月別アーカイブ: 2021年10月

ミノルタX-7のカメラ修理

今日は10月3日…
「と(10)ざん(3)」(登山)と読む語呂合わせで
「登山の日」です。
山はいいですよねぇ…特に森林限界を超える
標高2500m以上の山は日常では味わえない
眺望と空気感を楽しめますよねぇ
さらにおススメはテント泊で
山ならではの夜明けやご来光を一度味わうと
かなり病みつきになると思います。
この仕事を始めた頃からなかなかまとまった時間が取れなくて
年に1・2回くらいしか山に行けなくなってたところへ
昨年、頭がイカレたこともあって
もう足場の悪い登山道はまともに歩けなくなってしまったので
山に登ることはもうないかと思いますが
以前登った時の写真を見返すたびに
そのときの気分に何となくでも浸れることができます。
やはり写真は撮っておくものですね!
一度登った山はそれから下から見上げただけでも
何だか特別なものに見えてくるのですよ。
登るのはもう無理でもたまに山梨あたりに行って
麓から甲斐駒や北岳を見ると何だかワクワクドキドキしてしまいます。

さてさて

本日は「ミノルタX-7」のカメラ修理を行っています。
1980年発売のエントリークラスの絞り優先AE専用機です。
毎回書きますが宮崎美子さんのCMでカメラよりも
あのCMが一世を風靡してしましました。
私もX-7のCMだったかどうかはうろ覚えでも
あのCMはめちゃくちゃ強烈に記憶に残っています
当時の宮崎美子さんもよく覚えていますが
さらにそれをパロディにして「全員集合」でコントにしていた
志村けんさんの姿がもっと強烈に記憶に残っていたりします(笑)
この時代は各社ボディ本体4万円ほどの
絞り優先AE専用機がラインナップされていました。
ミノルタはX-7、ニコンEM、オリンパスOM10、
ペンタックスMV1…等々
販売台数がかなり見込めるクラスとあって
各メーカーかなり力が入っていてそれぞれ魅力的なモデルばかりです。
そんな中でもX-7はミノルタらしい使い心地の良さと
明るくてキレの良いファインダーが魅力のカメラです。
カタログスペックに具体的に出にくい部分なのですが
この時代のミノルタカメラの使い心地は
本当にどのカメラも気持ちよいものばかりですね。

そんなX-7も発売から40年以上経過しています。
ミノルタXシリーズは電子系に難のあるカメラが多く
トラブルと修理不可能なパターンも多いのですが
X-7は多少機能がシンプルなせいか
比較的、電子制御関係のトラブルは少ないと思います。
ただし現存するX-7の8割以上は
プリズム腐食のトラブルを抱えているものと思われます。
X系のカメラの多くがそうですが
プリズムの前面に遮光用のモルトプレーンが貼られていて
そのモルトが加水分解を起こすことにより
プリズムの蒸着を剥がしていってしまうわけです。
ファインダーから覗くと真ん中少し下寄りに
大きな横方向に伸びる黒い帯が出てきてしまいます。
プリズム内でのトラブルなので写真には影響しませんが
ファインダーの視野を遮る範囲も広く
そのままではとてもとても普通に撮影できる状態ではありません。
今回、お預かりしているX-7も
まだ黒い帯は少し薄目ではありますが
ファインダー内の1/3近くを黒い帯が覆ってしまっている状態です。
他の動作は大きな問題はないのですが
オートがやたらとアンダー目になってしまっているようです
これは抵抗の調整等で改善できる範囲かと思われます。

80年登場の電子制御機なので
プリズム交換と言っても
上カバー外して留め具を外せば
すぐにプリズムが降ろせる…なんてわけにはいきません。
上カバー脱着も少々めんどうなカメラですが
そこからプリズムを覆っているフレキを外すことから
始めなければなりません。
さらにそのフレキは底部のフレキや電池室とも
直接繋がっているのでこれがまたなかなか大変です。
細かい作業が多いのでかなり神経も使う作業です。
慎重にひとつひとつ行っていけば
それほど困難な箇所があるわけではないのですが
とにかく手間がかかります。
プリズム載せ替えもそうですが
ここから並行して慎重に各部の整備・調整も行っていきます。

