月別アーカイブ: 2021年6月

コニカⅢAのカメラ修理

今日は6月4日。。。
これはわかりやすく「虫の日」ですね。
子供の頃は大抵の虫を捕まえたり
触ったりも平気だったのですが
いつの間にか全くもって触れなくなりましたね(笑)
カブトムシやカナブンでさえ
触れなくはないけれど
あまり積極的に触りたくはないですねぇ
いつからこうなってしまったのか。。。
「虫」と書くとイメージされるのは昆虫類で
あまり抵抗のないグループをイメージしますが
「ムシ」と書くとムカデやクモとか
子供の頃でもちょっと触れないような
怖いものが入ってくるような気がします。
で、「蟲」ともなると
もう生き物でないようなものや
超常現象まで含まれるような気がします
いつも書きますがこのよの不思議なことは
たいていが「蟲」が起こしているのだと思っています(苦笑)
日本語って難しくて面白いですねぇ
そういえば去年のこの頃に
「ろくむし」の話をしたような気が。。。(笑)
1年経つのは早いですねぇ

さてさて

本日は「コニカⅢA」のカメラ修理を行っています。
コニカスタンダードから始まるコニカ最初の35mm判カメラのシリーズです。
「スタンダード」は対米輸出および米軍PXでのみ発売されたモデルのため
国内一般向けではないですが
そのスタンダードを国内一般向けにしたものが「コニカⅠ」です(1948年)
その後、細かいモデルチェンジや派生モデルを加えながら
「Ⅱ」、「Ⅲ」へと発展し
初期のコニカ35mm判レンズシャッター機の集大成ともいえるのが
今回の「ⅢA」だと思います(1958年)
従来の「Ⅲ」に当時「生きているファインダー」と呼ばれた
パララックス/画角自動修正機能付等倍ファインダーを備えたモデルです。
大型のプリズムを贅沢にあつらえたファインダーで
パララックス補正も立派ですが
何といってもその見え方が素晴らしいファインダーです。
等倍なので右目でファインダーを覗きながら
両目で見ると普段見えている視界の中に
ぽっかりとブライトファインダーが浮かび写る範囲がわかります
当然、そのまま二重像でピント合わせも行い
シャッターチャンスを待つわけですね
等倍ファインダーを両目で使うのには少し慣れも必要ですが
これに慣れると本当に便利です。
通常ならファインダー視野外となる部分も容易に確認できます
シャッターは通常の「Ⅲ」と同じく
当時の最高級シャッターでもある「セイコーシャMXL」です
最高速は1/500で1秒までのスローシャッターと「B」を備えます。
レンズはヘキサノン48mmF2搭載機と50mmF1.8搭載機が存在します。
他は「Ⅲ」とほぼ同一で
巻上は独特のマウント部から生えているレバーを押し下げて行います。
軽快なダブルストロークです。
使い心地や質感の高いデザインも含めて
かなり良いカメラだと個人的にも思っています。

お預かりしている「ⅢA」はご依頼者様が某ネットオークションで
最近んご購入されたものだそうです。
動作確認済、しかしながら現状渡し・保証なしという
この手の販売ルートにありがちな販売方法ですが
いきなりシャッターが切れなくなったそうです。
拝見してみるとレンズシャッター機では
定番のシャッター羽根固着です。元々粘りがあったものかと思われます。
この手のルートで入ってきた来た個体は
無茶な扱いを受けている場合もあるので
まずはシャッター羽根や絞り羽根の状態を慎重に確認しておきます。
羽根の破損や変形があると工数が全く異なってくるからです。
交換部品の問題も出てきますし。。。
いつも書きますが特に絞り羽根には注意が必要です。
粘った状態で動かし続けていると
比較的簡単に変形・破損が起こります。
シャッター羽根よりも高い確率です。
今回は何とか羽根そのものには問題はなさそうです。
羽根洗浄およびシャッターユニット清掃整備で
シャッター周りは問題ない状態にできそうです。
最大のセールスポイントでもあるファインダーは
かなりのカビや汚れが見受けられ距離計も全く合っていませんでしたが
プリズム自体は良好でプリズム周りの清掃で
十分にクリアな状態になりました。
もちろん距離計も調整いたします。

外装もできる限り清掃して仕上げました。
やはりクリアな等倍ファインダーの見え心地は良いですね
巻上も預かり時より明らかに軽快になったと思います。
これならこれから安心してガンガン使っていただける状態と言えると思います。
まぁ、なかなかネットオークション等で買って
そのまま安心して使えるものはなかなかないと思います。
最初から整備前提で入手される分には良い場合もありますが
修理不可能な状態のものもゴロゴロありますので
やはりある程度のリスクはあるかと思います。
でも今回の「ⅢA」は最初少し心配しましたが
妙な分解品でもなく通常整備で見違えるほどよくなりました。
随分お待たせしてしまいましたが
ご依頼者様には存分にこれから楽しんでいただければと思います。

