リコーオートハーフSEのカメラ修理

今日は「ビスケットの日」だそうですよ
私の中では「ビスケット」とは
ちょっと固めの歯ごたえで
ほんのり優しい甘さの焼き菓子…というイメージですが
それってクッキーとも言えますよね…
ビスケットとは???
主に小麦粉、砂糖、油脂、乳製品から作られる焼き菓子のことで
これにはクッキーのほかクラッカーや
乾パン、パイなども含まれるのだそうです。
日本では公正取引委員会による取り決めのなかで
ビスケットのなかで以下の条件に当てはまるものを
クッキーと呼んでもよいとされています。
・糖分と脂肪分が全体の40%以上を占めるもの
・見た目が「手作り風」であること
調べて初めて知りました…(苦笑)
ちなみに英語圏では
日本でいうところのクッキー(cookie)との区別は存在せず
イギリスでは両者をビスケットと呼び
アメリカでは両者をクッキーと呼びます。
アメリカのビスケットはイギリスのスコーンに近いものを指すのだそうです。
うーん、世界的にも区別はあいまいですね(笑
でも「クッキー」より「ビスケット」のほうが
甘さ控えめで腹持ちが良い感じが…
あ…ほぼ「乾パン」に近いイメージなのかも…年齢と育った環境が…(笑

さてさて

本日は「リコーオートハーフSE」のカメラ修理を行っています。
オリンパスペンシリーズと並んで
ハーフカメラを代表するカメラですね。
オートハーフは開発者の安宅さんの
「自分の50歳の母親でも撮れるカメラ」という基本構想から
可能な限りの撮影自動化と
女性のハンドバッグ、男性の上着のポケットに入るサイズの
小型化を目指して設計されたカメラなのだそうです。
コンパクトさはもちろんのことですが
ほぼ真四角でレンズの出っ張りのない形状は
どこに入れるにしても非常に持ち歩きに便利です。
さすがにこの時代ですからボディは金属製で
重さは意外にずっしりとしています。
撮影の自動化も非常に進んでいて
露出は内蔵されたセレン光電池を使用した露出計と連動し
プログラムオートで自動化されています。
ピントは2.5mの固定焦点で絞り値によりますが
被写界深度で1.5mあたりから無限遠までをカバーします。
そして何といってもゼンマイ仕掛けの自動巻上
これがあるから重さがあるともいえますが
最大の特徴であり魅力と言えると思います。
機能面もさることながら
先述した真四角な形状と何ともレトロさを感じさせる
デザインが最大の魅力だと思います。
特にオートハーフEは前面のアルマイト板の
デザインのバリエーションが非常に豊富で
そのあたりにハマると収集癖のある方は
抜けられなくなるカメラともいえると思います。
いろいろ危険な魅力を備えたカメラと言えると思います(笑

お預かりしている「オートハーフSE」は
ポップなデザインやサイケなカラーリング等ではなく
精悍なブラック仕上げです。

これはこれで渋くっていいですね。
「SE」はこのブラックと鏡面仕上げのシルバーが発売されています。
巻上の動きの少々問題があり
単純に油切れかとも思いながら分解してみると
内部部品の変形でレリーズロックが外れにくくなっている
トラブルが発見されました。
そこは修理を行い、他動きが悪い部分の清掃・注油を行った上で
各部の調整を行っています。
オートハーフの修理時にはいつも書いてしまいますが
もともとレンズシャッター機は小さなバネの力で
シャッターを駆動するため汚れや油の付着で
すぐに動作不良を起こしてしまいますが
オートハーフは通常のレンズシャッター機以上に
非常に小さなバネ力でシャッターを駆動し
絞りの制御まで行っています。
当然、内部の汚れや油分には敏感で
わずかな余計な油分の付着で簡単にシャッターがスタックします。
…とはいえ駆動部には最低限の油は必要なので
清掃後の注油に非常に神経を使うカメラです。
コンパクトで手軽に扱えるため
雑に扱われている個体も見かけますが
その中身は非常に繊細な精密機械です。
そのくせゼンマイ巻上は大きなバネの力で
ワイルドに巻き上げるのです。
そういう両極端な部分も機械的に非常に面白いカメラだと思います。
中身が繊細ということは内部のゴミ混入も厳禁です。
でも裏蓋部には大量のモルトが貼られていて
劣化してボロボロになってくると
大量のモルト屑が内部に入ります。
いろいろと気の抜けないカメラですね(苦笑)
今回もモルトは全滅なので
もちろん全て交換してあります。
全く問題なく快適に使っていただける状態になっていると思います。
これから最終テストを行って
問題なければ完成となります。

↓ をクリックすると「東京フィルムカメラ修理工房」のホームに戻ります。