日別アーカイブ: 2021年11月19日

キヤノンⅡDのカメラ修理

今日は「鉄道電化の日」だそうですよ
1956(昭和31)年のこの日に
米原~京都間が電化されて
東海道本線全線の電化が完成したそうです。
電化に伴って特急「つばめ」が東京~大阪間を7時間30分で走ったそうです。
手元に資料が少なくて確認できていないのですが
この「つばめ」は黄緑色に塗装された
いわゆる青大将ですかね?模型でしか見たことはないのですが
EF58形電気機関車がけん引する列車ですね。
その後、151形ボンネット電車の「こだま」が登場し
「つばめ」も151形電車に置き換えられます。
そしてさらに1964年には
0形新幹線「ひかり」が登場し
東京~新大阪間を3時間10分で走ります。
この時点で最初の電化された在来線特急「つばめ」の
半分以下の所要時間になっているのですねぇ
ちなみに現在の新幹線「のぞみ」は東京ー新大阪間を
約2時間半で走ります。
さらに話が逸れますが
今年見事にセ・リーグを制した東京ヤクルトスワローズの
愛称名「スワローズ」は、上記の特急「つばめ」に由来しています。
これは同球団の前身が「国鉄スワローズ」だったことの名残ですね
それに加えてイメージ的には旧国鉄のシンボルマークが
「つばめ」だったので(そのイメージがいまだに強いですねぇ…

さてさて

本日は「キヤノンⅡD」のカメラ修理を行っています。
1950年代のいわゆるバルナックライカコピーですね。
ただしキヤノンのバルナック機は単なるライカコピーではなく
機能的にも独自の進化を遂げています。
その最たるものがキヤンンならではの変倍ファインダーかと思います。
キヤノンのバルナックコピー機は1934年の試作機「カンノン」や
初の市販モデルとなった1936年の
「標準型(ハンザキヤノン)」あたりが源流ですが
ファインダーがいわゆる二眼式から一眼になったのが
戦後のモデル「SⅡ」(1945年)で
それだけでも革新的だったのですが
さらに変倍ファインダーが搭載されたのが
「ⅡB」(1949年)からです。
それからも細かい仕様変更やバリエーションを増やしていき
価格も少しお求めやすくヒット商品となったのが
今回の「ⅡD」(1952年)です。
最高級クラスの「ⅣS」をベースとし
1/1000とシンクロ接点レールを省略したモデルです。
個人的な感覚ですが
おそらくキヤノンバルナック機の中では
一番売れたモデルではないかと思います
…というのも現存しているキヤノンバルナック機の中で
圧倒的に見かけることの多いのがこの「ⅡS」型だからです。
ボディもダイキャストとなり非常にしっかり作られたカメラです。

…とはいえ…製造されてから70年近く経過するカメラです。
その上、ここでも良く書きますが1950年代~60年代初頭の
布幕フォーカルプレーンシャッターは
全くの未整備品であればほぼ間違いなく
シャッター幕の劣化が進んでいます。
今回お預かりの「ⅡD」も当然のごとく
シャッター幕はガチガチに硬化してしまっていて
まともに動作できる状態ではありませんでした
さらによく確認してみるとところどころに
穴や裂けもありわずかながら光が漏れてきてしまっています。
これではどうにも撮影に使うことができません。

ということでシャッター幕の交換を行いました。
幕交換をすれば当然のごとくシャッターの設定は全てゼロから
やりなおしです。巻上の位置関係も細かく確認しながら
位置決めを行っていきます。
その後のモデルに比べればシャッター速度の設定は遅いとはいえ
それでも最高速は1/500です。
1/500の細いスリットは調速カムが正しく動作している前提でも
わずかな幕の重なりのズレによって大きく
ズレてしまいます。
基本的にはこれまでの幕と同じ寸法のものを「正確に」作成し
全く同じ位置に「正確に」貼れば精度は出るわけなのですが
これがなかなか大変なのです…
非常に工数もかかる作業ですが
幕交換さえしてしまえばシャッターは非常に快調に動きます。
それは今まで思うように巻き込むことすら困難だった
ガチガチに硬化した幕からしなやかで柔らかい新品の幕に
なるわけですから当然といえば当然です。
もちろん巻上機構や距離計、ファインダー等
できる限りの整備を行い外装もできる限り磨き上げました。
これでご依頼者様にも新たな気持ちで
スッキリとお使いいただけると思います。

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