ペンタックスSPのカメラ修理

今日は3月3日、ひな祭りの日はもちろんですが
「耳の日」でもあるのですね。
目も耳も少しずつですが年齢とともに衰えています(汗)
耳だけでなく「五感」に関する部位は
特に大切にしなければいけませんねぇ
今日は「耳の日」なのは単純に語呂合わせからですが
サリバン女史がヘレン・ケラーに指導を始めた日でもあり
電話の発明者であるグラハム・ベルの誕生日でもあるそうです。

さてさて

本日は「ペンタックスSP」のカメラ修理を行っています。
ユニバーサルマウントであるM42マウント採用機として
最もポピュラーな存在で
60年代を代表するカメラと言っても良いと思います。
ところでSPというネーミングは「SPOTMATIC」の頭文字で
ボディの肩部分にも刻印されています。
SPの内臓露出計は接眼レンズ脇に
受光体(CdS)を装備した平均測光ですが
もともとは「スポット測光」を搭載する予定だったそうです。
ただ試作機の段階で変更が行われ
その時代の受光体(CdS)の精度の問題等もあり
一般的な平均測光に変更されました。
「SPOTMATIC」のネーミングは開発時の名残なのだそうです。
その後、スタンダードになる「開放測光」に慣れていると
SPの「絞込み測光」は多少不便に思われますが
レンズ側とボディ側の連動が少なくてすむ
「絞込み測光」だからこそ
世界中のいろいろなメーカーから発売される
M42マウントレンズを内蔵露出計で使えるわけなのです。

爆発的に売れたカメラなので
現存数も非常に多いですが
発売開始から50年を超えるカメラであり
トラブルを抱えている個体が非常に多いと思われます。
お預かりしているSPは
持病ともいえるプリズム腐食こそないものの
シャッター周り、巻上周り、ミラー駆動部等々
動作部の動きはやはり悪い状態です。
低速シャッター時にはミラーアップしたままになり
高速シャッターは先幕、後幕のバランスが崩れ
1/1000も何とか開いてはいるものの
写真の両端では露出量がかなり異なってしまう状況です。
加えてファインダーを覗くと
何かの部品がコンデンサレンズ上に落下しているようで
大きな部品の影が視野を遮っている状況です。

これからミラーボックスを降ろし
まずはシャッター幕軸の清掃から始めます。
幕速が狂っているからといって
単純に幕テンションをいじるだけでは根本的解決にはなりません。
まずは幕軸の古い油や汚れを落として
円滑に動作する状態にして
最後の微調整で幕速テンションの調整を行います。

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