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ペンタックスSPのカメラ修理

今日は「測量の日」だそうですよ。
1949(昭和24)年のこの日に
測量を正確、円滑に行うことを目的とし
基本測量や公共測量の定義などを定めた
「測量法」が公布されたことに由来しています。
あれれ?測量と言えば伊能忠敬が測量に出発した日に
由来した記念日を最近何か書いた気が。。。と思ったら
それは「地図の日」(4月19日)でした。
おお、もう2か月近く前なのねぇ
そういえば、なぜか昔、実家にゼンリンの住宅地図があり
(業務用の呉市内全域をカバーする大きな冊子で
おそらく買うと結構な値段。。。)
小学生の頃にヒマなときはそれをめくって見ているのが好きでした。
家の側を流れる吾妻川。。。上流はどこまで行けるの???とか
逆に海まではどこを通っていくの?とか
クラスの名簿を引っ張り出しては
「あの子の家はどの辺?うちからはどうやって行くの?」とか
「呉市の一番端っこってどこ?」とか
結構、飽きもせずに延々といろいろ調べてたなぁ。。。
おかげさまで地図にはちょっと強くなったかな
未だに実家の近所の道をイメージすると
その住宅地図のイメージも出てくるし。。。
本当にあの頃、覚えたことは忘れないですねぇ
ずっと小学生~中学生の記憶力だったらいいのに。。。(笑
登山に行くようになってからは1/25000地形図の出番です。
これも奥が深いんですよねぇ
見慣れてくると斜面や勾配の様子とかもだいたいイメージできますし
よく行く南アルプス北部や奥秩父、八ヶ岳エリアは
今でも一通り持っています。
まぁ今では実際に現地で見る時はともかく
家にいるならネットで見たほうが早いのですが。。。
何にせよ、地図を見ているのは今も昔も楽しいです。
地図ではありませんが今だとグーグルアースなんて見始めると
これがまた止まらなくなりますものねぇ。。。仕事中は厳禁です(苦笑)

さてさて

本日は「ペンタックスSP」のカメラ修理を行っています。
「SP」もコンスタントに修理依頼のあるカメラです。
社会現象となるくらいに売れまくったカメラなので
現存数も圧倒的に多いのだと思います。
当店に修理に入ってくるものは
「中古で買って使ってるもので。。。」というものもそれなりに多いのですが
やはり「SP」の場合は
「家でずっと使われずに仕舞い込まれていたものなのですが。。。」という
パターンが圧倒的に多いです。
今回もそのパターンかと思われます。
レンズマウントというのは多くの場合、そのメーカー独自の仕様で
互換性はないものなのですが
SP…というかこの時代のペンタックス機は
ユニバーサルマウントでもある「M42マウント」を採用し
オールドレンズに少し詳しい方、興味のある方はもちろんご存じでしょうが
世界中のいろんなメーカーのM42マウントのレンズを
そのまま使うことができます。
当然、ユニバーサルマウントなので非常にシンプルなマウントです。
はっきり言えば単純な大きなネジです。
「M42」というのもネジ径の寸法のことです。
普通にドライバーで締めるネジだとM2のネジとか
M5のネジとかいいますがあれと同じです。
ネジ径に加えて絞り羽根動作連動が付いているだけです。
自動絞りでなければ絞り羽根連動もありません。
そういうシンプルなマウントなので
当然、露出計はTTL(ファインダー内測光」といえども
絞込測光となり実際に撮影時の絞りに絞り込んで測光します。
絞りが開放あるいは開放に近い値だとそれほど問題はないですが
F8とかF11とかに絞り込むと当然ファインダーはかなり暗くなり
そのままでのピント合わせは不可能です。
そのあたりが唯一の使いにくい点なのかなと思いますが
M42マウントというユニバーサルマウントを使っている以上
致し方ない部分かと思います。
実際、ペンタックスも後継のSPFでは開放測光に対応しますが
それはM42マウントに絞り伝達機構を追加した
SMCタクマーレンズ使用時のみです。
ややこしいことになるし従来のM42マウント(特にペンタックス以外)
使用時におけるリスクもあるので
やはりM42マウントは絞込測光が潔いと思います。

話が随分逸れてしまいました。
お預かりしている「SP」はその露出計がほぼ不動です。
SWの接触不良及び配線やハンダの導通不良が原因と思われます。
まぁ、いつものパターンです。
そしてこれも定番ですが幕軸の汚れのため
シャッター走行がスムーズではなく
高速時を中心にシャッタースピードの精度は全く出ていません。
今のところ、ミラーアップしたままになったりとまでは
いきませんがこのまま放置していると
間違いなくミラーアップトラブルも出てくると思います。
もうひとつ定番のプリズム腐食は今回はありませんでしたが
やはりプリズムをぐるりと囲む遮光材の加水分解はかなり進んでいて
これももう少し放置しているとプリズムの蒸着まで
剥がし始めていくところだったと思われます。

