今日は二十四節気でいうところの
「啓蟄」ですね。
大地が温まり、冬眠をしていた地中の虫が
春の陽気に誘われて穴から出てくる頃で
「啓蟄」とされています。
「啓蟄」の「啓」には「ひらく、開放する」の意味があり
「蟄」には「虫が土の中に隠れる、閉じこもる」の意味があるそうです。
都内は寒の戻りで春の陽気どころか
昨日あたりは真冬に戻ったかのような寒さでしたが
また今日から少しずつ暖かくなりそうです。
「啓蟄」の次の節気は「春分」なのですね。
いよいよ長かった冬も終わりですね!
さてさて
本日は「リコーXR500」のカメラ修理を行っています。
1978年発売のカメラです。
その前年に発売された「XR-1」のの機能を限定したモデルです。
低価格50mmF2レンズとケース込みで39800円を実現し
「サンキュッパ」をセールストークとして
テレビCFを流し大きな話題となったカメラです。
縦走り機械制御シャッターを搭載し
追針式連動露出計を搭載するシンプルなカメラです。
「XR-1」との差別化もありシャッタースピードの最高速は
1/500に抑えられています。
…とはいえ普通の感度のフィルムで普通に撮影する分には
最高速1/500でも全く問題はないかと思います。
外装の質感等は確かに値段なりの部分はありますが
反対に「普通の環境で普通に写真を撮る目的なら
これで充分だよ」という潔さも感じられます。
確かにガンガン使い倒す目的であれば
これほど使いやすくてわかりやすいカメラもないと思います。
個人的にも非常に好きなカメラです。
お預かりしている「XR500」は近年はあまり使われてはないようですが
一通り動作は行えます。
ただフィルム室やファインダー周りのモルトの劣化が進んでいて
光線漏れの心配もありますし
ファインダー内もモルト屑がたくさん入り込んでいます。
測定器を使ってチェックしてみると
ネガフィルムでの撮影には大きな問題はないでしょうが
高速シャッターでの精度が不安定なことと
露出計の精度が多少ズレています。
シャッター羽根や接点の汚れが原因と思われます。
安心して気持ちよく使うためには
やはり全体的なリフレッシュが必要です。
機能的にはシンプルで使いやすいカメラですが
内部構造…特にファインダー周りや露出計連動は
なかなか変わった構造をしていて
単純にファインダー清掃を行うだけでも
意外と手間のかかるカメラです。
シャッター自体はユニットシャッターで
整備性は良いのですが…
「XR500」の整備は少し久しぶりだったので
間違いのないように資料を引っ張り出して
確認しながら慎重に分解を進めていきます。
画像にはありませんが当時組み合わされていた
リケノン50mmF2も一緒にお預かりしていて
こちらにもかなり目立つ大きなカビがど真ん中に
居座っています。ボディのあとで
こちらもしっかり清掃を行っていきます。
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