今日は「平成」改元の日ですね。
1989年(昭和64年)1月7日の昭和天皇の崩御をうけて
皇太子であった明仁(あきひと)親王(現:上皇)が新天皇に即位され
それと共に元号が「平成」と決定し、8日から平成がスタートしたわけです。
昭和が63年も続いていたので
改元なんてもちろん経験ないし、崩御による改元なので
コンビニもシャッターを閉めて休業なのか?とか
ちょっとした騒ぎになりました。
それも既に随分昔なのですねぇ。。。
このときに比べれば昨年の令和への改元は
全くスムーズに行われたと思います。
やはり生前退位のほうが現在には合っているような気がしますね。
さてさて
本日は「キヤノンFTb」のカメラ修理を行っています。
1971年発売のカメラです。
同じ年に「キヤノンF-1」が誕生しており
最高級機の「F-1」に対する中級機としての位置づけになっています。
基本的な構造はF-1と同様の部分が多いのですが
前モデルのFTをFDレンズに対応させ
開放測光を可能にしたモデルです。
逆に言うとF-1はFTの考え方をベースに
さらに耐久性を上げ、細かい部分のブラッシュアップを行ったカメラとも言えますね。
スタイリングをそれまでのモデルとは一新したF-1に比べ
FTbは従来のFシリーズのデザインを引き継いでいます。
スタイリッシュなF-1も良いですが
全く奇をてらっていないFtbのスタイリングも秀逸です。
キヤノンは本当に外装デザインが上手いメーカーだと思います。
もちろんデザインだけではなく
非常に使いやすく必要十分なスペックを持ったカメラで
従来のFLレンズによる絞込み測光も可能です。
セルフタイマー周りやバッテリーチェックの方法は
キヤノンらしい独自の手法ですが慣れると非常に使いやすいものです。
FTで採用された中央部分測光はF-1同様、
もちろん引き継がれています。
お預かりしているFTbは一通り動作しているものの
やはり幕軸の油切れもあり
高速シャッターの精度が全く出ておらず
シャッター音も甲高い濁ったものになっています。
加えてファインダー内のゴミや汚れがかなり酷く
全体的にリフレッシュが必要な状況です。
露出計も少々不安定です。
外から見た感じにはわかりにくかったのですが
スクリーンとプリズムの間にある
コンデンザレンズや接眼レンズにはかなりのカビが発生しています。
FTbに限りませんがコンデンサレンズを使用している
この時代のカメラはスクリーン周りの清掃には
かなり神経を使います。
当然、スクリーンが下から抜けるわけではないので
清掃し、上カバーを閉じたあとで
どこかに紛れていたゴミがファインダー内に入っていることが発見されれば
もちろんやり直しですし、精神的にダメージも大きいです(笑)
慎重に周辺のゴミも見逃さないように清掃していきます。
FTbはプリズムが腐食していることもかなり多いのですが
今回の個体は以前に一度交換されているようで
プリズムは非常にキレイな状態です。
そうはいってもカビ等の汚れはあるのでもちろん清掃します。
話が少し逸れますが。。。
外装が非常にキレイな状態で保たれているカメラでも
意外に接眼レンズが汚れているものをたまに見かけます。
外側はもちろんですが内側だったとしても
あれだけ直接目を近づける場所なので
カビが生えているのは気持ち悪いですものね。
接眼レンズ周りは特にキレイに保ちたいものです。
接眼レンズの汚れは実際にファインダーを覗いただけでは
近すぎて意外と気づかないものです。
たまには少し離れて接眼レンズを透かしてみると
状況がよくわかると思います。
この後、シャッター周り・ミラー周りの整備を行い
シャッター速度はもちろんのこと
シャッター音やフィーリングも非常によい状態になり
気持ちよく使っていただける状態に整備できました。
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