既に一通りの整備は完了した状態です。
装着しているレンズは当店のテストレンズです。
かなり洗浄を念入りに行い注油もしたので
少し動きが落ち着くまで様子見の段階ですが
ここまで特に問題なく非常にスムーズに動作するようになりました。
外観もできる限り磨き上げました。
経年劣化や油切れ・汚れは当然ながらかなりあったのですが
基本的には保管状態も悪くなく
かなりの部分で当時の姿を取り戻せていると思います。
おそらくご依頼者様にも満足していただける状態に
仕上がっていると思われます。

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ペンタックスKXのカメラ修理

今日は「路地の日」だそうです。
日付は「ろ(6)じ(2)」(路地)と
読む語呂合わせからだそうです。
私が子供の頃には妙な路地が近所にも
たくさんあったなぁ。。。
うちの実家もそうだったけど長屋が多くて
その通路がまた細かく入り組んでいて
1日中、日の当たらない路地もたくさんあったし
そういう路地ってなんだか独特な匂いがするんだよねぇ
で、中には、これ本当に通っていいの?みたいな
家の間を縫うような路地も多かったなぁ
またおまけに私の生まれ育った辺りは
平地も少なく斜面に家が建っているような地域だったので
路地に石階段もセットになっているんですよね
またそこが格好の遊び場になるのです。
絶対クルマは入ってこないから意外と安全なのかな(苦笑)
でも階段転がり落ちると逆に大変なことになるのかも。。。
私の生まれ育った町もすっかり人口が減ってしまって
よく遊んだ路地や階段が雑草で覆われて入れなくなってたりとか
そもそも子供が全くいないから
路地で子供が遊んでいる姿なんて見なくなりました。
時代。。。というか時間は移ろいゆくものなのですねぇ
誰もが歳を重ねるとそうかもしれませんが
あの頃の空気感はもう味わえないのでしょうねぇ

さてさて

本日は「ペンタックスKX」のカメラ修理を行っています。
それまでのM42マウントを一新し
Kマウントを採用し生まれ変わったペンタックスの一眼レフシリーズが
「Kシリーズ」です。
1975年6月に「K2」、「KX」、「KM」の3機種が同時発売されて
Kシリーズはスタートしました。
このうち「K2」は完全新設計の金属羽根縦走りシャッターの電子制御機で
「KX」、「KM」がオーソドックスな布幕横走り機械制御のカメラです。
「KX」はM42時代のSP系のカメラをより進化させ
より使いやすく煮詰めていったようなカメラです。
露出計の受光体はSPDに変更され、より反応性が良くなり
ファインダー内露出計表示も2針式で
現在設定されているSS設定と露出計指示値が一目で確認できます。
さらに絞り値もレンズ側の絞り刻印を直読できるようになりました。
メータードマニュアル機としても非常に使いやすい仕様です。
細かいことですがSP時代にはアルミ蒸着だったプリズムが
K2,KXは銀蒸着になりました。
次のMシリーズの登場が比較的早い上に電子化小型化が一気に進んだため
「Kシリーズ」はシリーズ全体としても短命で
ちょっと地味なイメージなのですが
「KX」は非常に使いやすい隠れた名機だと思います
確かにちょっと大きくて重いのが玉に瑕ですが。。。

お預かりしている「KX」は
かなり長い間使われずに仕舞い込まれていた上に
その保管状況もあまりよくなかったようで
いろいろと問題を抱えています。
まず装着されているM42時代のタクマーから
Kマウント化された55mmF1.8レンズは
全てのレンズにびっしりカビが生えてしまっています。
ただ不幸中の幸いはほとんどのカビが菌糸状で
小さく濃く固まったようなものや
クモリを併発しているほどのものではないので
清掃でかなりの部分が除去できるのではないかと思います。
ヘリコイド等は比較的状態が良いようです。
。。。ということはやはり保管場所の湿度は高めだったのでしょうね
カメラ本体側はまずシャッター速度の精度は全く出ておらず
高速域では特にその傾向が顕著に見受けられます。
さらにミラー駆動部の動きが粘りがちで
ミラーがゆっくりとアップしていくような感じです。
つまりレリーズしてから実際にシャッターが切れるまでに
かなりタイムラグがある状態です。
これも放っておくとそのうちミラーが上がらなくなり
シャッターが切れなくなってしまうと思われます。
さらに露出計は電池を入れても全く動かず
ファインダー内SS設定も連動して動きません
(ずっと1/1000の位置のまま)
おまけに絞り直読窓も全く見えません。
うーん、ひとつひとつはありがちなトラブルですが
いろんなことが一通り起こっている感じです。

まだ現状を確認したのみで何も行ってはいないのですが
画像を見てもわかるとおり外観は比較的キレイなのです。
ケースに入れたままだったようなので
湿気もため込んだままだったのかもしれません
使われなくなってからは仕舞い込まれたままで
相当の年月が経っていると思われますが
使っていた頃はかなり丁寧に大切に
使われていたのではないかなぁと思われます。
動きの悪い部分や接触の悪い部分は
しっかり整備すれば治ると思われます。
新品には戻せませんが
現役で使われていた頃と同じような感覚で使えるように
しっかりと整備していきたいと思います。

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