々なシチュエーションでの撮影に
対応できるように構築されたシステムカメラです。
豊富なレンズやアクセサリー群の中には
とても高価でそうそう手の出ないものも多いですが
カタログを見ているだけでも夢が広がります。
さすがに「F」の全盛期には私はまだ生まれていませんが
その後のF一桁機のアクセサリーカタログ等を
物心ついた頃に眺めていていろいろ考えていたことを思い出します。
Fが出る以前はニコンもライカに対抗して
レンジファインダー機を主に作っていて
その究極とされるのがニコンSPというカメラですが
ニコンFはSPをベースに作られています。
ちょっと乱暴に言えば
SPのボディを左右に分割し間にミラーボックスを追加した。。。という感じです。
レリーズボタンやシャッタスピードダイヤル周りを見ていると
SPの名残が色濃く残っているような気がします。

前置きが長くなりました。。。
お預かりしているニコンFはおそらくかなり長い間使われずに
眠っていたものではないかと思われます。
全体的に非常に動きが重く
特に巻き上げは巻き上げきったときの感触が
妙に「グニャ」とした感じでちょっとよろしくおありません。
高速シャッターの精度も出ておらず
低速シャッターはスローガバナとの連動部が粘っているせいで
1/30以下のシャッターは全て1/30で切れてしまう状況です。
それでも何とか動作してるのはさすがだと思いますが
動きの悪い関節をがんばって健気に動かしているようで
動作を見ているとちょっと切なくなってきます(苦笑)
アイレベルファインダーは残念ながらプリズム腐食が発生しており
これに関しては交換プリズムが入手不可なので
清掃は行いますが基本的には現状のままです。
付属している50mmと135mmのレンズも
修復不可能なコーティングの劣化もございますが
できる限りの清掃を行います。

まだ分解途中ですが
シャッター幕軸、SS調速カム、ミラー駆動部、巻上部
動作する部分は徹底的に清掃し注油を行います。
Fは基本的に非常に頑丈なカメラなので
動きの悪いところを整備してやれば
大抵の場合は復活します。
(無理な分解品や水没品、ショック品を除く)
整備完了してご依頼者様の元に戻れば
数十年ぶりにフィルムを感光させることになると思います。
少し間が空いてしまいましたが
再び時代を切り取る重要な任務を遂行していただきたいと思います。

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キヤノン7のカメラ修理

今日は「探し物の日」だそうですよ。
NTTの電話番号案内が「104」であることが由来となっています。
「失くしたものをもう一度本気で探してみる日」だそうです。
捉えかたによっては非常に深い意味になりそうですが
ここではそれは置いておいて日常的な意味で。。。(笑)
「捨てているはずはないのに見つからないもの」って
結構頻繁にありますよねぇ。。。
私もよく何かしら「おっかしいなぁ。。。どこに片付けたんだ???」と
探し物をしているような気がします。
あ、それよりも作業中にネジやバネをついつい落としてしまい
机の下を大捜索しているほうが多いかも。。。(汗)
昔よりは回数は減ったけど油断しているとすぐに落ちるのですよ。。。(苦笑)
いずれにせよ、失くしたものが見つかったときの
あの爽快感と安堵感は何ともいえないものがありますよねぇ。。。

さてさて

本日は「キヤノン7」のカメラ修理を行っています。
発売開始は1961年です。
1961年ということは既に一眼レフへの移行が進みつつある時期ですが
キヤノンのレンズ交換式レンジファインダー機は非常に人気もあり
需要も高かったことから発売されたという理由もあるようです。
この「7」と「7S」をまとめて「7シリーズ」ということもできますが
「7シリーズ」はキヤノンとしては
最後のレンズ交換式レンジファインダー機ということになります。
35/50/85+100/135mm と5つのフレームを切替で使用できます。
もちろんパララックス補正付で等倍ファインダーです。
セレン式露出計を装備しシャッタースピードダイヤルと連動し
絞り値を指示し、それに合わせてレンズ側の絞りを設定する方法です。
マウントはもちろんLマウントですが
当時、開発されたばかりの50mmF0.95という大口径レンズを
装着するための3本のツメがマウント外側に付けられています。

お預かりしているキヤノン7はまずシャッターが切れません。
シャッター幕の位置から考えるとチャージはされているようです。
加えてシャッタースピードダイヤルが125-250の間しか回りません。
さらに二重像は大幅にズレています。

もしかしたら分解品かな。。。とも思ったのですが
どうやらショック品のようです。
落下させてしまったものと思われます。
おそらく上カバー部から落下したと思われ
シャッターダイヤル基部が変形してしまったものと思われます。
大元のドラム軸まで歪んでいるようだと
修理不可能かと思われましたが
何とか修理可能な範囲内でした
SSダイヤルのトラブルもシャッターが切れないのもこれが原因でした。

上カバーの凹みもありましたができる限り修正しました。
落下の影響はあちらこちらに見られ
二重像が大きくズレていたのも落下の影響と思われ
フランジバックにも狂いが生じていました。
もちろん現在は問題のないレベルに調整されています。
やはりカメラ。。。というか精密機械は落としてはダメですね。
よく「落としても大丈夫だった」とかいう話も聞きますが
特にカメラはショックが加わることで思いもしないトラブルが発生することも多く
場合によっては修理不可能になることも多いので
極力、落とさないように細心の注意をしていただければと思います。

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スーパーカルムシックスデラックスのカメラ修理

今日は「登山の日」だそうですよ。
もはやすっかり山から遠ざかってしまいましたが
この季節の山は紅葉も始まっていいですよねぇ。。。
3000m級の山だともう朝晩はかなり冷え込みます。
降るような星と雲海から昇る朝日がまた見たいですねぇ。。。
時間的余裕と体力をもう少し復活できたら
テント担いで北岳あたりにまた行ってみたいとは思います。
北岳は肩の小屋でも北岳山荘でも
テン場から朝日も夜空もよく見えて快適なのですよねぇ。。。
まず体力を何とかしなくては。。。
今のままでは30kgくらいの荷物はとても担げません。。。(汗)

