日別アーカイブ: 2025年3月9日

キヤノネットQL17G-Ⅲのカメラ修理

今日は「レコード針の日」だそうですよ。
ただ調べても由来や制定団体等はわからないのですよね…
レコード針と聞いてそれがどんなものか
すぐにイメージできる方もやはりもう少ないのでしょうねぇ…
実家に幼い頃から大きな当時流行りの家具調ステレオがあって
それのレコードプレーヤーで童謡のレコードから
昭和歌謡、洋楽、ハードロック等々、多感な時期に
散々お世話になりました。
スタイラスクリーナーで針先をキレイにして
レコードの盤面をクリーナーで拭きあげて
レコードに針を落とす…毎度ワクワクする瞬間ですよねぇ…
大人になってからそれをもう一度味わいたくなって
実家に眠らせていた大量のレコードを持ってきて
新たにレコードプレーヤーも手に入れて
今でも頻繁にレコードを聴いています。
昔よく聴いていた音楽は記憶呼び起こすトリガーにもなり
何とも懐かしい気持ちに浸れます。
レコード針の寿命は種類にもよりますが
おおまかに150時間~200時間ほどです。
私のレコードプレーヤーももう少ししたらまった交換時期です。
単に針を交換するだけでなくカートリッジまで含めて
交換を考え出すとこれまたいろいろ楽しく悩めます(笑

さてさて

本日は「キヤノネットQL17G-Ⅲ」のカメラ修理を行っています。
1972年発売のカメラです。
初代のキャノネットは1961年に発売され
社会現象ともなる大ヒットを記録したカメラです。
その後、モデルチェンジを重ねて小型化も進みましたが
どのモデルもコンスタントにヒット商品となっています。
「G-Ⅲ」はそんなキヤノネットシリーズの最終モデルとなるカメラです。
初代の少し大柄なボディに比べると随分小型化されましたが
相変わらずの大口径レンズを搭載し
(QL17は40mmF1.7、QL19は40mmF1.9)
内臓露出計と機械的に連動した
シャッタースピード優先オート露出を装備
搭載されるシャッターユニットはコパル製で
1/500までカバーし、マニュアル露出も可能
マニュアル露出時には露出計がオフになるところまで
初代からG-Ⅲまで共通した造りになっています。
基本的なスペックはほぼそのままに
使いやすさをひたすらブラッシュアップしてきたようなシリーズです。
最終モデルの「G-Ⅲ」は現在でも非常に人気の高いカメラです。

お預かりしている「G-Ⅲ」は
おそらくかなり長い間使われずに眠っていたものと思われます。
シャッターはほぼ問題なく切れているようです。
ただし、電池室には当時の水銀電池が入ったままになっており
電池室を開けると真っ黒に腐食した電池が
ゴロンと出てきました。
当然ながら電池室の端子は両極とも腐食で
全く導通しないような状態です。
当然、露出計は不動です。
この状態だと配線や内部まで緑青が拡がっているものと思われます。
この類のカメラはコストの関係もあり
裏蓋に大量のモルトを使っていることが多いですが
New以降のキャノネットも同様です。
もちろんモルトはボロボロでフィルム室は粉状のモルト屑だらけです。
レンズにもかなりのカビが見受けられファインダーも曇っています。
全体的に入念な清掃整備が必要な状況です。

画像はまだ取り掛かり始めの状態で
ここから本格的に分解整備に取り掛かります。
電池室から伸びたマイナス側の配線は
前板裏側の端子で一度中継されるのですが
ここも緑青で覆われていて接触不良となっている状態です。
電池室に関わる配線及びハンダは全てやり直します。
機械的な駆動部分は大きなトラブルはなさそうですが
積年の汚れや古い油脂は全て除去して清掃整備を行っていきます。

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