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キヤノンFTのカメラ修理

今日から10月ですね!
10月1日ということで
記念日もたくさん制定されています。
コーヒーの日、日本茶の日、メガネの日
東京都民の日、ネクタイの日、香水の日
磁石の日。。。等々等々。。。
そんな中に「日本酒の日」っていうのがありますねぇ
私はお酒は好きですし
(もう昔のように大量には飲めませんが)
割と好き嫌いなく色んな種類のお酒も飲みますが
やはり食事に合わせるのは日本酒がいいですよねぇ
特に魚介類がメインのものは日本酒が最強だと思います。
生牡蠣とかを食べた後に特有の臭みを
サーっと洗い流すように消してくれるのは日本酒だけですし
魚介。。。というか和食の微妙な味わいを
口の中で膨らませてくれるのも日本酒、それも純米酒が最強だと思います。
日本酒本来の香りやフルーティーな味わいを
お酒単体で味わうのならわずかに醸造アルコールを入れて
香りを膨らまし、米を磨き上げた、大吟醸酒がいいですよね!
別に本格的な和食屋さんに行かなくても
ちょっと良い純米酒とちょっと良いお刺身等で
存分にその良さを楽しめます!
もちろん手のかかった食事にいたせりつくせりの
ちゃんとした外食はもちろん美味しいのですが…
まだ大手を振って外で美味しいお酒を…ともいきませんので
今日も何か日本酒に合いそう肴を買って帰ります
1日の終わりのちょっとした楽しみですね!

さてさて

本日はキヤノンFTのカメラ修理を行っています。
「Fシリーズ」の初号機である「FX」をベースとして
露出計をTTL測光にしたモデルです。
測光方式がちょっと凝った構造になっていて
スクリーン上に配置されている
コンデンサレンズを斜め45度に切断し
その切断面のうち中央部12%の部分をハーフミラー化し
コンデンサレンズの後ろに配置したCDSに
光を送る仕組みになっています。
接眼レンズ側からの入射光からの影響を
わずかながらでも受けやすい
接眼レンズ周辺の配置を嫌ったわけですね。
構造上、この時代の主流になりつつあった
中央部重点測光ではなく
中央部部分測光となります。
露出計の構造がよくわかっている方であれば
明暗差のある」場面でもこちらのほうが厳密な露出を
決定しやすいと思います。
後のモデルであるF-1やFTbにも
この構造は引き継がれています。
他にもこの時代のキヤノンお得意の
QL(クイックローディング)を搭載し
フィルム装填が非常に簡単に行えます。
ただしまだFTは対応レンズはFLレンズで
測光方法は絞込測光となります。
開放測光に対応するのは
FDレンズが登場した次のFTbからとなります。

お預かりしているFTは
シャッターを切るとほぼ100%の割合で
ミラーアップしたままになってしまいます。
そして巻き上げるとミラーが下がってくるという状況です。
ここでもよく書きますが
ミラー駆動部の問題ではなく
シャッター走行不良が原因かと思われます。
ためしに底部から少しクリーナーを入れてやると
一時的にミラーアップは解消されます。
幕軸の汚れや古い油が抵抗になり
スムーズに幕が走行完了できないために
最後、ミラーをダウンするリンク部をうまく蹴れないことが原因です。
幕軸をしっかり清掃する必要があります。
加えてスローシャッターを使用すると
1/8以上のスローだとガバナが完全に固まってしまい
シャッターが開きっぱなしになってしまいます。
幕軸やガバナー他の駆動部も
あちこちで動きが悪い状態だと思われます。

FX、FP、FTの困ったところといえば
プリズム腐食が非常に多く、
おまけに交換するキレイなプリズムも
非常に入手困難なところです。
上の画像にも写っているのですが
腐食の原因となるプリズム上の座布団モルトは
比較的近年、交換されているようなのですが
残念ながら腐食が始まった後だったようです。
ただ、ファインダー内で見る限りは
まだ何とか実用に耐えれる程度の視界状態は確保されています。
交換用プリズムは先述の通り
入手困難なので今回は清掃のみで現状ベースで対応いたします。
まだ現状をチェックしただけの状態です。
これから本格的に分解整備に取り掛かります。

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