さてさて

本日は「スーパーカルムシックスデラックス」のカメラ修理を行っています。
いわゆるスプリングカメラ(フォールディングカメラ)です。
調べてもなかなか資料が少なくて詳細がはっきりしないのですが
日本光機というメーカーで1955年前後に作られたものだと思われます。
当時はマミヤシックスやコニカパール等の
国産スプリングカメラも非常に多く、メーカーもたくさんあったものと思われます。
モデル名が豪華ですね。スーパーでデラックスですもの。。。
レンズは東京光学製トーコー7.5cmF3.5で
シャッターはコパルMXを搭載します。SSは1/300~1秒・Bです。
フィルム装填はスタートマーク式のセミオートマットです。

お預かりしているカルムシックスは
おそらくかなり長い間、使われずに眠っていたものと思われます。
ファインダー、レンズともにカビやクモリが酷く
できる限りの清掃を行います。
シャッターも粘りが見られ各部点検整備一式を行います。

基本的な構造は普通のスプリングカメラです。
クモリやカビの酷かったレンズやファインダーは随分キレイになりました。
シャッターも最高速からスローまでスムーズに動作しています。
これであれば快適に撮影に使っていただけると思います。

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ニッカ5型のカメラ修理

今日は「望遠鏡の日」だそうですよ。
私がまだ幼稚園児の頃、
うちのじいさんは何を思ったか
赤道儀の6cm屈折天体望遠鏡を私のために買ってきたのですね。
最初は家の窓から灰が峰の山頂を見たりして
「すごいねぇ~展望台に人がおるのが見えるけん」といっては
喜んでいたのですが
本格的に天体望遠鏡として私が興味を持ったのが
小学校4年生くらいの頃だったかな。。。
オリオン大星雲やプレアデスやアンドロメダ大星雲やら
簡単に見つけられるものをよく見ていましたが
さすがにその頃の私では赤道儀の極軸合わせなどできるはずもなく
四苦八苦していたことをよく覚えています。
今の赤道儀は極軸合わせも簡単そうだし
天体導入もできて余計な労力がなさそうですよねぇ。。。
あぁ、あの頃にこれがあれば。。。(笑)
今でも本格的な天体望遠鏡が欲しくなることがたまにありますが
とても空の暗いところに頻繁に見に行くことなんてできないだろうし
天体写真まで挑戦しようものなら
結構な投資が必要なのですよね。。。やっぱり無理だなぁ。。。(笑)

さてさて

本日は「ニッカ5型」のカメラ修理を行っています。
ニッカカメラはバルナックライカコピーの全盛期に
高い品質で非常に人気のあったメーカーです。
一眼レフの時代がやってくる頃にヤシカの完全子会社となり
60年代半ばには完全にヤシカに吸収合併されました。
同様にバルナックライカコピーで人気のあったメーカーといえば
レオタックスも同様ですが
ニッカが日本光学のニッコールレンズを標準で装着してたのに対し
レオタックスは東京光学のトプコールを装着し
ここでも「海のニッコー」と「陸のトーコー」の
ライバル関係が再現されていました。
ニッカ5型は1955年に発売されたカメラで
ボディはそれまでのプレスボディからダイキャストボディになり
各部の精度が向上しています。
大きな特徴は底板を外すと裏蓋が開くようになったことで
バルナックタイプのカメラ特有の
フィルム装填の煩わしさが随分改善されました。
修理・整備を行う立場からもこれは非常に便利な機能で
通常、バルナックタイプのカメラは
完全に外装を外してしまわないとシャッタースピードの計測が
できないのですが、裏蓋が開くことで
一眼レフ等と同じように分解せずにシャッタースピード計測が行えます。

お預かりしているニッカ5型は
シャッターを切ると何とか先幕は走るのですが
後幕が全く出てきません。
そのままの状態では後幕の姿すら拝めませんが
確認できる先幕の状態を見ても
シャッター幕が硬化してしまっており
しなやかさのかけらもありません。
硬化してしまっているため後幕は出てこれないものと思われます。
この頃のバルナックタイプのカメラは
ニッカ、レオタックス、キヤノン等々どこのメーカーのものだろうと
未整備であればほとんどの場合がシャッター幕が硬化してしまっており
シャッター幕交換が整備の前提になります。

シャッター幕交換はかなりの重作業となり
予算も納期もかなりかかります。
それでも幕交換さえしてしまえば
(当然シャッター整備・調整も同時に行わなくてはならないため)
快適に動作するようになる個体は世の中にたくさんあると思います。
今回も幕交換及び各部点検整備一式で
非常に気持ちよく動作するようになり
撮影にもガンガン使っていただけれる状態になりました。

実は結構な分解品だったと見られ幕交換以外にも
いろいろと問題がありました(苦笑)
スプールとレリーズボタン受皿部が紛失しており
これは現在、手配中です。

いわゆるゴム引きの布幕は
劣化してしまうのはしかたがないものと思われます。
バルナックタイプのカメラは1950年代のものが多いので
劣化しているものが当然多いのですが
50年代後半、60年代の一眼レフでも
硬くなりかけているものもよく見かけます。
長い間、動かしていないのだと特に硬化しやすいと思われます。
酷いものになると穴が開いているものも多いですね。
もし、家から60年くらい前の布幕シャッター機が出てきたら
使ってみる前にまずはシャッター幕の状態を見ていただければと思います。
もちろん、当店に持ち込んでいただいても大丈夫です。

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