キヤノネットQL19G-Ⅲのカメラ修理

今日は「台風襲来の日」だそうですよ。
統計的に台風襲来の回数が多い日なのだそうです。
。。。とはいえ、今日は都内はなかなか良い天気です。
空の色は随分秋らしくなってきましたが
日中、日差しがあるとまだ少し暑いですね。
私の好きな空気のピンと張り詰めたような秋は
もう少し先かな。。。

さてさて

本日は「キヤノネットQL19G-Ⅲ」のカメラ修理を行っています。
キヤノネットは1961年発売の初代から始まり
1972年のG-Ⅲが最終モデルとなります。
この時代のキヤノンを代表するコンパクトカメラです。
初代は正に伝説的なカメラで
社会現象となるほど売れたカメラです。
その初代に比べると最終モデルのG-Ⅲは随分コンパクトになり
そのコンパクトさと使いやすさで現在でも非常に
人気の高いカメラです。
シャッタースピード優先AEを搭載し
露出計はオフになりますがマニュアル露出も可能という点は
初代からG-Ⅲまで共通の点でもあります。
G-ⅢはQL17とQL19の2種類が同時発売され
違いはそれぞれのレンズの開放値がF1.7かF1.9である点と
バッテリーチェックがランプ点灯であるQL17と
前身のニューキャノネットと同様に露出計指針で行うのがQL19と言った感じです。
F値0.2の違いは実際にはほぼ感じることはないでしょうね。

お預かりしているG-Ⅲはまずファインダーのクモリが相当酷いです。
正直、全くピント合わせができる状況ではございません。
ハーフミラー部のクモリだと思われます。
加えて、これはキヤノネットシリーズを通してよくあるトラブルですが
絞り羽根の粘りが発生しています。
キヤノネットの絞り羽根の動きは少々独特で
例えばオート時だと開放の状態から
レリーズされるときに露出計と連動して絞込みが開始され
シャッターを切った後も絞りは絞り込んだままです。
そしてシャッターが巻き上げられたときに開放に戻ります。
マニュアル時には文章で書くと少しややこしいのですが
巻き上げてあれば絞りリングに連動して絞りが動作します。
巻き上げられてない場合は絞り込むほうは
絞りリングに連動しますが
開いていくほうは連動せず絞ったままとなってしまいます。
いずれにせよオート制御との関連で
巻き上げられていないと正しく絞りは連動しない仕組みです。
加えて絞りを開くほうの力は非常に小さなバネの力で
少しでも絞り羽根に油等が付着していると開かなくなったり
開くスピードがゆっくりになってしまいます。

絞り羽根、シャッター羽根の清掃、シャッターユニットの整備等々は
完了して露出計やオートの調整をこれから行っていきます。

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