日別アーカイブ: 2021年4月28日

ミノルタSR-2のカメラ修理

今日は「象の日」なのだそうですよ
1729(享保14)年のこの日に
交趾国(現在のベトナム)からの献上品として
清の商人が象を連れてきて
京都で中御門天皇の御前で披露されたのだそうです。
この象は最初、長崎まで船で連れてこられ
そこから歩いて江戸までいったのだそうです。
象も大変だし連れて行く人も大変だったでしょうね
そして途中で上記の天皇午前でのお披露目を行い
江戸では5月27日に8代将軍徳川吉宗が御覧になったのだそうです。
私も子供の頃に動物園に連れて行ってもらって
(広島・安佐動物園)
最もインパクトが強かったのは
象とキリンだったなぁ
どっちもすごく大きくて現実離れした姿でした
でも決して怖い感じではなく目が優しいのですよね
まぁ象もキリンも野生のものを怒らせてしまうと
恐怖以外の何物でもないですが…
動物園も長らく行っていないです
昔から「被写体に困ったら動物園に行け」って言われていますよね
コロナさえ落ち着けば上野やズーラシアに行きたいと思います。

さてさて

本日は「ミノルタSR-2」のカメラ修理を行っています。
ミノルタ初の一眼レフとして1958年10月に発売されたカメラです。
それまでに次期フラッグシップとして
開発されていたレンジファインダー機「ミノルタスカイ」の
開発を断念しそのノウハウを使って開発されたカメラと言われています。
シャッターはB・1ー1/1000の倍数系列ですが
バルナックタイプのカメラのようにダイヤルを持ち上げて
SSを設定する方式です。SS間の間隔も等間隔ではありません
この辺にちょっと古臭さを感じますが
さすがに1軸不回転ではあるのでSS設定時以外には
それほど違和感はないかと思われます。
レンズ絞りも完全自動絞りではなく
シャッターを切った際には自動で絞り込まれますが
そのまま絞り込んだままになり
巻上時に開放に戻るようになっています。
半自動絞りという感じですね。
そういう部分も含めて操作も楽しみの一つと思えると
時代を感じることができて
魅力なのではないかと思います。
実はSR-2は私のじいさんがニコンFを買うまでに
メインで使っていたカメラで
他のカメラと一緒に引き継いで
今でも私の手元にあり、たまに使っています。
ミノルタらしい使いやすいさとか使用感の良さの原点というのは
このSR-2にあるのだなぁ…と良く思います。
時代なりに不便な点もあるのですが
巻上感の良さとかキレの良いファインダーとかは
後々のミノルタ機に通じるものがあると思います。

お預かりしているSR-2はSR系で心配される
プリズム腐食もなく比較的コンディションの良い個体かと思われます。
ただ60年以上経過しているカメラであり
各部の動きは非常に渋い状態です。
まずシャッター幕軸がかなり厳しい状態のようです。
しゃったーが切れることは切れるのですが
シャッター音がいかにも油切れという
高周波の混じった耳障りな音になってしまっています。
定速SS時には頻繁にミラーアップも起こり
後幕の幕速がかなり落ちていることをうかがわせます。
測定器で測ってみると1/1000は1/250も出ておらず
幕速(速度ではなくシャッターの端から端まで幕が走り切るのにかかる時間)は
先幕が16.33m/s(これでもかなり遅い)
後幕は19.25m/sでした
これではとてもとても精度が出ないと思われます。
幕速を上げるために安易にテンションを上げるのは厳禁です。
それをやってしまうと軸バネに必要以上の負荷がかかり
一時的に数値が良くなってもそのうちバネがバカになって
どうにも調整ができなくなることになるのは確実です。
そうなってしまった個体は残念ながら修理不能です。
まずは現在のテンションである程度の精度が出るように
幕軸や調速カム周りを丁寧に清掃し
古い油や汚れを落とします。
キレイになった上で必要最小限の注油を行えば
バネがしっかり生きてさえおれば
あとは微調整で済む程度にSS精度は復活するはずです。
元々の設定どおりのバネ力でスムーズに動くことを
目指して一通りの整備を行っていきます。

これから本格的に分解整備に取り掛かっていきます。
付属されているオートロッコールPF55mmF1.8レンズは
レンズそのもののコンディションは良いのですが
絞り羽根の動きに粘りがあることと
マウント部に妙に大きなガタがあるため
それらの修理を行っていきます。

SR-2は個人的にも思い入れのあるカメラなので
しっかり整備してご依頼者様にも気持ちよく
使っていただきたいと思っています。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。